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81話 世界の中の自分

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「まぁ、大体お前が思った通りだろうよ。
 金の集まるところってのは、力が集まる……人に物、それに武器に権力なんかもな。 
 要は“俺たちが武器を買い込んで武装蜂起”もしくは“村人総出で夜逃げ”しようとしてんじゃないかって疑ってるわけだ。あのアホは。
 ……とは言っても、奴もそこまで本気で考えてる訳じゃないだろうがな。
 あくまで可能性の一つ、ってくらいの考えだろうよ。
 若いの、どうせウチで買ってる物品も調べてこいとか言われてんじゃねぇのか?」

 村長はそこまで言うと、今まで俺に向けていた視線をヴァルターへと移した。

「……確かに言われているな。
 だから、ここに来るまでに何度か荷馬車に忍び込んで、中身を改めさせてもらった。
 でもまぁ、らしい・・・物はな~んも見当たらなったけどな。
 積んでいた荷はものの見事に食料と食料と食料と食料で、残りは日用雑貨と来たもんだ。
 どんだけメシ食ってんだよこの村の奴らは?」

 それは、食堂用とか給食用とか、いざって時の為の備蓄用とか諸々あるんだよ。
 人間、住む所はなくても食う物さえあれば生きていけるからな。
 それに、腹が減るとイライラしてきて、思考力が鈍って来る。これでは、いい考えが浮かばないだけでなく、まとまる話もまとまらなくなってしまうものだ。
 これは俺の前世での経験談だ。
 とにかく腹を満たしておけば、イラつくこともなく、暴動なんかも起きにくくなるし、それに安易に危険な決定に流される事を抑止も出来る。人間、追いつめられると何しでかすか分かったもんじゃないからな。
 食べる物くらい、余裕を持って貯蓄しておきたいってこった。 
 兎にも角にも、食料第一なのだ! 沢山あって困るものでもないしな。
 消費期限が限界に来たら、みんなでぱぁっと食っちまえばいいだけだ。
 が、そこまで教えてやる必要はないから黙っとこ。

「それに、じぃさんが言うように、大将だってそこまで本気で警戒してた訳じゃないってのはその通りだな。あくまで一応ってだけの話だ。
 ハロリア商会の事務所に忍び込んだ時に見つけた取引明細も、ほとんどが食料だったしな。それは大将も知ってることだ。
 でもまぁ、今となっちゃ、四方八方敵だらけだからなあの領主サマはよぉ。
 うちの大将も気が気じゃないってこった。
 何時小さな種火から大火に化けるか分かったもんじゃないからな。だから、少しでも安心出来る材料が欲しかったんだろうよ。
 “まだ大丈夫”っていう免罪符がな……」

