雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

文字の大きさ
上 下
309 / 441
チョコレート狂騒曲編

頭文字P

しおりを挟む
 僕と毛利さんは、新聞部の部室を後にした。
 げた箱付近で靴を履き替えていると毛利さんが提案してきた。
「ねえ…、この後、どこか寄って行かない?」

「じゃあ、えーと…。この前、行った喫茶店に行こうか」

 新聞部では1時間と少し話した程度なので、まだ時間に余裕がある。
 ということで、以前も毛利さんと一緒に行った鬼子母神の近くのレトロな喫茶店にやって来た。
 喫茶店は今日も空いていて、僕らはこの前と同じ一番奥の席に座った。
 そして、一番安いコーヒーを注文。

 注文後、毛利さんは怪文書について話題にする。
「最後の差出人の“P”だけど、もし名前の頭文字だとしたら、ちょっと変だと思わない?」

「え? なんで?」

「苗字や名前がパ行で始まる人って、いると思う?」

「そう言えば…。あまりいないかも…。じゃあ、日本人じゃあないとか? または、人名じゃないということ?」

「ハーフとか、外国出身の生徒かもしれない」

「もし、そうだとすれば見つけるの簡単じゃない? 学校には多分数人しかいないでしょ。また、片倉部長にお願いしておくよ」

「後は、CROWNも何か特別な意味があるんじゃあないかな?」

「“王冠”じゃあなくて?」

「そうね、推理小説でよくあるのは、文字を並べ替えて別の意味になるとか…」

 CROWNのスペルを頭の中で思い浮かべ、それを並べ替えたりしてみる。
 5文字の組み合わせは、5!=120通りか…。
 しばらく考えるが、良い単語が思いつかない。
「うーん…。わからないな」
 後で、紙に書き出しながらやってみよう。

 毛利さんは話題を変えた。
「あと、さっき新聞部でイケメンコンテストの話の時、なんか嫌な顔してたけど、どうして?」

「ああ…。ちょっと、嫌なことを思い出したんで…」

「何? それって」

「うーん…」
 まあ、話してもいいか。
 秘密にするまでもないし。それに、もう解決しているし。
「去年、北条先輩に脅されていたんだよ」

「えっ?! どうして?」

「彼は伊達先輩に恨みを持っていて、副会長である僕に生徒会をスパイしろって脅してきたんだよ。それで、生徒会の運営の邪魔をしたかったみたい」

「でも、スパイなんでする理由、武田君にないよね?」

「雪乃に…、危害を加えるみたいな事を言ってたから…、それでやむなく」

「そうなの?!」

「だけど、それは片倉部長のおかけで解決したから、もう大丈夫」

「えー、全然知らなかったよ」

「だれにも言わなかったからね。巻き込んでも悪いし」

「そっか…。大変だったね」

「いいよ。もう、その話は忘れたいから…」

「わかった、ごめん」

 少々重い空気になってしまった。
 そこへウエイトレスがコーヒーを運んできた。
 僕らはそれを飲みながら、世間話をしつつ小一時間ほど過ごす。
 今日のコーヒー代は、奢ってあげた。O.M.G.の手伝いのバイト代があるので財布の中身が潤沢なのだ。
 そして、毛利さんを雑司が谷駅まで送ってから帰宅した。

 夜、用事をすべて終わらせた後、自室で“CROWN”の文字をメモに書き出して、いろいろ組合せを考えてみる。
 しかし、意味のある単語にすることはできなかった。
 ということは、やっぱり、“王冠”のことなのか?
 それとも、片倉部長が言っていたように優勝賞品一般の事なのかもしれない。

 答えが見つからないので、謎解きは辞めて、その後はのんびりしつつ、スマホいじりをしている。
 先ほど、毛利さんと話をした差出人“P”についての内容を片倉部長に送る。
 すぐに返事が着て、心当たりを当たってくれるそうだ。

 そのまま、しばらくスマホいじりをしていると、真帆からLINEメッセージが。

『明日の放課後、時間ある?』

『あるよ』

『じゃあ、放課後いつものところに集合ね♡』

『りょ』

 また呼び出しだ。
 最近は特にアイドル活動についての話はさほどしないよな。まるで、デートだ。
 まあ、暇だからいいけど。

 間髪入れずに別のメッセージが。
 アイドルの“春日局”こと、徳川さんからだった。

『O.M.G.さん、月末に名古屋に遠征行くでしょ? 私も同じライブに出演することになったから』

『そうなんですか?!』
 驚いたな。まあ、そういう事もあるのか…?
 まあ、東京でも同じライブに出演していることがあるから、遠征で同じライブに出ることもあるんだろうな。

 そう言えば、こういったライブの出演ってどうやって探すんだろ。
 先日の郡山の時は、現地のイベンターから声を掛けられたとか言ってたけど。
 名古屋もそうなのかな…?
 まあ、いいや。明日、真帆に聞いてみよう。

 続いて徳川さんからメッセージ。
『名古屋でも、よろしくね』

『こちらこそよろしくお願いします』

 メッセージのやり取りが終わり、もう眠くなってきたので、今日のところは寝ることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...