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その7

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「身分を明かしてください!!!!!!」

本国の兵士に言われました。まさか……第一王子の元婚約者であるのに、その素顔を知られていないとは……私は正直唖然としました。本来であれば、このまま王妃となって、この兵士たちに守られる存在になるわけでした。

ですが、それはもう終わった話。私はもはや、身分も何も無いのです。

ところが、ある兵士が私の顔を見るなり、

「どこかで見た顔だ……」

と言いました。まあ、当たり前のことなのですが、いまさら身分を明かすのもめんどくさかったので、

「農民の娘のマリアです!!!!!!」

と答えてしまいました。

「農民の娘?????なるほど……」

農民と言えば、一番階級が低いわけでございますから、兵士たちは何も心配する必要がありません。

「ねえ、お嬢さん?????」

それでも、私のことをお嬢さんと呼ぶのは少し驚きましたが、兵士たちは、私を一人の熟れた女と見るようになったわけでございます。私には分かりました。男の視線が釘付けになった……そんな経験は何度もあります。同い年の女よりも大部大きな胸であったり、あるいは、引き締まった胴体であったり、あるいは、突き出た尻であったり、自慢するわけではありませんが、男が抱きたい女の特徴というものを、私は全て具現化しているわけでございました。

「本来ならばね、越境は罪になって、最悪の場合死刑なんだけど…………」

兵士たちは束になって、私を取り囲みました。まあ、この先の展開も分かっておりました。
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