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その10 part2
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「それで……この行き場の失った赤ん坊たちの命を抜き取っていく。これを収集して、新たな魔法の原動力にすると、こういう具合なのさ……」
「魔法の原動力……赤ちゃんたちから命を奪うのですか???」
「奪うというか……だって、仕方がないだろう。どのみち、あそこに残された赤ん坊たちは焼却炉行きだぞ???それならば、違う形で有効活用した方がいいじゃないか……」
そう言って、男はすぐさま、捨てられた赤ちゃんたちのところに行って、何やら呪文を唱え始めました。すると、赤ちゃんたちの姿が消えて、そこから幾つかの光が現れました。男は一つ一つかき集めて、結晶のような塊を合成し、手持ちの瓶に詰めました。それは、今まで見てきたどんな宝石よりも輝く、力強い命の塊でした……。眩いばかりの光が、どこまでも真っ暗な世界を明るく照らしつけ、遂に、私はグラスを外してしまいました。それでも、あれほど真っ暗だった空間が、一瞬にして真っ白で雪のような世界に様変わりしてしまったのでした。
「これが……人間のひめたる命の輝きなのだよ……。これを使えば、どんな魔法だって、自由自在にコントロールすることができる。そして……この力を欲する人間どもはいくらでもいる……」
私はこの老人が、単なる魔法使いではないことに、ようやく気が付きました。普通の魔法使いが、これほどのことを成し遂げられるはずがありません。もちろん、私ですら、こんな大技はできませんから。
「魔法の原動力……赤ちゃんたちから命を奪うのですか???」
「奪うというか……だって、仕方がないだろう。どのみち、あそこに残された赤ん坊たちは焼却炉行きだぞ???それならば、違う形で有効活用した方がいいじゃないか……」
そう言って、男はすぐさま、捨てられた赤ちゃんたちのところに行って、何やら呪文を唱え始めました。すると、赤ちゃんたちの姿が消えて、そこから幾つかの光が現れました。男は一つ一つかき集めて、結晶のような塊を合成し、手持ちの瓶に詰めました。それは、今まで見てきたどんな宝石よりも輝く、力強い命の塊でした……。眩いばかりの光が、どこまでも真っ暗な世界を明るく照らしつけ、遂に、私はグラスを外してしまいました。それでも、あれほど真っ暗だった空間が、一瞬にして真っ白で雪のような世界に様変わりしてしまったのでした。
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