2 / 46
その2
しおりを挟む
結局、サリーに言われた通り、私はパーティーに参加することにしました。それにしても、私はこのパーティーに参加して1つ思ったことがあります。あまり声を大にして言いたくありませんが、はっきりいって、パーティー会場に入ること自体がふさわしくないのではないかと思いました。一応、公爵令嬢と言う肩書きがありますから、私がパーティーに参加したら、周りの貴族たちは、そういう目で私を見ることになります。
みすぼらしさのランキングを行ったら、間違いなく私が一番だったのでございましょう。これほどよれよれのドレスを着ている令嬢なんて、いませんでしたから。それに、まともな宝石なんて身に着けていませんし。最も、私の場合は豚に真珠でしょうが。一応は公爵令嬢でございますが、そのほぼ全てをサリーが独占していたわけでございますから……まあ、仕方のない話と言えば、それまででございましたが。
「お姉様?ほら、こちらにいらっしゃってください!!!」
どういうわけだか、サリーが大声で私のことを呼んでいました。私は少し恥ずかしかったのです。そもそも、貴族がこのように華やかなパーティーで大声を出すというのは、いささか、はしたない行いだと考えられていました。もしも、私が大声を出したら、会場に居合わせた貴族たちはみな、私の方を凝視することでしょう。そして、軽蔑の眼差しが注がれることになるはずです。
しかしながら、サリーがそのようなことをしても、誰も気に留めませんでした。彼女の場合、その類まれなる華やかさが、煩わしさやはしたなさを凌駕してしまうのです。彼女の行いを咎める人間なんて、ほとんどいなかったはずなのです。
ココからの話は大部奇妙に感じられるかもしれません。しかしながら、私があの会場でどのように振る舞ったのかは、あまり細かく覚えていないのです。これは一種の記憶喪失とでも言えば良いでしょうか?
そう、まるで展開が夢のように急速に切り替わったものでございますから、何にも覚えていないのでございます。
「こちらにいらっしゃるのは、第一王子のマキロン様です!」
第一王子……そんなお方がどうして私とお会いになるのか、全くもってさっぱり分かりませんでした。
「初めまして。私の婚約者マリア……」
ああ、そうです。私にはマリアと言う名前があるのでした。名前で呼ばれたのは随分と久しぶりな気がしました。
私はとりあえず、
「ああ、どうも、ありがとうございます」
と答えました。
いいえ、本当にマキロン様は、婚約者と言っておられたようなのですが、私には残念ながら、その記憶がございませんでした。そもそも、こういった行事に疎い私にとって、昨今の王室事情など、知る由もありませんでした。そのような話は本来、サリーのような令嬢にうってつけの話なのでございますから。
みすぼらしさのランキングを行ったら、間違いなく私が一番だったのでございましょう。これほどよれよれのドレスを着ている令嬢なんて、いませんでしたから。それに、まともな宝石なんて身に着けていませんし。最も、私の場合は豚に真珠でしょうが。一応は公爵令嬢でございますが、そのほぼ全てをサリーが独占していたわけでございますから……まあ、仕方のない話と言えば、それまででございましたが。
「お姉様?ほら、こちらにいらっしゃってください!!!」
どういうわけだか、サリーが大声で私のことを呼んでいました。私は少し恥ずかしかったのです。そもそも、貴族がこのように華やかなパーティーで大声を出すというのは、いささか、はしたない行いだと考えられていました。もしも、私が大声を出したら、会場に居合わせた貴族たちはみな、私の方を凝視することでしょう。そして、軽蔑の眼差しが注がれることになるはずです。
しかしながら、サリーがそのようなことをしても、誰も気に留めませんでした。彼女の場合、その類まれなる華やかさが、煩わしさやはしたなさを凌駕してしまうのです。彼女の行いを咎める人間なんて、ほとんどいなかったはずなのです。
ココからの話は大部奇妙に感じられるかもしれません。しかしながら、私があの会場でどのように振る舞ったのかは、あまり細かく覚えていないのです。これは一種の記憶喪失とでも言えば良いでしょうか?
そう、まるで展開が夢のように急速に切り替わったものでございますから、何にも覚えていないのでございます。
「こちらにいらっしゃるのは、第一王子のマキロン様です!」
第一王子……そんなお方がどうして私とお会いになるのか、全くもってさっぱり分かりませんでした。
「初めまして。私の婚約者マリア……」
ああ、そうです。私にはマリアと言う名前があるのでした。名前で呼ばれたのは随分と久しぶりな気がしました。
私はとりあえず、
「ああ、どうも、ありがとうございます」
と答えました。
いいえ、本当にマキロン様は、婚約者と言っておられたようなのですが、私には残念ながら、その記憶がございませんでした。そもそも、こういった行事に疎い私にとって、昨今の王室事情など、知る由もありませんでした。そのような話は本来、サリーのような令嬢にうってつけの話なのでございますから。
0
お気に入りに追加
573
あなたにおすすめの小説
西谷夫妻の新婚事情~元教え子は元担任教師に溺愛される~
雪宮凛
恋愛
結婚し、西谷明人の姓を名乗り始めて三か月。舞香は今日も、新妻としての役目を果たそうと必死になる。
元高校の担任教師×元不良女子高生の、とある新婚生活の一幕。
※ムーンライトノベルズ様にも、同じ作品を転載しています。
モブだった私、今日からヒロインです!
まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。
このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。
そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。
だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン……
モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして?
※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。
※印はR部分になります。
【R-18】踊り狂えその身朽ちるまで
あっきコタロウ
恋愛
投稿小説&漫画「そしてふたりでワルツを(http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/630048599/)」のR-18外伝集。
連作のつもりだけどエロだから好きな所だけおつまみしてってください。
ニッチなものが含まれるのでまえがきにてシチュ明記。苦手な回は避けてどうぞ。
IF(7話)は本編からの派生。
【R18】両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が性魔法の自習をする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
「両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が初めてのエッチをする話」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/575414884/episode/3378453
の続きです。
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる