6 / 6
こういうハッピーエンドもありですか?
しおりを挟む
「実は陛下。第三王子ラスティン様との婚儀を取りやめにして頂けるのでしたら……」
「そうしたらどうなる?」
「実は僕が婚約を申し込みたいと思います」
そう言葉も高らかに宣言してくれたのは――第四王子クレイモア。
ラスティンとは双子の弟で、容姿は瓜二つなのに性格は真反対のまさしく紳士。
王族にしておくにはもったいないほどの……将来は明るいだろうと誰もが噂する美丈夫。
でも、第三王位継承者までしか用意しないとの王国の法律で彼はもうすぐ、隣国に近い飛び地へと封じられるところだった。
いい意味での出世。悪い意味での島流し。
「クレイ、お前が? しかし、行先はもう変えれないぞ?」
「陛下、お願いがございます」
「フェイ申してみよ」
「第三王子ラスティンを我が男爵家の家令としたのちは、全権を移譲して飛び地の管理監督に当たらせてはいかが、かと。魔族に竜族、その他蛮族の跋扈する土地ですが……ラスティンなら必ずやって除けてくれるはずです!」
「……父親としては息子にそのような暗い未来を与えるのは忍びないが……よかろう、ラスティンや。壮健に暮すが良い」
「ちっ、父上――――っ!!」
これが、ナーブリー王国第三王子ラスティンの叫んだ王国本土での最後の言葉となった。
ラスティンはそれからしばらくして、アナスタシアと共に飛び地に移動。魔族だの竜族だのと何とかうまくやりながら、息子が生まれたらしい。
悪人はしぶといというけど、まさしくその通りだ。
私は第四王子クレイモアとめでたく結婚。
彼の智謀はあくどい私をなんとかいさめようとして、その都度、夫婦喧嘩になるけど私は彼が大好きだからいつもでもデレて許してしまう。それに、クレイモア――は私のような銭ゲバ女よりもよほどかしこかった。
王位継承者である第一、第二王子をさっさと下して、数年後には国王になってしまった。
私?
私は二男三女に恵まれ、世間からは第三王子ラスティンを追い出した恐るべき銭ゲバ女、なにもかも奪い取った借金取り? なんて言われながら元気に暮らしています。
さて、子供たちもそろそろ手がかからなくなってきたから――今度はラスティンが苦戦しているらしい、竜族との対決に乗り出しますかねー?
幼馴染で銭ゲバな許嫁の没落令嬢と婚約破棄してもっと爵位の高い貴族令嬢と結婚したい王子様の泥沼なお話。
で、した!
「そうしたらどうなる?」
「実は僕が婚約を申し込みたいと思います」
そう言葉も高らかに宣言してくれたのは――第四王子クレイモア。
ラスティンとは双子の弟で、容姿は瓜二つなのに性格は真反対のまさしく紳士。
王族にしておくにはもったいないほどの……将来は明るいだろうと誰もが噂する美丈夫。
でも、第三王位継承者までしか用意しないとの王国の法律で彼はもうすぐ、隣国に近い飛び地へと封じられるところだった。
いい意味での出世。悪い意味での島流し。
「クレイ、お前が? しかし、行先はもう変えれないぞ?」
「陛下、お願いがございます」
「フェイ申してみよ」
「第三王子ラスティンを我が男爵家の家令としたのちは、全権を移譲して飛び地の管理監督に当たらせてはいかが、かと。魔族に竜族、その他蛮族の跋扈する土地ですが……ラスティンなら必ずやって除けてくれるはずです!」
「……父親としては息子にそのような暗い未来を与えるのは忍びないが……よかろう、ラスティンや。壮健に暮すが良い」
「ちっ、父上――――っ!!」
これが、ナーブリー王国第三王子ラスティンの叫んだ王国本土での最後の言葉となった。
ラスティンはそれからしばらくして、アナスタシアと共に飛び地に移動。魔族だの竜族だのと何とかうまくやりながら、息子が生まれたらしい。
悪人はしぶといというけど、まさしくその通りだ。
私は第四王子クレイモアとめでたく結婚。
彼の智謀はあくどい私をなんとかいさめようとして、その都度、夫婦喧嘩になるけど私は彼が大好きだからいつもでもデレて許してしまう。それに、クレイモア――は私のような銭ゲバ女よりもよほどかしこかった。
王位継承者である第一、第二王子をさっさと下して、数年後には国王になってしまった。
私?
私は二男三女に恵まれ、世間からは第三王子ラスティンを追い出した恐るべき銭ゲバ女、なにもかも奪い取った借金取り? なんて言われながら元気に暮らしています。
さて、子供たちもそろそろ手がかからなくなってきたから――今度はラスティンが苦戦しているらしい、竜族との対決に乗り出しますかねー?
幼馴染で銭ゲバな許嫁の没落令嬢と婚約破棄してもっと爵位の高い貴族令嬢と結婚したい王子様の泥沼なお話。
で、した!
1
お気に入りに追加
160
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
【完結】待ち望んでいた婚約破棄のおかげで、ついに報復することができます。
みかみかん
恋愛
メリッサの婚約者だったルーザ王子はどうしようもないクズであり、彼が婚約破棄を宣言したことにより、メリッサの復讐計画が始まった。
王女ですが、冤罪で婚約破棄を迫られています
杉本凪咲
恋愛
婚約破棄させてもらう。
パーティー会場でそう告げたのは、私の愛する彼。
どうやら、私が彼の浮気相手をいじめていたらしい。
しかし、本当にそんなことを言っていいのかしら。
私はこの国の王女だというのに……。
その聖女、曰くつき
秋津冴
恋愛
婚約者の王子エレンは気分屋で。
公爵令嬢イライザはいつも将来に対して不安を覚える日々。
そんな中、学院のエントランスでイライザは、いきなりの婚約破棄を突き付けられる。
だが、彼女には身に覚えのない事実が語られだしたとき、学院の生徒たちは意外にもイライザを応援し始めて――?
彼女への声援は神すらも動かすことになる。
ほかの投稿サイトにも掲載しております。
公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」
「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」
公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。
* エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
安息を求めた婚約破棄
あみにあ
恋愛
とある同窓の晴れ舞台の場で、突然に王子から婚約破棄を言い渡された。
そして新たな婚約者は私の妹。
衝撃的な事実に周りがざわめく中、二人が寄り添う姿を眺めながらに、私は一人小さくほくそ笑んだのだった。
そう全ては計画通り。
これで全てから解放される。
……けれども事はそう上手くいかなくて。
そんな令嬢のとあるお話です。
※なろうでも投稿しております。
婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!
しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。
最後の思い出に、魅了魔法をかけました
ツルカ
恋愛
幼い時からの婚約者が、聖女と婚約を結びなおすことが内定してしまった。
愛も恋もなく政略的な結びつきしかない婚約だったけれど、婚約解消の手続きの前、ほんの短い時間に、クレアは拙い恋心を叶えたいと願ってしまう。
氷の王子と呼ばれる彼から、一度でいいから、燃えるような眼差しで見つめられてみたいと。
「魅了魔法をかけました」
「……は?」
「十分ほどで解けます」
「短すぎるだろう」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
>第一王子妃
多分、正妃の意味なんだろうけど、
第一王子の妃って読めますよ?
あ、これで良いのです。
結局、正妃となると他の王子たちの妃ともとれるので。
ありがとうございます。
>筋肉女
よし殿下、そのケンカ買った!
絶縁して彼女を嫁にくれ!
是非是非。