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その2

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「王子様!!!」

ソフィアはカリエスのことを決して名前で呼ぶことはなかった。これは、古き伝統を重んじるソフィアの習わしだった。

「なんだ、ソフィアじゃないか……。ああ、こんなに早くから……一体どうしたって言うんだよ……」

「どうした、じゃありませんよ!!!さあ、今日のお勉強を始めますよ!!!」

「お前はいつもいつも……そればかりだな……。退屈しちゃうんだよ……」

カリエスはそう言った。だが、ソフィアはカリエスを強制的に勉強させた。

「皇帝陛下から仰せつかっておりますので……何かご意見がありましたら、私ではなく、皇帝陛下にお申し出頂きますように……」

「ああ、分かった分かったよ。全くもう……困ったもんだ……」

ソフィアは使命感に燃えていた。将来の皇帝の妻として、その皇帝がバカにされるようでは困る。だからこそ、自分が憎まれ役になったとしても、カリエスの面倒を見ると決めたのだった。


そんな日々を送っている中、時には珍しい来客があった。

「ソフィア様。リリー様と名乗る令嬢様がいらっしゃっておりますが……」

取次のメイドにそう言われて、ソフィアは驚いた。

「リリーが????この屋敷に来ているの???」

リリーは古い友人で、最近会うことはなかったが、ソフィアにとっては、最も信頼できる他人だった。

「分かりました。直ぐ、こちらに通してください」


促されて入って来たのは、ソフィアの知っているリリーだった。

「リリー!!!久しぶりね!!!」

ソフィアは旧友との再会を祝った。

「ああ、ソフィア。本当に久しぶり!!!」

この再会が偶然だったのか、あるいは、誰かに仕組まれたものなのか……いくら頭脳明晰なソフィアであっても、そこまで考えることはなかったのだった……。



 

 



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