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プロローグ

おばあさん?を助けました。

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「ゆきちゃーん!こっちむいてー!」

授業が終わり、帰ろうとする僕は、後ろから名前を呼ばれ振り向くと、何人かの女の子にスマホで写真を撮られた。

「今日もかわいいねーゆきちゃんは!」

「僕は女の子じゃない!れっきとした男だ!」

「きゃー!叫ぶ姿もかーわいいー!」

いつものことにため息しか出ない。
高校2年生にもなって身長は150cm、顔は童顔で、実家はお菓子屋。中学で料理人に憧れ料理の勉強を独学でして、和洋中、スイーツをそれなりに作れるようにまでなってしまった。
高校1年の学園祭で僕のクラスはカフェをやった。それがいけなかった。
ずっと厨房にいたらよかったのだ。一度ウェイターとして出たのがいけなかった。
かわいい男子ウェイターがいると、女の子が殺到したのだ。
それ以来、僕は学校でアイドル扱いだ。

「はぁ…なんでこんな見た目と性格になっちゃったんだろう…」

とぼとぼと帰宅している途中で、公園の前の地図を見ているおばあさんがいた。
なにやら道に迷っている様子だった。

「おばあさん、どうかされましたか?」

「おや、かわいい男の子だねぇ」

おばあさんにまで言われてしまいちょっとへこみかけたがぐっとこらえて笑顔を作る。

「そ、そんなことより…道に迷ってますか?」

「そうなんだよ。ここに行きたいんだけどね…」

そう言っておばあさんは僕に、店の名前が書いてあるメモを見せた。

「あ、これ僕のお店です。一緒に行きましょう」

「おや、本当かい?じゃあ、案内をたのむよ」

「はい、任せてください。あ、荷物も持ちますよ」

「ありがとう、気が利くねぇ」

「それだけが取り柄なので」

そう言って僕はおばあさんの荷物を持って歩き始めた。

「あんた、なんてお名前なんだい?」

「冬樹 幸(ふゆき ゆき)です」

「幸…ずいぶんとかわいい名前だねぇ…家がお菓子屋さんでその見た目じゃさぞかわいがられてるんじゃないかい?」

このおばあさんはずいぶんとずばずば言ってくるなぁ…。

「そうですね…次生まれるなら、女の子になりたいです」

「おや、男らしくなりたいとかではないのかい?」

「うーん…それはやっぱり僕自身の問題というか…今の自分が嫌いなわけではないんです。ただまわりの反応があまり好きじゃないだけで…できることなら、小さなカフェを開いて、お客さんとのんびり話をしながら暮らして生きたいと思ってるんですけど、その発想がもう男らしくないじゃないですか?」

僕の話を聞いておばあさんはふっふっふ…と笑った。

「たしかにねぇ…でもそれがお前さんの夢なんじゃろ?」

「そうですね…できることなら叶えたいです。あ、見えましたよ」

話をしているとなんだかいつもよりも早く家についた気がする。

「では、おばあさん。僕は家に入りますので、ごゆっくりとしていってください」

「おまちなさい」

おばあさんの荷物を置いて、家に入ろうとすると、おばあさんが急に光だし、羽が生えた女の人になった。

「あなたの願い、聞き入れました」

「え?あ、あなたは…?」

「では、まいりましょう」

「ちょ、ちょっと!」

女の人がまた光だし、次は僕も巻き込むほどの光に包まれていった。






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