魔法の数字

初昔 茶ノ介

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2章:学園生活

前日の事件

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試験の前日。私は今日の授業を終えて、二組の教室へ向かう。
昨日はレプラ先生の話を思い出して、全然眠れなかった。
段々と心配が加速して、私の足を早く教室へ向かわせる。

「あの!そこのぉー!リンさん!」

私は急ぐ足を止めて、声のした方を向く。

「リリス…さん?」

「ヴェルくんをぉ~どこにやったんですかぁ~?」

「え……?」

リリスさんの言葉を聞いて、私の不安が大きくなっていく。

「今日ヴェルくんはぁ~教室へきていないんですよぉ~?あなたがぁ~ついこの間までぇ~ヴェルくんといたのはぁ~知ってますぅ~。さぁ!早くぅ~ヴェルくんの居場所を…ってリンさぁ~ん!?どこに行くんですかぁ~!?」

私はいてもたってもいられなくなり、教員室へ向かった。

「ママっ!」

私はどうしていいかわからず、とりあえず頼りになる人はママしか思い浮かばなかった。

「リンちゃん?そんなに急いでどうしたの?それと、学校では先せ…」

「ヴェルくんが…いないの…!私…どうしたら…」

「ヴェルくん?あ、あの全色くんね。いないってどういうこと?」

「なにごとですか。教員室で騒がれちゃ困りますよ」

ママと話をしている時に、違う先生が私を注意しにきた。

「ランガイ先生、ヴェルと呼ばれる生徒が本日、教室にきていないというのは本当ですか?」

「あぁ、そんなことですか。今年から教師になられたセルフィア先生はご存知ないでしょうが、この時期になったら一日二日休む生徒が出てくるんですよ」

「それで、どうされたんですか……?」

「どうといわれましても、どうもしませんよ」

「どうもしない?どうしてですか?」

ママは半分怒っているように立ち上がり、ランガイ先生に抗議した。
しかし、ランガイ先生はママを一蹴するように鼻を鳴らした。

「そのような生徒は少し放置すれば出てきますよ。そんな生徒に構って他の真面目な生徒に影響を出すわけにはいきませんからね」

「そんなヴェルくんは…!」

私が口を出そうとした所で、ママが私を止めた。

「たしかに、ランガイ先生の言うように、何かしらの理由でこられない生徒もいるのでしょう…でも、ヴェルくんは候補生です。候補生にもし何か起きたらどうするおつもりですか?」

「それこそ、候補生だから緊張や不安で休んだ、とは考えられないんですか?」

ランガイ先生の発言にママは信じられないという表情をした。
ママの気持ちはなんとなくわかる。私だってこの先生は担任なのに何もしないのかと言いたいし、なによりも…ヴェル君は緊張に負けちゃう弱い人じゃない…!

「もう結構です。リンちゃん、行きましょう」

「うん…」

私はママに連れられて教員室を出ようとした。

「どこに行くおつもりですか」

教員室の扉に、ママが手を付けたところでランガイ先生に引き留められた。

「もちろん、ヴェルくんを探します。彼は大切な候補生ですから」

「私の担当の生徒ですよ?セルフィア先生が関わることでは…」

「私の担当の生徒から、友達を探してほしいと相談をされているんです。私が動くのは当たり前でしょう?」

ママと私はそれだけ言い残して、教員室を後にした。
しかし、私は見てしまった。私たちが出ていくときに、ランガイ先生がにやりと笑っているのを。

とりあえず私たちは男子寮に向かって、部屋にヴェルくんがいないのかを確認した。
ヴェルくんの部屋に到着して、私は扉をノックした。

「ヴェルくん…?いない…」

しばらくたっても返事がなかったので、私たちは出ていこうとした。その時…。

「かぁ~くぅ~ほぉ~!」

「ひゃぁぁぁ!!??」

急にヴェルくんの部屋が開き、誰かが私を押し倒して、抑えつけた。

「さぁ~ヴェルくんの居場所を~早く言うのですよぉ~」

「うぅ…私…知らない…」

「あれ…?あなた、もしかして…ライト家のお孫さんじゃないですか?」

「ん……?あ、リーネさま。今日はお日柄もよく…ってぇ~それどころじゃぁ~ないのですよぉ~。いまぁ~私のぉ~友達誘拐犯を~捕まえたところなのですよ~」

「あらあら、それは私の娘のことをいっているのかしら?私の娘はファザコンとマザコンは混ざってるけど、誘拐して監禁する趣味はないはずよー?」

「ファザコンと…マザコンも…ない…」

「そうは言ってもぉ~私の推理によればぁ~犯人はヴェルくんのぉ~部屋に来るはずなのですよぉ~」

「ん~…あなたがヴェルくんと最後に会ったのはいつかしら?」

ママの質問にリリスさんは人差し指を口元にあて、んーと考えるようなしぐさをとった。

「昨日の放課後ぉ、18時まではこの部屋でぇ~ヴェルくんといましたぁ~」

「あら、それじゃあリンちゃんがヴェルくんをさらうことはできないわ。リンちゃんは昨日の19時まで、私と図書室で勉強をしていて、その後、寮まで私が送っていったもの。それに、リンちゃんの相部屋の人は同じクラスで、ずっと一緒にいるから朝に襲うというのも不可能ね。リンちゃんの相部屋の子に聞けば証明できるもの」

「え…?つ、つまり…?」

「リンちゃんは犯人じゃないわね」

「えっとぉ~ご、ごめんなさぁーい!」

リリスさんは私の上に馬乗りのまま、謝っていた?

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