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第二章
私のもう一つの異能
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「スノウ、起きてください」
「んー…あとちょっとだけ…」
「起きないとスノウの服を全部剥いで王妃様がお風呂に入っているところへ転移させますよ」
「それはだめ!」
私は身の危険から起き上がると、周りは真っ白な空間にいた。
「ここは…」
「お久しぶりですね。スノウ」
そう言って目の前にいたのは女神様だった。
「女神様…?どうして…」
「スノウ、あなたはリーフェの使いすぎで倒れてしまったのよ」
「えぇ!?」
そんな、今までどんな材料を出しても大丈夫だったのに急に…。
ってことはもしかして私、このまま1年間…。
「あぁ、そんな泣きそうな顔をしないでください。大丈夫です、すぐに目が覚めますから」
よ、よかったぁ…。
私はミラさんに聞いた人のように1年間眠っているのかと心配になったが、女神様がすぐに覚めるというなら大丈夫だろう。
「でもどうして急に…もしかして、これが私の限界ですか…?」
「ふふふ…たしかにあなたは異能を使って様々な物を出していましたが、そんな気絶するまでにはならなかったでしょう?」
たしかに…現に私は王族の方へのフルコースを作れるくらいの量は出せるはずなのだ。今回の練り切りあん程度でどうこうなることはないと思っていた。
ということは別の要因があるのか…。
「スノウ、私があなたに与えた異能を覚えていますか?」
「私の異能…『形あるおまじない』ですよね?」
「そうです。本来、その異能はただ物を出すだけの異能ではないのです」
「それってもしかして…」
「はい。あなたはもう一つの能力、『おまじない』の方を使ったのです」
なるほど…だから私は気絶するまでリーフェを消費したんだ。
あれ?でも…。
「でも女神様。私、スペルを何も言ってませんよ?いつも通り『創造』しか使ってません」
「スノウ、スペルは決められた言葉や行動であり、必ずしも全てが同じように発動するわけではないのです」
「んー?」
女神様の言っていることがよくわからなかった。
「つまり、あなたの『形あるおまじない』は『創造』と『おまじない』で別のスペルになるのです」
「あぁ、なるほど。私は知らないうちにスペルを行って異能を使っていた、ということですね」
「はい」
「でも、私のもう一つのスペルって…?私は女神様から一つしかスペルを教えてもらってませんけど…」
「え?あぁ…はい。そうですね…」
「女神様?」
「いえ…その…実は…教えるのを忘れてまして…」
「え?」
今、女神様からとんでもないことを聞いたんだけど…?
「刻印を刻んだ時は教祖が入ってきたせいで中断して、あとで教えたらいいと…思ってまして…」
女神様が目をキョロキョロとさせながら小さな声で説明する。
「あとであとでと思っていたら…こうなりまして…」
「め~が~み~さ~ま~?」
さすがにそんな理由を聞いては私も湧き上がるものがある。
「ご、ごめんなさい!」
女神様が謝ってくれたので、まぁいいでしょう。
「それで…もう一つのスペルはなんですか?」
「えっとですね…作ったものの前で、『〇〇になりますよう』とかおまじないをすることです」
「え?それだけですか?」
「はい、そうです。そうすれば、その願いは叶います」
「あ…だからあの時も目眩が…」
私がルリちゃんに食べさせた和菓子もそんな感じでおまじないをかけていた。
私の和菓子を食べてすぐに花が作れるようになったのはそういうことだったんだ。
「もう気づいたでしょう?これからはリーフェにも気をつけてくださいね」
「は、はい…でもリーフェをどうやって配分したらいいのか…創造のほうもどのくらい消費しているのかもわかりませんし…」
「それは…そうですね。ヒントを言うなら鏡の前で自分をじっと見ていたらわかるかも…と言った感じです」
「え?そんなことでわかるんですか?」
「おっと…もう時間ですね。さぁ、目覚める時がきました。スノウ、この世界を楽しんでくださいね」