 で、最後に“まっ、実際に大将が何考えてるかなんて、俺には分からねぇけどよ”と、ヴァルターは言葉を結んだ。
 てか、我がスレーベン領の領主サマってのはそんなに嫌われ者なのか?
 まぁ、俺だって好きではないがな。税金きついし。
 正直な話、俺は今までこの村の外の世界、というものを深く意識したことはなかった。
 以前、自分の置かれている環境を知るために、この世界のことを少し調べたりはしたがそれだけだ。
 身近なところだと近くの村の状況だとか、視野を広げれば国や領内の政治や経済の動向だとか、そういうものを、あまり気に留めていなかったのだ。
 それは、流れて来る情報量が少なすぎて気にしても仕方がない、と諦めたからというのもあるが、そもそも俺の中では、この村の中だけで世界が完結しているから、という理由の方が大きい。
 多少税金の取り立てが厳しくてムカつきはするが、だからって明日食う物がない、なんて状況になるようなことは今まではなかった。
 確かに、貧しくはあったがそれも今となっては昔の話でしかない。今はそれなりに充実した生活を送れているからな。まぁ、娯楽関係が少なすぎるという問題を除けば、ではあるが。
 それに、別に王都や大きな町、所謂“都会”に行きたいなんて気は更々ないし、世界を見て回りたい、という気もない。生来、俺は出不精な人間なのだ。故に、その活動範囲は極めて狭い。
 前世では出勤とゴミ出し以外で、自宅から出る事なんて徒歩往復五分以内のコンビニに行くぐらいなものだった。
 旅行? めんどい。ショッピング? ポチれば翌日には自宅に届きます。
 よくよく考えてみれば、実に引きこもり気味な自分にとっては、なんとも都合のいい社会だったのだなぁ日本って……とヘンに実感させられる。
 以前にも言ったが、俺は金持ちになりたい訳でも、英雄になりたい訳でもない。
 日々の生活に困らないだけの稼ぎと、少しの楽しみがあればそれでいいのだ。
 この世界に転生して、初めて農業なるものを経験したが、やってみるとこれが意外に面白いし、魔術陣の研究も趣味の範囲でなら十分に楽しめる。いい暇つぶしだ。
 たまに、俺の与り知らぬところで問題が起きていたりもするが、それもまぁ、イベントの一つだと割り切ればそれほど気になるものでもない。
 俺の一番の目標は、日々を面白可笑しく過ごすこと、次点で平々凡々と過ごすことなのだ。
 領主や貴族たちの圧政で、あえいでいる人たちがいる、という話は幾度か耳にしたことはある。が、それは俺に取ってはフィルター一枚向こう側の話でしかないのだ。
 テレビで世界中の貧民や難民のニュースが流れたとして、それを見て“よし! 自分がなんとかしてやろう!”なんて思う人間がどれだけいる?
 少なくとも俺は思わなかった。“大変だなぁ”なんて思うだけで、翌日にはそう思ったことすら忘れているのが大概だ。
 国内で起きた大きな災害でさえ、ボランティアをしてまで復興支援に行こう、なんて思わない人間だぞ、俺は。
 多少聞こえは悪いが、極論をいってしまえば、俺はこの村さえ平和であるならそれでいいとさえ思っているのだ。この村の外での出来事など、正直どうでもいい……と。
 だが、ヴァルターがこの村に来たことで、俺の考えが少し揺らいでいた。
 情報というのは、漏れる時は何処からか漏れる物だ。
 この村が陸の孤島であっても、イスュがどんなに厳重に管理しても、絶対という保証はどこにもない。
 ここにヴァルターという存在がいる。というのが、その証明なのだ。
 俺は、こいつが村に現れるまで、そんな当然の事すらろくに考えようとはしなかった。
 どこかで楽観視していたのだ。“この村だけは大丈夫”だと、なんの根拠もなしに、だ。
 今回はまだヴァルターが悪意ある人物でないことに救われた。だがしかし……
 これがもし、悪意ある者や、領主や貴族のスパイであったとしたら?
 村はどうなっていたのだろうか……その先を考えて、背筋がゾワリとした。
 いや、既に伝わっている可能性だってゼロではないのだ……
 今、この瞬間にも役人どもが大挙して村に押し寄せている最中でもおかしくはないのだから。
 矛先が今までこちらを向いていなかったからといって、何故これからも向かないなんていえる……
 対岸の火事、とはいってはいられないのだ。大火はもう眼と鼻の先まで迫っているかもしれないのだから……
 俺はこの世界の事を何も知らない。知ろうとしなかった。
 領主や貴族の事も知らないし、他の町や村のことだって知らない。
 前世では情報なんて、周りに溢れていて当然のものだった。だけど……
 知らない、分からない、それがどれだけ怖い・・ことのなのか俺は今、身をもって体感していた。
 俺はもっとこの世界の事を知らないといけないのかもしれない……
 
「にしても……大したもんだな。
 たったあれだけの言葉で、そこまで推測するってのもよ……」

 ふいに、ヴァルターがイスに座ったまま、何処を見るとはなしに床の一点を見つめてそう呟いた。

「なに……奴の事は昔から知ってっからなぁ。別に……」
「いや、ちげーよ、じぃさん……確かにあんたも十分すげーが、俺が言ってんのは……」

 ヴァルターはそこで言葉区切ると、顔を上げて俺の方へと指を突き付けた。
 
「そこの坊主のことだよ……何者だよそいつ? ホントに子どもか?」
「人を指さすとは、なんて失礼な奴だ。
 もう一度、ハサミ虫くんの刑にでもかけてやろうか? ああん?」
「おっと……そいつは悪かったな」

 そう言うと、ヴァルターはさっと指を引っ込めた。

「で、これだ。
 まったく物怖じしねぇ図太い性格に、断片的な情報から全体像を引き出す考察力は老賢者も真っ青だろうよ、で、極めつけは見たこともねぇ魔術を使うと来たもんだ……
 正直俺は、そこのでかいおっさんよりも、そこのほっそいにーさんよりも何よりも……
 このちっこい坊主の方がずっと怖い。不気味だと言ってもいい。
 実は中に小さいおっさんが入ってるだとか、アルブとのハーフでそのなりで実は数百歳だとか言われた方がまだ納得できるってもんだ」

 おっ? 正解!
 正解のご褒美に、探検家の姿をした人形をプレゼントしたいところだが、残念なことにその秘密は墓場まで持っていくつもりなので、たとえ正解でもボッシュートだ。大体人形自体もないしな。
 で、アルブってのはこの世界のエルフみたいな存在だ。
 美形が多くてすごい長命。外見も若いまま老いないらしい。
 とはいっても、現物を見たことがないから詳しくは知らんがな。お伽噺なんぞにちょろっと出て来るだけの存在だ。
 聞いた話によると、そもそもこの国、アストリアス王国には人間以外の人種は住んでいないのだとか。
 ちょっと残念だ。エルフとかドワーフとか、一度モノホンを見てみたいものだ。
 しかし……
 はて? 魔術? なんのことだろうか?
 もしかして、ヴァルター捕獲時のあのマジックミラー魔術陣、折光せっこう陣の事を言っているのだろうか?

