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この世を「生きる」ということ

生と命

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 ───こんな世界で、生きるくらいなら。


 そんなことを考えた人は、山のようにいるだろう。
 これを書いているわたしも、まったく同じことを考えたことがある。今も考えている。

 生きることを嫌だと思い始めたのは、いつからだっただろう。
 わりと最近のようにも思えるし、それよりもずっと前からだったようにも思える。

 だが、それが明確になったのは去年の冬だった。

 わたしは普通の社会人だった。
 高校を卒業し、接客業と販売業が主となる職に就くことが出来た。
 初めての仕事は不安でいっぱいだったし、どきどきした。でも、そばには優しい先輩や上司の人達がいてくれた。たとえ大きなミスをしても、先輩達はわたしのことを助けてくれた。
 非常に恵まれた環境だった。にも関わらず、わたしは考えてしまったのだ。


 「生きたくない」と。

 「死んでしまいたい」と。


 ただ普通に仕事をしていただけ。それなのに、わたしは考えてしまった。

 これを書いている今も、わたしは思っている。

 「生きる」なんて、くだらないと。
 「命」など、なくなってしまえばいいと。

 これを読んだあなたは、どう思うだろうか。

 馬鹿馬鹿しいと思うだろうか。それともああ、わかるなと思うだろうか。

 考えは人それぞれだ。わたしの考えを非難してくれたっていい。
 哀れだと言って目を逸らしてくれても、馬鹿が馬鹿な発言をしていると笑ってくれたって構わない。

 両親が与えてくれたものなのに、何を言っているんだと怒る人もいるだろう。


 だけれど、どうか言わせてほしい。


 こんな世界を、こんな自分が生きるくらいなら。



 死んでしまえた方がずっといいと。
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