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その2

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「スーザン様!!!お待ちください!!!」

ルイスが必死に追いかけてくるのが、スーザンには理解できなかった。

「私に何のようなの?今更、私に関わる必要なんてないでしょうが!!!」

スーザンはきれていた。元はといえば、ルイスが色々とでっち上げたせいで、話が余計にややこしくなってしまったのだ。

「私は、あなた様に幸せになってほしいのです。ですから……王子様との婚約を阻む必要があったのでございます!!!」

「なにそれ???私の幸せですって???あんまり出しゃばらないでくれるかしら???」

「いいえ、私は本気なのです……」

「それで……どうして、私が王子様と婚約すると、不幸せになるって言えるの???」


「詳細は後日分かるでしょう。今、私の口から申し上げることはできません。それでは……」

そう言い残して、ルイスはスーザンの元を去っていった。


これは大きなスキャンダルになったわけだが、皇帝陛下、つまり、王子の父親と、スーザンの父である公爵が旧知の中であったため、もめ事にはならなかった。それ以上に問題だったのは、王子が、婚約者であるアンに暴力を加えていたことが明るみになったことだった。


「どうして……こんなことになってしまったのでしょう!!!」

しかしながら、アンを助ける者はいなかったという。何故かと言えば、王妃になってから、アンの態度はますます悪くなり、人々を遠ざけることになった。そんなアンに違わず、王子もかなりの変人だった。

「なるほど……結果として、王子と婚約しなくてよかった……ということか……」

スーザンは後になって振り返った。そして、あの時忠告をしてくれたルイスの顔がほんのりと浮かんだ。

「どうも、あなた様のためのルイスでございます!!!」

しばらくして、ルイスがスーザンの前に現れた。スーザンは、ルイスが全て予見していたことを高く評価した。

「それで……どうして、私に忠告をしてくれたの???」

スーザンは、そのことがずっと気になっていた。これに対して、ルイスの答えはものすごくシンプルだった。

「ええ?そんなの決まっているじゃないですか???私があなたのことを愛しているからですよ???」

これを聞いて、スーザンは拍子抜けした。単なる級友だと思っていた男から、あっさりとこんなことを言われてしまったので、もう笑うしかなかった。

「いやだ……あなたって……面白い人なのね……」

「はい、あなた様のためのルイスでございます!!!」


スーザンは、ルイスのことを本気で好きになってもいいと思った。自分から人を好きになるのは、恐らく初めてのことだった。
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