「は? 俺は別に魔術なんて使……もごもごもご……」

 使ってない、と言おうとしたら突然口元を何者かに押さえつけられてしまった。
 誰かと思い、上を見上げればそこには神父様の姿があった。

「ええ、この子はうちの村の秘蔵っ子ですからね。なめて掛かると痛い思いをしますよ?」

 と、薄く笑みを浮かべてそう言う神父様に“もう、とっくにしてんだよ”とぶっきらぼうにヴァルターが返していた。
 ああ……そうか。
 ここで俺が“魔術なんて使っていない”なんて答えたら、“じゃ、あれは何だったんだ?”って話になってしまうのか。
 下手をしたら、そこから魔術陣の存在を知られてしまう切っ掛けを与えてしまう恐れもある訳だ。
 神父様ナイスアシスト。危うく口を滑らせるところだったぜ……
 俺は口を押えられたままの姿勢で、こっそり神父様にサムズアップを送った。
 神父様も俺の意図を理解してくれたのか、口元を覆っていた手を解放してくれた。
 ただでさえうちの内職がバレているのに、魔術陣のことまでバレてしまうのは正直よろしくない。

 実をいえば、俺がイシュにいくら責付せっつかれても、魔術陣を商品として売りに出したくなかったのは、いつも言っている様に他人の褌で相撲を取るようになまねをしたくはない、という理由の他に“こういう事態”になることを危惧して、という意味合いもあるのだ。
 この世界には、魔石や魔共晶といった、所謂“マジックアイテム”的なものが存在している。
 魔石はほぼ自然発生でしか入手出来ない高価な外部バッテリーでしかないし、魔共晶の方はただ単に、魔力マナに反応する鉱石を削り出しているだけの物だが、中にはもっと複雑かつ強い力を持った物もあるのだと、以前神父様は言っていた。
 神父様が持つ蔵書の中にも、それらしいと思われる武具が描写されている物もある。
 簡単に言えば、魔剣とか聖剣とか魔槍とか伝説の鎧だとか盾だとか、そんな感じの物だ。
 では、そういった品が一般的に世に出回っているかというとそうでもない。
 これら、魔術的な力を持った物は“術宝具”と呼ばれる、大変希少なものなのだ。
 初めて神父様が魔術陣を見た時に、子どもみたいに大興奮していたのも頷ける。
 もし仮に、石ランプの様な単純な物であったとしても、そんな物が大量に市場に出回れば、その衝撃はソロバンやリバーシなどの比ではないだろう。
 当然、見様見真似でコピーしようとする者が出て来るだろうが、市場に流す以上はそういった不正コピーの対策は必須だろう。
 魔術陣は、難しく作ろうと思えば、いくらでも難しく出来るのだ。むしろ、簡単にする方がずっと難しい。
 大体、下手に悪用されたらかなわんしな。
 で、コピー出来ないと分かれば、次に起こす行動など分かり切っている。
 自分たちで作れないのなら、作らせればいいのだ。つまりは、出所と製作者の特定だ。
 それこそ、ヴァルターの様な人間がごまんと押し寄せてくることになる。
 そんなのはまっぴら御免だ。
 ソロバンやリバーシはコピー出来るからこそ、そこまでの流れにはならなかったといえるのだ。
 自分たちで作り出すことが出来るなら、“誰が初めに作ったか”など大したことではない、ということだな。
 そういう意味では、今回ヴァルターにバレたのが内職の方でよかったんだろうな、と思う。
 もし魔術陣の方だったら……あまり考えたくはないな。
 
 だがまさか、作った物ではなくて、稼いだ金に目を付けられるとは思いもしなかった。
 きっとこれから、同じように稼ぎのいい奴等は出て来るだろう。
 なんてったって、パクリ商品が結構流通しているそうだしな。で、その都度探りを入れていくのだろうな……きっと。

「で、お前さんはこれからどうするよ?」

 と、村長がヴァルターに問いかけた。
 確かに、ヴァルターがここにいる意味というのはもうほとんどないのかもしれないな。
 うちの村に危惧していた動きがないと分かれば、ヴァルターはお役御免だ。

「すんなり帰してもらえるってんなら、このまま大将に報告に行くさ。
 “あの村は何もする気はない”ってな」

 村長がどんなつもりでそう問うたのかは分からないが、折角の貴重な情報源だ。
 見す見す帰すって手はないだろう。
 俺も知りたいことがごっそり出来たしな……

「まぁまぁ、そう慌てて帰ることもないだろ?
 まだ日は高いんだ、もう少しお話しようじゃないか、じっくりと……さ」

 俺は、一歩ヴァルターの前に進み出て、そう言ったのだった。
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