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その1
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「マリア!!!私はこの場において、婚約破棄を宣言するぞ!!!その理由は言うまでもない!!!君が、私の友人であるエランを虐めたことは明白なる事実なのだ!!!」
第一王子様(私の婚約者)がそう言いました。正確に言いますと、エラン様というのは、単なる友人ではありませんで……つまりは、私を御捨てになって、エラン様を新しい婚約者にすると、こういうわけなのでございます。
「私はこれまで、様々な良き友人を持ってきたが、その中でもエランは格別だった。そして、いつしか私は恋をした。だが、マリアという婚約者がいる私には許されないことだった!!!しかしながら、神様は私に転機をくださったのだ。いや、それよりも君の醜態が露見したんだね!!!結果として、私は正式にエランを新しい婚約者として推挙したいと思うのだ!!!」
結果として丸く収まる……まあ、このまま私が黙っていたらの話ですけど???
私はエラン様にそっとウインクをしました。そしたら……エラン様はどういうわけだか、震えていました。ああ、なんて察しのいいお姫様なのでしょうか。私は感心しました。
「ところで……この後、私はどうなるのでしょうか?」
私は第一王子様に聞いてみました。すると、王子様は、
「そんなの決まっているだろう!!!修道院送りか、あるいは……流刑だ!!!」
と言いました。もちろん、ここまでは予想通りの展開です。でも、話はここから面白くなるのです。
「お待ちください!!!」
私の婚約破棄が決まってから、ちょっとして、新しい令嬢たちが入場してきました。彼女たちは、言うなれば、エラン様と同じように、第一王子様のガールフレンドとでも言った感じでしょうか???
「第一王子様!!!どうして、エランを婚約者に選んでおいて、私たちは選ばないのですか???」
当然、このような反感が出るのは最もなことでした。さあ、これから話が盛り上がりますよ。女の修羅場とでも言った感じでしょうか???
「私たちのことは愛していただけないのですか???私たちも、このエラン同様、王子様のことを愛しているのでございますのに……」
「いや、そんなことを言われても……」
第一王子様は返答に困りました。当然ですね。私が婚約者に選ばれたのは、私のお父様が最高位公爵でありますから、生まれながらに王子様と婚約する権利があるわけでございまして、これについてとやかく意見をすることはできません。しかしながら……いま、こちらにいらっしゃるエラン様を始め、他の可愛いお姫様たちはおそらく、公爵令嬢なのでございましょうから、エラン様だけを贔屓に扱うというのは、中々難しいことだったのです。
さて……第一王子様はどのような決断を下されるのでしょうか???私は高みの見物をするつもりでした。でも、お姫様たちは、私のことを知っているようで、
「私たちは、こちらにいらっしゃいますマリア様のお口添えを持ちまして、第一王子様と友人になることができました!!!」
と言いました。
「なっ……マリア、それはどういうことだ!!!」
私に発現する権利が与えられました。ラッキー!!!
「ええと……こんなに可愛いお姫様たちが、私のところにやって来て、なんとかして王子様とお近づきになりたい、とせがまれましたら、答えずにはいられませんでした。ですから、私は当時、王子様の婚約者という立場で、王子様の近くにおりましたゆえ、様々なイベントを企画し、なるべく多くの令嬢様方が、王子様と接触できるように取り計らったのでございます!!!」
このため、私は皆様から、お姉様と崇められております。
「どうして、そんな余計なことを……」
王子様は、すっかり困惑していました。でも、一番悪いのは王子様なのですから、女たちの修羅場にも参戦して、なんとか解決できる方法を模索しなければならないでしょう。それが、王子様の責務なのですから。
「王子様???私だけを愛しているって言ってくださったのは……ひょっとしてウソだったのですかあ!!!!」
エラン様が少しずつ不安定になって、発作を起こしました。なるほど、ものすごく繊細だったのですね。そうだとすると、ちょっと悪いことをしてしまったでしょうか???
「いや、私はエラン、君のことだけを愛しているんだ……」
王子様はそう言いましたが、他の押しかけてくる令嬢たちを前にして、全く説得力がありませんでした。
さあ、この泥沼の戦いに、王子様は果たして終止符を打つことができるのでしょうか???
第一王子様(私の婚約者)がそう言いました。正確に言いますと、エラン様というのは、単なる友人ではありませんで……つまりは、私を御捨てになって、エラン様を新しい婚約者にすると、こういうわけなのでございます。
「私はこれまで、様々な良き友人を持ってきたが、その中でもエランは格別だった。そして、いつしか私は恋をした。だが、マリアという婚約者がいる私には許されないことだった!!!しかしながら、神様は私に転機をくださったのだ。いや、それよりも君の醜態が露見したんだね!!!結果として、私は正式にエランを新しい婚約者として推挙したいと思うのだ!!!」
結果として丸く収まる……まあ、このまま私が黙っていたらの話ですけど???
私はエラン様にそっとウインクをしました。そしたら……エラン様はどういうわけだか、震えていました。ああ、なんて察しのいいお姫様なのでしょうか。私は感心しました。
「ところで……この後、私はどうなるのでしょうか?」
私は第一王子様に聞いてみました。すると、王子様は、
「そんなの決まっているだろう!!!修道院送りか、あるいは……流刑だ!!!」
と言いました。もちろん、ここまでは予想通りの展開です。でも、話はここから面白くなるのです。
「お待ちください!!!」
私の婚約破棄が決まってから、ちょっとして、新しい令嬢たちが入場してきました。彼女たちは、言うなれば、エラン様と同じように、第一王子様のガールフレンドとでも言った感じでしょうか???
「第一王子様!!!どうして、エランを婚約者に選んでおいて、私たちは選ばないのですか???」
当然、このような反感が出るのは最もなことでした。さあ、これから話が盛り上がりますよ。女の修羅場とでも言った感じでしょうか???
「私たちのことは愛していただけないのですか???私たちも、このエラン同様、王子様のことを愛しているのでございますのに……」
「いや、そんなことを言われても……」
第一王子様は返答に困りました。当然ですね。私が婚約者に選ばれたのは、私のお父様が最高位公爵でありますから、生まれながらに王子様と婚約する権利があるわけでございまして、これについてとやかく意見をすることはできません。しかしながら……いま、こちらにいらっしゃるエラン様を始め、他の可愛いお姫様たちはおそらく、公爵令嬢なのでございましょうから、エラン様だけを贔屓に扱うというのは、中々難しいことだったのです。
さて……第一王子様はどのような決断を下されるのでしょうか???私は高みの見物をするつもりでした。でも、お姫様たちは、私のことを知っているようで、
「私たちは、こちらにいらっしゃいますマリア様のお口添えを持ちまして、第一王子様と友人になることができました!!!」
と言いました。
「なっ……マリア、それはどういうことだ!!!」
私に発現する権利が与えられました。ラッキー!!!
「ええと……こんなに可愛いお姫様たちが、私のところにやって来て、なんとかして王子様とお近づきになりたい、とせがまれましたら、答えずにはいられませんでした。ですから、私は当時、王子様の婚約者という立場で、王子様の近くにおりましたゆえ、様々なイベントを企画し、なるべく多くの令嬢様方が、王子様と接触できるように取り計らったのでございます!!!」
このため、私は皆様から、お姉様と崇められております。
「どうして、そんな余計なことを……」
王子様は、すっかり困惑していました。でも、一番悪いのは王子様なのですから、女たちの修羅場にも参戦して、なんとか解決できる方法を模索しなければならないでしょう。それが、王子様の責務なのですから。
「王子様???私だけを愛しているって言ってくださったのは……ひょっとしてウソだったのですかあ!!!!」
エラン様が少しずつ不安定になって、発作を起こしました。なるほど、ものすごく繊細だったのですね。そうだとすると、ちょっと悪いことをしてしまったでしょうか???
「いや、私はエラン、君のことだけを愛しているんだ……」
王子様はそう言いましたが、他の押しかけてくる令嬢たちを前にして、全く説得力がありませんでした。
さあ、この泥沼の戦いに、王子様は果たして終止符を打つことができるのでしょうか???
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