308 / 424
チョコレート狂騒曲編
第1回推理大会
しおりを挟む
放課後。
僕は、帰り準備を終える。
毛利さんに別れの挨拶をしようと立ち上がって、彼女に顔を向けた。
「じゃあ、また明日」
「あっ、これから、新聞部に行くんだよね?」
「うん、怪文書についての情報が来てるっていうから、それを確認に行く」
「私も一緒に行っても良いかな?」
毛利さんは、朝、僕と片倉先輩の話を聞いて、昼休みにXに投稿された怪文書の画像を見たみたいなので、興味を持ったのかもしれない。
「えーっと…、いいよ。毛利さん、謎解きとか得意だっけ?」
「得意ではないけど…。一応、探偵小説も読んでいるから、ちょっと興味があって」
そうか、彼女の家に行ったとき、確かドイルとクリスティーの小説があったな。
片倉先輩も毛利さんを連れて行っても拒否はしないだろう。学校新聞に小説を提供しているぐらいだし、謎解きは大人数で当たった方が早く解決できそうだ。
「じゃあ、協力してくれるってこと?」
「うん。役に立てるかはわからないけど」
少し心強いな。
という訳で、ぼくらは連れ立って新聞部の部室まで移動した。
扉を開けると、今日は部員たちはおらず、片倉先輩のみが座って待っていた。
僕は挨拶して尋ねた。
「こんにちは。今日は、1人なんですね」
「ああ、みんな取材で出てるよ…。おや、毛利さんも来たのかい?」
「はい」
毛利さんは短く返事をした。
「毛利さんにも手伝ってもらおうと思って。いいですか?」
「もちろん、いいとも。じゃあ、早速、第1回推理大会をやろう。まずは、届いているDMを確認していこう」
僕と毛利さんが椅子に座るのを待って、片倉部長は数枚の紙を取り出して机に広げた。
それはPC版のLINEの画面をスクショしてプリントアウトしたもののようだ。
片倉部長の分だけでなく、わざわざ僕用にも1部用意してくれたようで、それを差し出してきた。
「ここ数日で届いたDMをプリントアウトしたよ。こうした方が確認しやすいからね」
僕と毛利さんは紙を受け取ると、それぞれ内容を確認した。
「数で言うと50件ほど届いている。皆、勝手に色々と推理してるよ。けど、有力なものは少ない。一応、武田君たちも目を通してみてよ、気になるものがあれば言ってみて」
片倉部長は、そう言って笑って見せた。
僕と毛利さんは、内容をゆっくりと確認する。
確かに有力な情報は、あまりないようだ。
僕が黙っていると、片倉部長が口を開いた。
「ともかく、まずは“北参道に通う者”についての情報だ。北参道駅から通学している者が2名いるということだ。2年と1年に1人ずつ」
「これは有力な情報ですね!」
僕は、少し嬉しくなって少々声が大きくなってしまった。
片倉部長は落ち着いた調子で続ける。
「彼らに何か手紙が届いていないかどうか確認した方がいいと思うけど、すでに手紙が届いているかもしれない。ただ、この怪文書のような理解不能な内容だったら、いたずらと思って捨てれられてしまっているかもしれないね」
「そうか…、そうですよね」
「まあ、一応、そういう手紙が届いたかどうかの確認をした方がいいと思っているよ」
「なるほど」
「それは新聞部でやっておくよ」
「助かります」
そこに毛利さんが割り込んできた。
「“北参道に通う者”って、“北参道から通う者”って意味でいいんでしょうか?」
「僕も最初、その疑問を持ったんだけど…」
毛利さんのツッコミは当然だろう。
片倉部長は答える。
「今は、“北参道から通う者”で探しているけど、“北参道に通う者”としてはDMで情報は無いね」
「ところで、北参道駅って降りたことが無いんですが、何かありましたっけ?」
片倉部長は、椅子に座ったまま伸びをするように後ろに身体をそらして答えた。
「僕は一度あるよ。地上出口は明治通りに面していて、付近は雑居ビルやマンション、少し入ると住宅街といった感じだね。明治神宮も近くにあるけど、乗降客数は少ない。雑司が谷駅よりは多いみたいだけどね」