「あ!女神様!」
女神様の笑う顔を見て、私の周りが光に包まれた。
「んー…あとちょっとだけ…」
「起きないとスノウの服を全部剥いで王妃様がお風呂に入っているところへ転移させますよ」
「それはだめ!」
私は身の危険から起き上がると、周りは真っ白な空間にいた。
「ここは…」
「お久しぶりですね。スノウ」
そう言って目の前にいたのは女神様だった。
「女神様…?どうして…」
「スノウ、あなたはリーフェの使いすぎで倒れてしまったのよ」
「えぇ!?」
そんな、今までどんな材料を出しても大丈夫だったのに急に…。
ってことはもしかして私、このまま1年間…。
「あぁ、そんな泣きそうな顔をしないでください。大丈夫です、すぐに目が覚めますから」
よ、よかったぁ…。
私はミラさんに聞いた人のように1年間眠っているのかと心配になったが、女神様がすぐに覚めるというなら大丈夫だろう。
「でもどうして急に…もしかして、これが私の限界ですか…?」
「ふふふ…たしかにあなたは異能を使って様々な物を出していましたが、そんな気絶するまでにはならなかったでしょう?」
たしかに…現に私は王族の方へのフルコースを作れるくらいの量は出せるはずなのだ。今回の練り切りあん程度でどうこうなることはないと思っていた。
ということは別の要因があるのか…。
「スノウ、私があなたに与えた異能を覚えていますか?」
「私の異能…『形あるおまじない』ですよね?」
「そうです。本来、その異能はただ物を出すだけの異能ではないのです」
「それってもしかして…」
「はい。あなたはもう一つの能力、『おまじない』の方を使ったのです」
なるほど…だから私は気絶するまでリーフェを消費したんだ。
あれ?でも…。
「でも女神様。私、スペルを何も言ってませんよ?いつも通り『創造』しか使ってません」
「スノウ、スペルは決められた言葉や行動であり、必ずしも全てが同じように発動するわけではないのです」
「んー?」
女神様の言っていることがよくわからなかった。
「つまり、あなたの『形あるおまじない』は『創造』と『おまじない』で別のスペルになるのです」
「あぁ、なるほど。私は知らないうちにスペルを行って異能を使っていた、ということですね」
「はい」
「でも、私のもう一つのスペルって…?私は女神様から一つしかスペルを教えてもらってませんけど…」
「え?あぁ…はい。そうですね…」
「女神様?」
「いえ…その…実は…教えるのを忘れてまして…」
「え?」
今、女神様からとんでもないことを聞いたんだけど…?
「刻印を刻んだ時は教祖が入ってきたせいで中断して、あとで教えたらいいと…思ってまして…」
女神様が目をキョロキョロとさせながら小さな声で説明する。
「あとであとでと思っていたら…こうなりまして…」
「め~が~み~さ~ま~?」
さすがにそんな理由を聞いては私も湧き上がるものがある。
「ご、ごめんなさい!」
女神様が謝ってくれたので、まぁいいでしょう。
「それで…もう一つのスペルはなんですか?」
「えっとですね…作ったものの前で、『〇〇になりますよう』とかおまじないをすることです」
「え?それだけですか?」
「はい、そうです。そうすれば、その願いは叶います」
「あ…だからあの時も目眩が…」
私がルリちゃんに食べさせた和菓子もそんな感じでおまじないをかけていた。
私の和菓子を食べてすぐに花が作れるようになったのはそういうことだったんだ。
「もう気づいたでしょう?これからはリーフェにも気をつけてくださいね」
「は、はい…でもリーフェをどうやって配分したらいいのか…創造のほうもどのくらい消費しているのかもわかりませんし…」
「それは…そうですね。ヒントを言うなら鏡の前で自分をじっと見ていたらわかるかも…と言った感じです」
「え?そんなことでわかるんですか?」
「おっと…もう時間ですね。さぁ、目覚める時がきました。スノウ、この世界を楽しんでくださいね」
「あ!女神様!」
女神様の笑う顔を見て、私の周りが光に包まれた。
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