9 / 12
その9
しおりを挟む
それからしばらくして、ロンチキは新たな職業を手に入れた。彼の突拍子もない小説の愛読者が新聞業界を斡旋してくれたのだ。そして、ロンチキは記者として毎日働くようになった。行方をくらませたソフィアは、ロンチキの下宿先に転がりこんでいた。
ロンチキが帰ってくると、
「今日は何か、面白い話でもあった???」
と、逐一質問をするのが日課になった。
「ありますあります。大きなスクープがあるのです!!!!!」
ロンチキは非常に小さな出来事であっても、スクープと言って囃し立てた。例えば、路地裏に迷い込んだ猫を救出した少年たちの話。これは実際のところ、ロンチキにとっては重要な話かもしれないが、世間一般には、あまり面白い話ではなかったのだ。
「それはもうわかったから……」
さすがのソフィアも、このような話をされていると、飽きてしまうのだった。
「他に何か大きな話はないのかしら???」
ソフィアがこう尋ねると、ロンチキは少し首を傾げて、
「まあ、面白いかどうかは分かりませんが……」
と話を始めた。
「実はですね、カリエス様の妻になったリリー様に関する噂があるのですが……それはつまり、リリー様はカリエス様のことを段々煙たがるようになったみたいで、暗殺の計画を企んでいるとかいないとか……まあ、噂レベルなんですけどね……」
「あの……それの方が重要じゃない!!!!!!」
ソフィアはこう言って、呆れてしまった。
「そうでしょうか???」
「ええ、そうですとも。さあ、それについてもっと調査してみなさいよ。私にもまだ古いつながりがあるから……これを暴いたら、私の名誉も挽回できるかも!!!」
ソフィアはこの新しい展望に期待した。
ロンチキが帰ってくると、
「今日は何か、面白い話でもあった???」
と、逐一質問をするのが日課になった。
「ありますあります。大きなスクープがあるのです!!!!!」
ロンチキは非常に小さな出来事であっても、スクープと言って囃し立てた。例えば、路地裏に迷い込んだ猫を救出した少年たちの話。これは実際のところ、ロンチキにとっては重要な話かもしれないが、世間一般には、あまり面白い話ではなかったのだ。
「それはもうわかったから……」
さすがのソフィアも、このような話をされていると、飽きてしまうのだった。
「他に何か大きな話はないのかしら???」
ソフィアがこう尋ねると、ロンチキは少し首を傾げて、
「まあ、面白いかどうかは分かりませんが……」
と話を始めた。
「実はですね、カリエス様の妻になったリリー様に関する噂があるのですが……それはつまり、リリー様はカリエス様のことを段々煙たがるようになったみたいで、暗殺の計画を企んでいるとかいないとか……まあ、噂レベルなんですけどね……」
「あの……それの方が重要じゃない!!!!!!」
ソフィアはこう言って、呆れてしまった。
「そうでしょうか???」
「ええ、そうですとも。さあ、それについてもっと調査してみなさいよ。私にもまだ古いつながりがあるから……これを暴いたら、私の名誉も挽回できるかも!!!」
ソフィアはこの新しい展望に期待した。
1
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
公爵令嬢の私を捨てておきながら父の元で働きたいとは何事でしょう?
白山さくら
恋愛
「アイリーン、君は1人で生きていけるだろう?僕はステファニーを守る騎士になることにした」浮気相手の発言を真に受けた愚かな婚約者…
幼馴染が大好きな婚約者とは婚約破棄しますっ!
神々廻
恋愛
私の婚約者は幼馴染が大好きらしく、幼馴染が倒れたからドタキャン。幼馴染が嫌われているからパートナーになる、などなど。
そして、悪びれもせず「ごめんね〜」と軽く謝られ......
そんなに幼馴染が大好きなら婚約破棄しますわ!
お気に入り、感想お願いします!
待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!
風見ゆうみ
恋愛
「1番愛しているのは君だ。だから、今から何が起こっても僕を信じて、僕が迎えに行くのを待っていてくれ」彼は、辺境伯の長女である私、リアラにそうお願いしたあと、パーティー会場に戻るなり「僕、タントス・ミゲルはここにいる、リアラ・フセラブルとの婚約を破棄し、公爵令嬢であるビアンカ・エッジホールとの婚約を宣言する」と叫んだ。
婚約破棄した上に公爵令嬢と婚約?
憤慨した私が婚約破棄を受けて、新しい婚約者を探していると、婚約者を奪った公爵令嬢の元婚約者であるルーザー・クレミナルが私の元へ訪ねてくる。
アグリタ国の第5王子である彼は整った顔立ちだけれど、戦好きで女性嫌い、直属の傭兵部隊を持ち、冷酷な人間だと貴族の中では有名な人物。そんな彼が私との婚約を持ちかけてくる。話してみると、そう悪い人でもなさそうだし、白い結婚を前提に婚約する事にしたのだけど、違うところから待ったがかかり…。
※暴力表現が多いです。喧嘩が強い令嬢です。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。魔法も存在します。
格闘シーンがお好きでない方、浮気男に過剰に反応される方は読む事をお控え下さい。感想をいただけるのは大変嬉しいのですが、感想欄での感情的な批判、暴言などはご遠慮願います。
それは報われない恋のはずだった
ララ
恋愛
異母妹に全てを奪われた。‥‥ついには命までもーー。どうせ死ぬのなら最期くらい好きにしたっていいでしょう?
私には大好きな人がいる。幼いころの初恋。決して叶うことのない無謀な恋。
それはわかっていたから恐れ多くもこの気持ちを誰にも話すことはなかった。けれど‥‥死ぬと分かった今ならばもう何も怖いものなんてないわ。
忘れてくれたってかまわない。身勝手でしょう。でも許してね。これが最初で最後だから。あなたにこれ以上迷惑をかけることはないわ。
「幼き頃からあなたのことが好きでした。私の初恋です。本当に‥‥本当に大好きでした。ありがとう。そして‥‥さよなら。」
主人公 カミラ・フォーテール
異母妹 リリア・フォーテール
(完結)私の夫を奪う姉
青空一夏
恋愛
私(ポージ)は爵位はないが、王宮に勤める文官(セオドア)の妻だ。姉(メイヴ)は老男爵に嫁ぎ最近、未亡人になったばかりだ。暇な姉は度々、私を呼び出すが、私の夫を一人で寄越すように言ったことから不倫が始まる。私は・・・・・・
すっきり?ざまぁあり。短いゆるふわ設定なお話のつもりです。
謝罪のあと
基本二度寝
恋愛
王太子の婚約破棄騒動は、男爵令嬢の魅了魔法の発覚で終わりを告げた。
王族は揃いも揃って魅了魔法に操られていた。
公にできる話ではない。
下手をすれば、国が乗っ取られていたかもしれない。
男爵令嬢が執着したのが、王族の地位でも、金でもなく王太子個人だったからまだよかった。
愚かな王太子の姿を目の当たりにしていた自国の貴族には、口外せぬように箝口令を敷いた。
他国には、魅了にかかった事実は知られていない。
大きな被害はなかった。
いや、大きな被害を受けた令嬢はいた。
王太子の元婚約者だった、公爵令嬢だ。
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる