上 下
2 / 20
第1章

キャラクリってこだわるよね

しおりを挟む
目が覚めたら真っ白なところにいた。
本当に真っ白なところで、何か立ち上がっても地面も真っ白なのでなんかよくわからない感覚に襲われた。

「ここどこ?」

「目が覚めましたか?」

私が辺りを見渡していると上から羽のついた女の人が降りてきた。
いや、人って飛べるの?しかもすっごいリアルな羽なんだけど。コスプレもここまできたらすごいね。

「コスプレなどではなく本物ですよ」

「え…?」

今、私の心読まれた!?

「私は女神ティア。桃さん、あなたは今の状況を理解できていますか?」

「私の状況ですか?えっと、仕事からの帰りで…男の子が飛び出して…あ!あの男の子は無事ですか!?」

私が思い出して聞くと、女神様はふふふと笑った。

「大丈夫です。男の子は無事ですよ。しかし、あなたが死んでしまったのです」

「え?うーん、まぁ男の子が無事ならよかったです。私がいなくても病院は回ると思うし、父さんと母さんには申し訳ないとは思うけど、あの男の子をほっとけなかったし」

意外と冷静だった。
仕事でヘトヘトの気持ちだったから、もういいやってヤケになっているかもしれない。

「私はあなたの生前の人生を見ていました。困っている人を見たら放っておけず、また看護師として人の役に立とうと努力した。最後は疲れている中でも人を助けたのはあなたの心の綺麗な証です。それに、あなたの死後もこうやって悲しむ人がたくさんいる」

女神様が手を出すと、小さな窓のようなものが現れた。
中を覗くと私の葬式が行われているようだった。
しかし、まさか自分の葬式を見る日が来ようとは。
しかもけっこう修羅場なようだ。
私を轢いたであろう男に父さんが殴りかかり、母さんと妹がそれを止めてと…。

「あ…もう大丈夫です…はい」

私は女神様に窓をしまうよう促した。
女神様は窓を消して、私の方を向いた。

「そこで、そんな善人であるあなたをこのまま死なせるには惜しいと思い、あなたの魂を一度引き離して私の元に寄せたのです」

おぉーじゃあ生き返らせてくれるとか?

「いえ、残念ながら同じ世界に二度生きることはできないのです。記憶をなくせば可能ですが…」

また考えを読まれた!?なんだ…生き返れないんだ…ん?同じ世界?

「そうです。つまり、私の管轄である世界ならば、生き返ることが可能なのです。いかがでしょうか?」

つまり、異世界転生!?え?なにその展開。
でも異世界かぁ…そこにいけば今よりは楽しい生活が送れるかも…。
このまま元の世界で住んでいてもいいことなさそうだったしな…。

「わかりました。お願いします」

「では、私の管轄している世界『リデアラ』へ案内いたします」

「リデアラ?」

「はい、桃さんがいた世界とは違い科学ではなく魔法が発展している世界ですね」

おー!魔法!私も治癒魔法とか覚えられるかな。

「ふふふ…治癒魔法がいいのですか?」

「もう!頭の中読まないでください」

「すみません、ですが今は魂だけの状態ですので、リデアラでの体を構築しなくてはいけないのです」

「え?私が作るんですか?」

「はい。お望み通りの体にいたします。それから、リデアラでは1人につき3種類の魔法しか使用できないのです。その魔法3種類も決めていただきます」

何このいたせりつくせり…リアルキャラクリエイトだ…。
これは…こだわって作らなくてはいけない…。

私は女神様と一緒にキャラクリエイトを開始したのだった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜

白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます! ➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

婚約破棄ですって!?ふざけるのもいい加減にしてください!!!

ラララキヲ
ファンタジー
学園の卒業パーティで突然婚約破棄を宣言しだした婚約者にアリーゼは………。 ◇初投稿です。 ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。 ◇なろうにも上げてます。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

愛人をつくればと夫に言われたので。

まめまめ
恋愛
 "氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。  初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。  仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。  傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。 「君も愛人をつくればいい。」  …ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!  あなたのことなんてちっとも愛しておりません!  横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

Crystal of Latir

ファンタジー
西暦2011年、大都市晃京に無数の悪魔が現れ 人々は混迷に覆われてしまう。 夜間の内に23区周辺は封鎖。 都内在住の高校生、神来杜聖夜は奇襲を受ける寸前 3人の同級生に助けられ、原因とされる結晶 アンジェラスクリスタルを各地で回収するよう依頼。 街を解放するために協力を頼まれた。 だが、脅威は外だけでなく、内からによる事象も顕在。 人々は人知を超えた異質なる価値に魅入られ、 呼びかけられる何処の塊に囚われてゆく。 太陽と月の交わりが訪れる暦までに。 今作品は2019年9月より執筆開始したものです。 登場する人物・団体・名称等は架空であり、 実在のものとは関係ありません。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

ピンク頭で男爵令嬢だからと言って勝手にお花畑ヒロインだと決めつけないで下さい

まゆら
恋愛
私は、王立学園に通い出したところの男爵令嬢アイラ。 同学年に王太子とその婚約者がいるらしいが、私は全く興味がない。 しかし、王太子の婚約者の取り巻きである高位貴族令嬢たちや学園は自由恋愛だと勘違いしている下位貴族令嬢から王太子には近づくなと釘を刺されたり、行動を監視される毎日である…というような王道展開は多分ないので安心して下さい。 私がピンク頭の男爵令嬢だからって、勝手に脳内お花畑の恋愛至上主義だと決めつけないで頂けますか? 私はおバカヒロインではないですし、転生してきた聖女でもないですから!! どちらかと言えば、真実の愛に目覚めたのですとかいうバカ女は苦手なので、近づいてきたら排除します! 私は、父から任せられた商会を大きくする為に王都に来たのですから… 皆様は、もれなくうちの商会の顧客になって頂きますからね? 私…色恋よりもお金が大好きなんです! 恋愛には全く興味が無いアイラだが、いとこから溺愛されていたり、隣国の王子から求愛されたり…色々と周囲は騒がしいのだ。 アイラの魔力と魔法については、とりあえずチートなのであまり気にしないで下さい。 ご都合主義に物事が流れていきます。

処理中です...