悪役令嬢の終わらせ方~1年の恋物語~

その6

「わっ…私があなた様をエスコートいたします! 」

チャールズは、恭しく、そして、ぎこちなく手を差し出してきた。

「ありがとう。よろしくお願いできるかしら? 」

「はいっ！一生懸命頑張らさせていただきます! パミーナ様！」

昔からずっと違和感を感じていた。みんな、私のことを、パミーナ様と呼ぶ。いや確かに、私は両親の次にこの世界では序列が高いので、皇帝さえも私のことを様付けで呼ぶのは、間違ってはいないのだ。

しかしながら、これでようやく人間と同じようになったと言うのに、伴侶から、パミーナ様と呼ばれるのは、いささか滑稽でもあるし、なんだか調子が狂う感じがした。だから、

「私のことは、パミーナでいいよ」

と言った。

「それは……失礼でございます! 」

チャールズは、あくまでも私のことを呼び捨てで呼ぼうとはしなかった。

「いや、それでいいから」

「それは難しいです！」

仕方がない。こうなったら……。

「私が命令すれば、言うことを聞いてくれる? 」

チャールズは従うしかなかった。これに関しては一見落着した。