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その1
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「私は、君とは上手くいかないようだ……」
「なんですって???それは一体どういうことですか???」
「つまり……君との婚約を破棄しようと思うんだ……」
「どうしてですか???」
公爵令嬢のスーザンは怒鳴り散らした。婚約を破棄するだなんて、想定外の事態になったものだから、取り乱してしまったのだ。
「事情はともあれ、決まったことなんだ。スーザン。分かってくれるね?」
「いいえ、理解できません。どうしてですか???ひょっとして、私以外に好きな人ができたんですか???ああ、ひょっとして、そのカーテンの裏に隠れているのは……怪しいですねえ!!!」
そう言って、スーザンはカーテンをいっきに開いた。すると、自分よりも一際美しい少女が出て来た。
「あああ、せっかく隠れておりましたのに、見つかってしまいましたか……」
少女は、残念そうにつぶやいた。
「あなた……一体、何者なの???」
「はい、私は王子様と永遠の愛を誓った伯爵令嬢のアンでございまーす!!!」
アンと名乗る少女は、ものすごく上機嫌で、公爵令嬢スーザンを見下していた。スーザンは呆れはてた。
「まあ、私という婚約者がありながら、浮気ですか???こんなことが許されるとでも思っているのですか!!!」
婚約者である王子は、
「あんまり大声を出さないでくれ……」
と、スーザンを注意した。
「これは、何も私の意志によるものではない。それに……君は私の婚約者として相応しくないと、判断した結果だ。不倫ではない。新しい婚約者なのだ、彼女は」
そう言って、王子は、アンを抱き寄せた。
「まあ、王子様ったら!!!」
スーザンは、自分がこの場に邪魔であることに気がついた。しかしながら、納得できなかった。
「ですから、その理由はなんですか???教えてください!!!」
「そうだな……。君がアンに対してどのような仕打ちをしてきたのか、私はアンから聞いたんだ。それでだな……」
「お待ちなさーい!!!私は今日、初めて彼女と会ったのですよ???それなのに、どうして私が彼女に手出しすることができるのですか???そういう言いがかりは止めて頂きたいですわ!!!」
「あら、言いがかりではありませんわよ???ルイスさん、お入りになってください……」
ルイスと聞いて、スーザンは思い出した。同じ学院の級友だったのだ。
「あなたは、ここにいらっしゃるスーザン様に依頼されて、私のことを虐めるように仕組んだのですよね???」
今まであんまり話したことのない、単なる級友だと言うのに、ルイスは、随分と嘘をでっち上げてしまった。よって、第三者の証言があったため、スーザンは有罪になった。
「これをもって、君との婚約を破棄しても……異論はないな???」
王子は、もう一度、強くアンのことを抱きしめて、アンもスーザンを完全に見下した。
「分かりましたよ。そこまで言われたのなら仕方がありませんねえ……」
スーザンは、もはや、このまま王子と婚約しても、互いに齟齬が生まれるだけで意味がないと思ったので、潔く諦めた。そして、後ずさりするスーザンを、何故か、級友のルイスが追いかけ始めた。
「なんですって???それは一体どういうことですか???」
「つまり……君との婚約を破棄しようと思うんだ……」
「どうしてですか???」
公爵令嬢のスーザンは怒鳴り散らした。婚約を破棄するだなんて、想定外の事態になったものだから、取り乱してしまったのだ。
「事情はともあれ、決まったことなんだ。スーザン。分かってくれるね?」
「いいえ、理解できません。どうしてですか???ひょっとして、私以外に好きな人ができたんですか???ああ、ひょっとして、そのカーテンの裏に隠れているのは……怪しいですねえ!!!」
そう言って、スーザンはカーテンをいっきに開いた。すると、自分よりも一際美しい少女が出て来た。
「あああ、せっかく隠れておりましたのに、見つかってしまいましたか……」
少女は、残念そうにつぶやいた。
「あなた……一体、何者なの???」
「はい、私は王子様と永遠の愛を誓った伯爵令嬢のアンでございまーす!!!」
アンと名乗る少女は、ものすごく上機嫌で、公爵令嬢スーザンを見下していた。スーザンは呆れはてた。
「まあ、私という婚約者がありながら、浮気ですか???こんなことが許されるとでも思っているのですか!!!」
婚約者である王子は、
「あんまり大声を出さないでくれ……」
と、スーザンを注意した。
「これは、何も私の意志によるものではない。それに……君は私の婚約者として相応しくないと、判断した結果だ。不倫ではない。新しい婚約者なのだ、彼女は」
そう言って、王子は、アンを抱き寄せた。
「まあ、王子様ったら!!!」
スーザンは、自分がこの場に邪魔であることに気がついた。しかしながら、納得できなかった。
「ですから、その理由はなんですか???教えてください!!!」
「そうだな……。君がアンに対してどのような仕打ちをしてきたのか、私はアンから聞いたんだ。それでだな……」
「お待ちなさーい!!!私は今日、初めて彼女と会ったのですよ???それなのに、どうして私が彼女に手出しすることができるのですか???そういう言いがかりは止めて頂きたいですわ!!!」
「あら、言いがかりではありませんわよ???ルイスさん、お入りになってください……」
ルイスと聞いて、スーザンは思い出した。同じ学院の級友だったのだ。
「あなたは、ここにいらっしゃるスーザン様に依頼されて、私のことを虐めるように仕組んだのですよね???」
今まであんまり話したことのない、単なる級友だと言うのに、ルイスは、随分と嘘をでっち上げてしまった。よって、第三者の証言があったため、スーザンは有罪になった。
「これをもって、君との婚約を破棄しても……異論はないな???」
王子は、もう一度、強くアンのことを抱きしめて、アンもスーザンを完全に見下した。
「分かりましたよ。そこまで言われたのなら仕方がありませんねえ……」
スーザンは、もはや、このまま王子と婚約しても、互いに齟齬が生まれるだけで意味がないと思ったので、潔く諦めた。そして、後ずさりするスーザンを、何故か、級友のルイスが追いかけ始めた。
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