上 下
2 / 2

その2

しおりを挟む
追い出されてしまったエリーゼはなんとかして二人に復讐してやりたいと思った。しかしながら、それは簡単なことではなかった。

「さて……どうすればいいのかしら……」

色々と策をめぐらせている内に、エリーゼは一つの仮説にぶち当たった。それは、どうして、ミーシャが聖女に選ばれたのか、ということだった。いくらなんでも、あれほど下品な女が聖女に選ばれることなんて、ないのでは?そんなことを考えた。

「ひょっとして……あれは全てウソなのかしら???」

エリーゼはそのように考えた。そして、エリーゼはすぐに行動を開始した。聖女評価機構という、世の中の令嬢を聖女と認定するための機関に足を運んだ。

「公爵令嬢のエリーゼよ。この前、聖女に選ばれたミーシャについて、幾つか質問したいことがあるんだけど!」

エリーゼは、担当者を呼んで欲しいと伝えた。しかしながら、

「個別の案件につきましては、お答えできません」

の一点張りで、話は難航した。このまま話し合いをしても意味がない、だから、帰ろう……そう思ったとき、

「おや、エリーゼじゃないか?」

と、エリーゼを呼ぶ声がした。

「あなた様は……誰でしたっけ?」

「おいおい、私のことを忘れたのか?伯爵のバークレーだよ……」

バークレー伯爵……それを聞いて、エリーゼは思い出した。

「ああ、この前助けて頂いた方ですね?あの時はどうもお世話になりました!!!」

バークレー伯爵は、中々の男前で有名だった。たくさんの令嬢からアプローチされても、未だに誰とも婚約していないことで、より一層の注目を集めていたのだ。

「ひょっとして……この前の聖女選定につきまして、バークレー伯爵もお力添えをなさったのですか???」

エリーゼは、素っ頓狂な調子で質問してみた。すると、バークレー伯爵は、

「どうしてそんなことを聞くんだ?」

と、質問を返した。

「まあ、ここではなんですから……お話はあちらで……」

エリーゼはバークレー伯爵に期待を示した。

しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。

吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

公爵令嬢の私を捨てておきながら父の元で働きたいとは何事でしょう?

白山さくら
恋愛
「アイリーン、君は1人で生きていけるだろう?僕はステファニーを守る騎士になることにした」浮気相手の発言を真に受けた愚かな婚約者…

わたくしに婚約破棄を告げた元王子は、即座に身ぐるみ剥がされ放り出されてしまいました。

kieiku
恋愛
「リスリーナ・キャナル! おまえとの婚約を破棄する! おまえはこの俺の婚約者であることをかさにきて、不敬にもこの俺の行動を制限し、まるで自分の所有物のように扱い……っ!? ぐあっ! 何をする!」 仕方ないことですわ。レイモンド様の衣装はすべて、当家がご用意したものですから。婚約破棄をし、縁を切るのであれば、お返しいただくことになります。

婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます

もふきゅな
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。 エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。 悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

あなた達二人は絶対幸せにはなれません

富士山のぼり
恋愛
「アデーレ! お前との婚約を破棄させてもらう!」 「お姉様、わかって下さい。これ以上私を虐めたり私達の仲を裂かないで!」 「……無理よ。あなた達は結ばれる事はない。」 「負け惜しみもいい加減にしろ! お前は妹に嫉妬しているだけだ!」 「いいえ。あなた達二人は絶対幸せにはなれません。なぜなら……」

たしかに私は『聞き上手令嬢』ですが、何でも言うことを聞くだなんて誤解ですわよ?

来住野つかさ
恋愛
シンシアは静かに怒っていた。目の前の男が、『自分と婚約した暁には浮気を了承し、婚姻後、伯爵家の仕事は全て君に任せたい』などとふざけたことを言ってきたからだ。たしかに私は『聞き上手令嬢』と呼ばれ、人の話をよく聞きますが、何でも言うことを聞くとは言ってませんけど? 反論しようにも、先に話すのは僕だ、と言って悦に入った顔で滔々と戯言を述べている男は止まらない。次のターンでは絶対反撃してやる! あの方が来る前に······。

どうやら私は不必要な令嬢だったようです

かのん
恋愛
 私はいらない存在だと、ふと気づいた。  さようなら。大好きなお姉様。

両親に少しでも期待されたかった私は、妹や周りの令嬢に嘲笑われながらも、頑張った分だけ幸せになれた気がします

珠宮さくら
恋愛
アウレーリアは、王太子妃になりたくて頑張っていたわけではなかった。ただ、少しでも妹に向けている期待を両親が自分に向けてくれることを望んでいたのだが、事態は思わぬ方向に向かったようで……。 全3話。

処理中です...