9 / 20
第1章
事実は小説より奇なりだよね
しおりを挟む
「明日には街に着く。そこで、モモにはギルドへの出頭を命じられると思うが、悪いようにはしないよう俺も報告しよう」
「ありがとうございます」
ガラムさんから明日、街に入ってからの流れを説明された。
まず街のギルドへ向かい、ルゥのことを説明する。
私と従魔契約をしたこと、危険がないことなどだ。
実はルゥは体の大きさをある程度変えられるようで、街には子犬の大きさになって連れて行く。
「あーあ…モモちゃんの料理はもう食べられないのかぁ…」
エルさんがため息混じりにボヤくのを聞いて、カイルもそれに同意する。
「遠くに行く依頼でこんなうまい飯が食えるならストレスもねーよな」
冒険者の人たちは干し肉やカチカチのパンなど、保存の効くものしか持っていかないらしい。
その場で狩りをすることもあるが、調味料よりも回復薬のほうが重要なため、持っていくことも少ないと教えてくれた。
「うまい飯はありがたいが、毎晩毎晩お前らの喧嘩を止めるのは面倒だな」
ここまでの道のりで、カイルとエルさんは最後の一口の争いが絶えなかった。
その度にガラムさんが2人を止めているため、ちょっと申し訳なかった。
「モモさんは冒険者にはならないのですか?」
アイシアさんに聞かれて私はうーんと首を傾げた。
「どうだろう…なりたいような、なりたくないような?」
「なんだそりゃ」
「私、攻撃できる魔法がないから…なっても足を引っ張っちゃうかも…」
「いや、それは心配ないだろ」
「たしかに…」
「え?どうして?」
私がそう聞くと、4人は横で寝ているルゥを見る。
ルゥが何かあるの?
「ほんとにわかってなさそうね…」
はい、よくわかってません。
そんな会話をしている時、急にルゥが目を覚まして立ち上がると、森の中へ威嚇するように喉を鳴らした。
「ルゥ?どうしたの?」
『この先に何か大きな気配を感じる』
私はルゥのいう方を向き、合わせて4人も同じ方を向く。
しばらくすると、大きな音と一緒に木よりも遥かに大きい1つ目の巨人が現れる。
「ギガンテス!?なんで第一級危険指定魔物がこんなところに!?」
巨人が木をまるで小枝のようにバキバキと折りながらこちらに向かってくる。
蹴られそうになるが、なんとか全員避けた。しかし、焚き火を消されて真っ暗になる。
「とにかく逃げるぞ!全員すぐに…グハッ!」
ガラムさんの声が急に聞こえなくなる。
「ガラム!?どうしたの!?ゔっ…!」
次はアイシアさんの声が聞こえ、さらにカイルとエルさんも何かに襲われたように声が聞こえなくなった。
「みんな!?どこ!?」
『モモ!避けよ!』
「きゃっ!?」
私の服を急に引っ張られて後ろによろめくと、目の前に何か大きなものが通り過ぎたような風を感じた。
たぶん、さっきのギガンテスと呼ばれたやつの足だろう。
『ちょろちょろと騒いでる奴らがいると思ったら、1匹犬コロが混ざってやがるのか』
ギガンテスが舌打ち混じりにそう言う。
だんだん目が暗さに慣れてきて、うっすらにだが、周りが見えるようになる。
「なんで私達を襲うの?」
『あぁん?お前俺の言葉がわかるのか?別に意味なんてない。邪魔だったから退治してるだけだ、お前ら人間だってそうやって魔獣を倒しているだろう?」
確かに、ルゥのことにせよ何もしていないのに危険ってだけで倒される魔獣は少し可哀想だ。
でも、ガラムさん達にこんなことをするのは許せない。
『モモ、逃げるぞ』
ルゥがそう言ってまた私の服を引っ張る。
「でもガラムさん達が!」
『少しは自分の身を考えよ!』
「でも!」
またしても攻撃がくる。
ルゥは私を引っ張って背中に乗せると、攻撃を避ける。
どうにか…どうにかできないか…。
「ルゥ、あいつに弱点はないの?」
『やつは体が硬いが、日光に弱い。しかし、朝までは時間が長い』
そう言ってルゥは攻撃を避け続ける。
朝までこうやっているにはルゥが危険すぎる…。
ルゥがちょうどジャンプして空中に避けた時、ギガンテスの拳が飛んでくる。
「結界の魔力を捧げ盾を…シールド!」
ルゥの目の前に結界魔法で盾を出す。
ギガンテスの拳は盾を殴り、大きな音が響いた。
でも、ギガンテスの大きな拳でも私の盾は壊せないのか…。
そうだ!
