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その51 戦争

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どこにでもあるような平和な風景……皇帝は安らぎを謳歌していた。

王子であるリチャードが行方不明になっていく日か、その消息が分かった日は一瞬喜んだ。しかしながら、リチャードが王宮に戻ってくる意志がないことを知ると、皇帝はリチャードのことがどうでもよくなった。

「皇帝!間も無く戦争が始まろうとしていますのに、どうしてそんなに呑気なんですか?」

正妻であるメリーが口うるさく、皇帝の耳元をざわつかせた。

「大した問題じゃないだろう……私は勝利を確信しているんだから。それよりも、少し休ませてくれないか?ああっ、ずっと夢ならばいいと思うんだ……」

「何をおっしゃるんですか?皇帝!」


皇帝はそのまま寝息を立て始めた。

「本当に、バカな皇帝だわ……」

メリーは微笑んだ。
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