「なるほど」
「まずは、北参道から通っている2人に聞いてみて、何か動きがあれば伝えるよ」
「よろしくお願いします」
「次に、“CROWNから奪う”のことだけど。これは“王冠”のことでいいのかだ。DMでは、こちらについての有力な情報はない」
「以前、伊達先輩に聞いたのですが、学園祭のミスコンとイケメンコンテスト優勝者には王冠が贈られています。でも、それが奪われたということは無いとのことです」
「伊達さんがそう言っていたのは、いつの話?」
「学園祭の最終日です」
「だとすると、もう5か月も前だよね。ひょっとしたら、その間に盗まれてるかもしれないね」
「ええと…、ミスコンとイケメンコンテストの優勝者って誰でしたっけ?」
以前、聞いたことがあるような気がするが、思い出せない。
ちなみに、なぜか僕が5位だったことは覚えている。
片倉部長は言う。
「イケコンの優勝は北条だよ」
「げっ」
そうだった。
嫌な思い出がよみがえってきた。
11月頃に、北条先輩にトイレに連れ込まれて胸倉をつかまれた上に、生徒会の情報をスパイしろ、さもなくば雪乃に危害を加えると脅されていたのだ。
そして、片倉部長がそのトラブル解決をしてくれた。
今は、片倉部長が北条先輩が僕を脅したことをネタに、逆に北条先輩を脅しているのだ。
僕にとって、脅されたことは余りにも嫌な思い出だったので、北条先輩がイケコンで優勝をしたということも記憶から抹消していた。
僕が嫌な顔をするのを見て、片倉部長はちょっと笑っている。
「王冠が盗まれてないかは、僕が北条に聞いとくよ。ついでに、改めて脅しとくし」
「よ、よろしくお願いします…」
「あとは、ミスコンの優勝者にも聞いておくよ」
ミスコンの優勝者は聞いてなかったような。
なので、僕は質問した。
「それってだれですか?」
「水泳部、1年の赤松真琴」
「そうですか」
知らない人だ。まあ、僕は大抵の人のことを知らないけどな。
「後は“王冠”って、王冠そのものじゃなくて、何かで優勝した時にもらえるトロフィーとか盾とかのことかもしれないし。そう考えると、部活で賞をもらったことがある人物にも、そういった物が盗まれていないかどうか確認した方がいいかもしれない」
「えっ? それは、大変そうですね」
「そうでもないよ。新聞部では部活の受賞はすべて把握しているから、これもこっちで確認しておくよ」
「お願いします」
「最後に、差出人“P”について…。これも有力な情報は無いようだね」
僕はもう一度DMがプリントアウトされた紙を見て答えた。
「そのようですね」
「引き続き情報は集めているし、またDMが溜まった段階で声を掛けるよ。新聞部としても取材をしながら、ついでに何か手掛かりが無いか探っておくよ」
「はい」
手掛かりは少なかったかが、解決に向けて少し進んでいるような気がする。
片倉部長に頼りっきりだけど、こんなことなら最初からお願いすればよかった。
報酬の半分は新聞部に渡す約束にしたからなのか、やたら協力的だし。
「話は変わるけど」
片倉部長は、前のめりになった。
「武田君、毛利さんと織田さんと、どっちと付き合ってるの?」
僕は、突然の質問に驚いた。
「はあ?! どちらとも付き合ってませんよ!」
そして毛利さんにも同意を求める。
「だよね?!」
「うん…」
毛利さんは静かに答えた。
片倉部長は畳みかけて来る。
「だって、毎週金曜日に体育館で3人一緒に弁当食べてるじゃん?」
お弁当交換会を見られているんだな。
そう言えば、片倉部長のXで、その僕らの一緒にいる写真が投稿されているのを思いだした。
まあ、秘密にしているわけではないから、いいのだけど。
「いや、あれは、ただ弁当を食べてるだけで、それ以上もそれ以下もないですよ」
「そうかー。場合によっては3人で付き合ってるのかと思ったよ」
「まさか、そんなことは…」
これ以上、変な話になったら困るので適当に誤魔化した。
