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その1

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「レイチェル!!!君との婚約を破棄する!!!」

第一王子のマルティン様がそう言いました。私はマルティン様の婚約相手である、公爵令嬢のレイチェルです。さて……私は全知全能なる神(?)なので、その理由を知っています。ですが……一応マルティン様に質問してみることにいたしましょう。

「その理由は何でしょうか???」

「ああ、別に君に何か不具合があるというわけではないんだ。ただ……私の元に一通の手紙が寄せられてきてね。なんでも、裏山の祠に聖女が住んでいると言うんだ!!!そして、私はその聖女と婚約をすることに決めたのだ!!!」

聖女……絶対的な力を持って、神と人間の中間に位置すると言われる存在……というのは古い言い伝えであって、現実には存在しません。この私が言っているのですから、そうなのです。ですから、マルティン様は、間違った情報を元に、私との婚約を破棄しようと言っているのです。

別にマルティン様を責めるつもりなんてありませんが、何かしっくりと来ませんね。これにはきっと裏がある……そう思った私は、自分で調査を始めることにしました。まあ確かに、私は別にマルティン様のことを心の底から愛しているわけではございませんので、婚約破棄に関しましては正直どうでもいいのです。ただ……聖女などと勝手に名乗って、私のような紙を冒涜しようとする輩がいるのであれば、それを赦すことは到底できないわけでございます。何らかの制裁を加えるか、あるいは、死んでもらうしかないでしょうね。私としても、そこまでのことをしたくはないのですが、仕方のないことなのです。私が神として、自分の身を守るためにはこうするしか他に手段がないのでございます。
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