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第1話 チュートリアル

1日目①

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「魔物が蔓延るこの世界で対抗勢力を得るために、異世界より皆さんを召喚させていただきました」
 中世ヨーロッパ的な人の説明を受けての私の感想第一声は、あーはいはい、集団異世界転移ってやつでしょ。知ってる知ってる。ラノベで読んだわ、だ。
 後ろのいかにも玉座って感じの椅子に座ってるのはきっと王様で、今喋ってるのは、うーん、宰相ってところか?
 事の経緯を簡単に説明すれば、通勤電車に揺られてるところを皆で仲良くかっさらわれちゃったよ。下は中学生、上は定年近いかも的なおじさんと、連れてこられた人は幅広い。
 オタクならこういう展開好きだろ?ってか?んなわけあるか!こちとら推しと強制的にお別れさせられて、人生絶望の一択だわ。今週末には、コラボカフェに行って、推しのメニューを食べて、コラボグッズをお迎えするはずだったのに。
 どうせ、元の世界に戻れないってやつでしょ。
 人生残酷過ぎでは?
 実際、絶望してんのは私だけじゃないと思う。通勤時間つまりは通学時間でもあったから、電車には子どももそれなりにいた。こんな急に不条理に親と引き離されたら不安で仕方ないだろう。可哀想だけど、私がしてやれることはないに等しい。
 こういう身勝手なことをする人間達を信頼することなんて出来ないのに、現状この身勝手な人間達しか頼れないというのが、世知辛い。
「皆さんには一人一部屋ずつ御用意させていただきます。生活に必要なものもこちらから支給いたしますので、ご安心ください」
 生活の保証はしてくれるということに、安心していいのかどうか。
「今夜には皆さんそれぞれに適した職業が与えられ、ステータス画面が見られるようになるでしょう。ステータス画面を確認した後、それぞれのご職業に適したチュートリアルが提示されますので、指示に従い己の力を強化していってください」
 ゲームかよ。ステータス画面見れちゃって、しかもチュートリアルがあるとか、めちゃくちゃゲームじゃん。
 現実なのにゲーム的なことさせられるのめちゃくちゃ怖いな。気を緩めたら、現実って認識が薄れるかもしれないじゃん。
 ステータスの報告は定期的に行うらしい。まぁ、戦力を強制召喚したんだから、把握しないと意味ないよね。
 戸惑い、不安、悲壮、期待、集められた人々は様々な表情をして、それぞれの自室に案内された。
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