婚約者を寝取ったのは義妹ですって？

そして別れ

「ディーノ……母親として、最後にあなたの名前を呼ばせてもらいます……」

なんだか、これが本当に最後の別れになるような気がしました。ディーノは私のことなんて記憶にないのです。王家の人々は、最大限にもてなしました。将来、彼が皇帝になった時、その恩恵を受けようと画策していたみたいです。

私は彼の気持ちが少しわかりました。利用されるだけの人生、私も同じようなものなのです。

「あなたは将来皇帝になられるのですから、これからしっかり勉強に励んでください」

私も心の奥底で、彼が将来皇帝になることを、高望みしていたのかもしれません。

「ありがとう」

彼はそう答えました。

「いやあ、今日はめでたい日だ。もっと盛大に祝おうじゃないか！」

アントニー様の呼びかけで、少し盛り上がりました。しかしながら、ディーノは全く喜んでいませんでした。