「ルゥ!みんなを一ヶ所に集めて!」
『何をする気だ』
「いいから!」
ルゥは私の指示どおりに、ギガンテスに気がつかれないように1人づつ焚き火の場所まで移動させる。
私がみんなを助けてみせる!
「ありがとうございます」
ガラムさんから明日、街に入ってからの流れを説明された。
まず街のギルドへ向かい、ルゥのことを説明する。
私と従魔契約をしたこと、危険がないことなどだ。
実はルゥは体の大きさをある程度変えられるようで、街には子犬の大きさになって連れて行く。
「あーあ…モモちゃんの料理はもう食べられないのかぁ…」
エルさんがため息混じりにボヤくのを聞いて、カイルもそれに同意する。
「遠くに行く依頼でこんなうまい飯が食えるならストレスもねーよな」
冒険者の人たちは干し肉やカチカチのパンなど、保存の効くものしか持っていかないらしい。
その場で狩りをすることもあるが、調味料よりも回復薬のほうが重要なため、持っていくことも少ないと教えてくれた。
「うまい飯はありがたいが、毎晩毎晩お前らの喧嘩を止めるのは面倒だな」
ここまでの道のりで、カイルとエルさんは最後の一口の争いが絶えなかった。
その度にガラムさんが2人を止めているため、ちょっと申し訳なかった。
「モモさんは冒険者にはならないのですか?」
アイシアさんに聞かれて私はうーんと首を傾げた。
「どうだろう…なりたいような、なりたくないような?」
「なんだそりゃ」
「私、攻撃できる魔法がないから…なっても足を引っ張っちゃうかも…」
「いや、それは心配ないだろ」
「たしかに…」
「え?どうして?」
私がそう聞くと、4人は横で寝ているルゥを見る。
ルゥが何かあるの?
「ほんとにわかってなさそうね…」
はい、よくわかってません。
そんな会話をしている時、急にルゥが目を覚まして立ち上がると、森の中へ威嚇するように喉を鳴らした。
「ルゥ?どうしたの?」
『この先に何か大きな気配を感じる』
私はルゥのいう方を向き、合わせて4人も同じ方を向く。
しばらくすると、大きな音と一緒に木よりも遥かに大きい1つ目の巨人が現れる。
「ギガンテス!?なんで第一級危険指定魔物がこんなところに!?」
巨人が木をまるで小枝のようにバキバキと折りながらこちらに向かってくる。
蹴られそうになるが、なんとか全員避けた。しかし、焚き火を消されて真っ暗になる。
「とにかく逃げるぞ!全員すぐに…グハッ!」
ガラムさんの声が急に聞こえなくなる。
「ガラム!?どうしたの!?ゔっ…!」
次はアイシアさんの声が聞こえ、さらにカイルとエルさんも何かに襲われたように声が聞こえなくなった。
「みんな!?どこ!?」
『モモ!避けよ!』
「きゃっ!?」
私の服を急に引っ張られて後ろによろめくと、目の前に何か大きなものが通り過ぎたような風を感じた。
たぶん、さっきのギガンテスと呼ばれたやつの足だろう。
『ちょろちょろと騒いでる奴らがいると思ったら、1匹犬コロが混ざってやがるのか』
ギガンテスが舌打ち混じりにそう言う。
だんだん目が暗さに慣れてきて、うっすらにだが、周りが見えるようになる。
「なんで私達を襲うの?」
『あぁん?お前俺の言葉がわかるのか?別に意味なんてない。邪魔だったから退治してるだけだ、お前ら人間だってそうやって魔獣を倒しているだろう?」
確かに、ルゥのことにせよ何もしていないのに危険ってだけで倒される魔獣は少し可哀想だ。
でも、ガラムさん達にこんなことをするのは許せない。
『モモ、逃げるぞ』
ルゥがそう言ってまた私の服を引っ張る。
