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その8
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「ふざけるのもいい加減にしろ!!!お前が何を言おうと、この婚約は決定事項なんだ!!!だから、無駄な抵抗は止めなさい!!!」
普通、親というものは、子供が不遇な立場に陥りそうなとき、手を差しのべるものでしょう。でも、私のお父様はその逆なのです。もう、困ったものです。これ以上、婚約を推し進めるのであれば……私はもうこの場にいたくないと思いました。
「シャルコー様???あなた様の言葉を持ちまして、婚約破棄の成立、と解釈してよろしいのでございますね??」
私がこう質問しますと、シャルコー様は、
「もちろんだ」
と言いました。もちろん、皇帝陛下、お父様、双方が非常に慌てていましたが、もはや、私には関係のないことでございました。
「承知しました。それでは……私はもうこれで自由ですね。これ以上、お父様、あるいは、運命のしがらみを考える必要はないのですね。ああ、安心しました。さて……私はもう何もかもを手放して、好きに生きたいと思います。それで、よろしいですね???シャルコー様は、私の妹であるイザベルと婚約してください!!!」
私は最後にこう言い残して、テレポートを使おうとしました。なるべく、お父様の邪魔が入らないように、ものすごく遠い場所を選択して……。
「それでは、さようなら!!!」
次の瞬間、私の姿は部屋からすっかり消えました。テレポート成功……と思ったのですが、ちょっと不安になってきました。
「ふざけるな!!!戻って来い!!!」
お父様もテレポートを用いて、消えた私を再び城まで連れ戻そうとしました。いつもならば、最強のお父様に屈して、強制的に戻ってきてしまうことになるのですが、今回は私のパワー、あるいは、想いが勝っていたのでしょう。なんとかして、お父様の魔法使用圏内からは脱出できたように感じました。
それは良かったのですが、それでは、私がいま、どこにいるのかと言いますと……。
一面が真っ黒で、何も存在しない世界でした。
「ひょっとして……バグったかしら???」
簡単な物資のテレポートは、今まで何度か経験がありました。でも、自分を任意の場所へテレポートさせると言うのは、今までやったことがありませんでした。まあ、物でも人でもやることは一緒なのですが、お父様のテレポートと互いに干渉してしまったのでしょうか、何も無いブラック空間に辿りついてしまいました。
「ああ、これ……詰んだかしら?????」
なんだか、冷静に考えると怖い世界でした。音もなく、視界は自分の姿しか映りませんでした。本当に真っ黒で、空間の出口がどこにあるのか、そもそも、自分はいま、歩いているのか、それとも、その場に立ち尽くしているのか、そんなことすら分からなくなりました。
「だから、お前はバカなんだ!!!」
お父様が私のことを遠くで叱っているように思いました。なるほど……自分ではなんでもできると思っていましたが、確かに、何もできない愚か者……お父様の言っている通りだと思いました。
その結果がこれなのですから、はっきり言って、救いようのない状況でした。もしも、誰かがこの世界にやって来てくれて、私を出口まで案内してくれたら……まあ、そんなことはないと思いました。
じっとしていれば、いつか、神様がお迎えに来てくださるのでしょうか???一応、魔法を使って人生を巻き戻すことだってできるのですが、まあ、このバグ空間では、不可能のようでした。
死ぬことすら許されないのならば……一生この空間に閉じ込められてしまうのなら……そう思うと、これ以上何も考えたくありませんでした。
普通、親というものは、子供が不遇な立場に陥りそうなとき、手を差しのべるものでしょう。でも、私のお父様はその逆なのです。もう、困ったものです。これ以上、婚約を推し進めるのであれば……私はもうこの場にいたくないと思いました。
「シャルコー様???あなた様の言葉を持ちまして、婚約破棄の成立、と解釈してよろしいのでございますね??」
私がこう質問しますと、シャルコー様は、
「もちろんだ」
と言いました。もちろん、皇帝陛下、お父様、双方が非常に慌てていましたが、もはや、私には関係のないことでございました。
「承知しました。それでは……私はもうこれで自由ですね。これ以上、お父様、あるいは、運命のしがらみを考える必要はないのですね。ああ、安心しました。さて……私はもう何もかもを手放して、好きに生きたいと思います。それで、よろしいですね???シャルコー様は、私の妹であるイザベルと婚約してください!!!」
私は最後にこう言い残して、テレポートを使おうとしました。なるべく、お父様の邪魔が入らないように、ものすごく遠い場所を選択して……。
「それでは、さようなら!!!」
次の瞬間、私の姿は部屋からすっかり消えました。テレポート成功……と思ったのですが、ちょっと不安になってきました。
「ふざけるな!!!戻って来い!!!」
お父様もテレポートを用いて、消えた私を再び城まで連れ戻そうとしました。いつもならば、最強のお父様に屈して、強制的に戻ってきてしまうことになるのですが、今回は私のパワー、あるいは、想いが勝っていたのでしょう。なんとかして、お父様の魔法使用圏内からは脱出できたように感じました。
それは良かったのですが、それでは、私がいま、どこにいるのかと言いますと……。
一面が真っ黒で、何も存在しない世界でした。
「ひょっとして……バグったかしら???」
簡単な物資のテレポートは、今まで何度か経験がありました。でも、自分を任意の場所へテレポートさせると言うのは、今までやったことがありませんでした。まあ、物でも人でもやることは一緒なのですが、お父様のテレポートと互いに干渉してしまったのでしょうか、何も無いブラック空間に辿りついてしまいました。
「ああ、これ……詰んだかしら?????」
なんだか、冷静に考えると怖い世界でした。音もなく、視界は自分の姿しか映りませんでした。本当に真っ黒で、空間の出口がどこにあるのか、そもそも、自分はいま、歩いているのか、それとも、その場に立ち尽くしているのか、そんなことすら分からなくなりました。
「だから、お前はバカなんだ!!!」
お父様が私のことを遠くで叱っているように思いました。なるほど……自分ではなんでもできると思っていましたが、確かに、何もできない愚か者……お父様の言っている通りだと思いました。
その結果がこれなのですから、はっきり言って、救いようのない状況でした。もしも、誰かがこの世界にやって来てくれて、私を出口まで案内してくれたら……まあ、そんなことはないと思いました。
じっとしていれば、いつか、神様がお迎えに来てくださるのでしょうか???一応、魔法を使って人生を巻き戻すことだってできるのですが、まあ、このバグ空間では、不可能のようでした。
死ぬことすら許されないのならば……一生この空間に閉じ込められてしまうのなら……そう思うと、これ以上何も考えたくありませんでした。
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