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第1章

事実は小説より奇なりだよね

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「明日には街に着く。そこで、モモにはギルドへの出頭を命じられると思うが、悪いようにはしないよう俺も報告しよう」

「ありがとうございます」

ガラムさんから明日、街に入ってからの流れを説明された。
まず街のギルドへ向かい、ルゥのことを説明する。
私と従魔契約をしたこと、危険がないことなどだ。
実はルゥは体の大きさをある程度変えられるようで、街には子犬の大きさになって連れて行く。

「あーあ…モモちゃんの料理はもう食べられないのかぁ…」

エルさんがため息混じりにボヤくのを聞いて、カイルもそれに同意する。

「遠くに行く依頼でこんなうまい飯が食えるならストレスもねーよな」

冒険者の人たちは干し肉やカチカチのパンなど、保存の効くものしか持っていかないらしい。
その場で狩りをすることもあるが、調味料よりも回復薬のほうが重要なため、持っていくことも少ないと教えてくれた。

「うまい飯はありがたいが、毎晩毎晩お前らの喧嘩を止めるのは面倒だな」

ここまでの道のりで、カイルとエルさんは最後の一口の争いが絶えなかった。
その度にガラムさんが2人を止めているため、ちょっと申し訳なかった。

「モモさんは冒険者にはならないのですか?」

アイシアさんに聞かれて私はうーんと首を傾げた。

「どうだろう…なりたいような、なりたくないような?」

「なんだそりゃ」

「私、攻撃できる魔法がないから…なっても足を引っ張っちゃうかも…」

「いや、それは心配ないだろ」

「たしかに…」

「え?どうして?」

私がそう聞くと、4人は横で寝ているルゥを見る。
ルゥが何かあるの?

「ほんとにわかってなさそうね…」

はい、よくわかってません。
そんな会話をしている時、急にルゥが目を覚まして立ち上がると、森の中へ威嚇するように喉を鳴らした。

「ルゥ?どうしたの?」

『この先に何か大きな気配を感じる』

私はルゥのいう方を向き、合わせて4人も同じ方を向く。
しばらくすると、大きな音と一緒に木よりも遥かに大きい1つ目の巨人が現れる。

「ギガンテス!?なんで第一級危険指定魔物がこんなところに!?」

巨人が木をまるで小枝のようにバキバキと折りながらこちらに向かってくる。
蹴られそうになるが、なんとか全員避けた。しかし、焚き火を消されて真っ暗になる。

「とにかく逃げるぞ!全員すぐに…グハッ!」

ガラムさんの声が急に聞こえなくなる。

「ガラム!?どうしたの!?ゔっ…!」

次はアイシアさんの声が聞こえ、さらにカイルとエルさんも何かに襲われたように声が聞こえなくなった。

「みんな!?どこ!?」

『モモ!避けよ!』

「きゃっ!?」

私の服を急に引っ張られて後ろによろめくと、目の前に何か大きなものが通り過ぎたような風を感じた。
たぶん、さっきのギガンテスと呼ばれたやつの足だろう。

『ちょろちょろと騒いでる奴らがいると思ったら、1匹犬コロが混ざってやがるのか』

ギガンテスが舌打ち混じりにそう言う。
だんだん目が暗さに慣れてきて、うっすらにだが、周りが見えるようになる。

「なんで私達を襲うの?」

『あぁん?お前俺の言葉がわかるのか?別に意味なんてない。邪魔だったから退治してるだけだ、お前ら人間だってそうやって魔獣を倒しているだろう?」

確かに、ルゥのことにせよ何もしていないのに危険ってだけで倒される魔獣は少し可哀想だ。
でも、ガラムさん達にこんなことをするのは許せない。

『モモ、逃げるぞ』

ルゥがそう言ってまた私の服を引っ張る。

「でもガラムさん達が!」

『少しは自分の身を考えよ!』

「でも!」

またしても攻撃がくる。
ルゥは私を引っ張って背中に乗せると、攻撃を避ける。
どうにか…どうにかできないか…。

「ルゥ、あいつに弱点はないの?」

『やつは体が硬いが、日光に弱い。しかし、朝までは時間が長い』

そう言ってルゥは攻撃を避け続ける。
朝までこうやっているにはルゥが危険すぎる…。
ルゥがちょうどジャンプして空中に避けた時、ギガンテスの拳が飛んでくる。

「結界の魔力を捧げ盾を…シールド!」

ルゥの目の前に結界魔法で盾を出す。
ギガンテスの拳は盾を殴り、大きな音が響いた。

でも、ギガンテスの大きな拳でも私の盾は壊せないのか…。
そうだ!

「ルゥ!みんなを一ヶ所に集めて!」

『何をする気だ』

「いいから!」

ルゥは私の指示どおりに、ギガンテスに気がつかれないように1人づつ焚き火の場所まで移動させる。

私がみんなを助けてみせる!
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