「でもガラムさん達が!」
『少しは自分の身を考えよ!』
「でも!」
またしても攻撃がくる。
ルゥは私を引っ張って背中に乗せると、攻撃を避ける。
どうにか…どうにかできないか…。
「ルゥ、あいつに弱点はないの?」
『やつは体が硬いが、日光に弱い。しかし、朝までは時間が長い』
そう言ってルゥは攻撃を避け続ける。
朝までこうやっているにはルゥが危険すぎる…。
ルゥがちょうどジャンプして空中に避けた時、ギガンテスの拳が飛んでくる。
「結界の魔力を捧げ盾を…シールド!」
ルゥの目の前に結界魔法で盾を出す。
ギガンテスの拳は盾を殴り、大きな音が響いた。
でも、ギガンテスの大きな拳でも私の盾は壊せないのか…。
そうだ!
「ルゥ!みんなを一ヶ所に集めて!」
『何をする気だ』
「いいから!」
ルゥは私の指示どおりに、ギガンテスに気がつかれないように1人づつ焚き火の場所まで移動させる。
私がみんなを助けてみせる!
10
お気に入りに追加
349
あなたにおすすめの小説
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
知らない世界はお供にナビを
こう7
ファンタジー
私の異世界生活の始まりは土下座でした。
大学合格決定してからの帰り道、一ノ瀬楓はルンルン気分でホップステップジャンプをひたすら繰り返しお家へと向かっていた。
彼女は人生で一番有頂天の時だった。
だから、目の前に突如と現れた黒い渦に気づく事は無かった。
そして、目を覚ませばそこには土下座。
あれが神様だって信じられるかい?
馬鹿野郎な神様の失態で始まってしまった異世界生活。
神様を脅……お願いして手に入れたのはナビゲーター。
右も左も分からない異世界で案内は必要だよね?
お供にナビを携えて、いざ異世界エスティアへ!
目指すはのんびり旅の果てに安住の地でほそぼそとお店経営。
危険が蔓延る世界でも私負けないかんね!
シリアスよりもコメディ過多な物語始まります。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
ピンク頭で男爵令嬢だからと言って勝手にお花畑ヒロインだと決めつけないで下さい
まゆら
恋愛
私は、王立学園に通い出したところの男爵令嬢アイラ。
同学年に王太子とその婚約者がいるらしいが、私は全く興味がない。
しかし、王太子の婚約者の取り巻きである高位貴族令嬢たちや学園は自由恋愛だと勘違いしている下位貴族令嬢から王太子には近づくなと釘を刺されたり、行動を監視される毎日である…というような王道展開は多分ないので安心して下さい。
私がピンク頭の男爵令嬢だからって、勝手に脳内お花畑の恋愛至上主義だと決めつけないで頂けますか?
私はおバカヒロインではないですし、転生してきた聖女でもないですから!!
どちらかと言えば、真実の愛に目覚めたのですとかいうバカ女は苦手なので、近づいてきたら排除します!
私は、父から任せられた商会を大きくする為に王都に来たのですから…
皆様は、もれなくうちの商会の顧客になって頂きますからね?
私…色恋よりもお金が大好きなんです!
恋愛には全く興味が無いアイラだが、いとこから溺愛されていたり、隣国の王子から求愛されたり…色々と周囲は騒がしいのだ。
アイラの魔力と魔法については、とりあえずチートなのであまり気にしないで下さい。
ご都合主義に物事が流れていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる