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その13

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困ったとは言ったが、別に嫌いだとは言っていない。この可愛い少年は……例えるならばウサギだろうか?

正直、お姉様、お姉様と慕われるのは、悪くない。ましてや、小動物のように可愛い少年であるからなおさらだ。

「ねえ、君の名前はなんていうの?」

「僕の名前?わからない!」

この少年は、嘘をつくのが上手なようだ。今こんなに可愛いと言うことは、将来がものすごく楽しみだ。女を惑わす男に成長するだろう。そうならないことを、少し祈るばかりだが。

少年は、私の膝の上に座って、何か本を読んでいた。

「椅子に座って読んだほうがいいんじゃないの?」

こう尋ねると、

「お姉様のお膝の方が心地いいから!」

と言われた。それならば仕方がない。別にどっかへ行けということもないだろう。

「いつでも来ていいよ」

帰りがけ、私は少年にそう言った。

「お姉様!ありがとう!」

そう言って、少年は元気に帰っていった。本当に不思議だった。
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