その後は、また怪文書の話題に戻って、少しだけ話をしてから解散した。
僕は、帰り準備を終える。
毛利さんに別れの挨拶をしようと立ち上がって、彼女に顔を向けた。
「じゃあ、また明日」
「あっ、これから、新聞部に行くんだよね?」
「うん、怪文書についての情報が来てるっていうから、それを確認に行く」
「私も一緒に行っても良いかな?」
毛利さんは、朝、僕と片倉先輩の話を聞いて、昼休みにXに投稿された怪文書の画像を見たみたいなので、興味を持ったのかもしれない。
「えーっと…、いいよ。毛利さん、謎解きとか得意だっけ?」
「得意ではないけど…。一応、探偵小説も読んでいるから、ちょっと興味があって」
そうか、彼女の家に行ったとき、確かドイルとクリスティーの小説があったな。
片倉先輩も毛利さんを連れて行っても拒否はしないだろう。学校新聞に小説を提供しているぐらいだし、謎解きは大人数で当たった方が早く解決できそうだ。
「じゃあ、協力してくれるってこと?」
「うん。役に立てるかはわからないけど」
少し心強いな。
という訳で、ぼくらは連れ立って新聞部の部室まで移動した。
扉を開けると、今日は部員たちはおらず、片倉先輩のみが座って待っていた。
僕は挨拶して尋ねた。
「こんにちは。今日は、1人なんですね」
「ああ、みんな取材で出てるよ…。おや、毛利さんも来たのかい?」
「はい」
毛利さんは短く返事をした。
「毛利さんにも手伝ってもらおうと思って。いいですか?」
「もちろん、いいとも。じゃあ、早速、第1回推理大会をやろう。まずは、届いているDMを確認していこう」
僕と毛利さんが椅子に座るのを待って、片倉部長は数枚の紙を取り出して机に広げた。
それはPC版のLINEの画面をスクショしてプリントアウトしたもののようだ。
片倉部長の分だけでなく、わざわざ僕用にも1部用意してくれたようで、それを差し出してきた。
「ここ数日で届いたDMをプリントアウトしたよ。こうした方が確認しやすいからね」
僕と毛利さんは紙を受け取ると、それぞれ内容を確認した。
「数で言うと50件ほど届いている。皆、勝手に色々と推理してるよ。けど、有力なものは少ない。一応、武田君たちも目を通してみてよ、気になるものがあれば言ってみて」
片倉部長は、そう言って笑って見せた。
僕と毛利さんは、内容をゆっくりと確認する。
確かに有力な情報は、あまりないようだ。
僕が黙っていると、片倉部長が口を開いた。
「ともかく、まずは“北参道に通う者”についての情報だ。北参道駅から通学している者が2名いるということだ。2年と1年に1人ずつ」
「これは有力な情報ですね!」
僕は、少し嬉しくなって少々声が大きくなってしまった。
片倉部長は落ち着いた調子で続ける。
「彼らに何か手紙が届いていないかどうか確認した方がいいと思うけど、すでに手紙が届いているかもしれない。ただ、この怪文書のような理解不能な内容だったら、いたずらと思って捨てれられてしまっているかもしれないね」
「そうか…、そうですよね」
「まあ、一応、そういう手紙が届いたかどうかの確認をした方がいいと思っているよ」
「なるほど」
「それは新聞部でやっておくよ」
「助かります」
そこに毛利さんが割り込んできた。
「“北参道に通う者”って、“北参道から通う者”って意味でいいんでしょうか?」
「僕も最初、その疑問を持ったんだけど…」
毛利さんのツッコミは当然だろう。
片倉部長は答える。
「今は、“北参道から通う者”で探しているけど、“北参道に通う者”としてはDMで情報は無いね」
「ところで、北参道駅って降りたことが無いんですが、何かありましたっけ?」
片倉部長は、椅子に座ったまま伸びをするように後ろに身体をそらして答えた。
「僕は一度あるよ。地上出口は明治通りに面していて、付近は雑居ビルやマンション、少し入ると住宅街といった感じだね。明治神宮も近くにあるけど、乗降客数は少ない。雑司が谷駅よりは多いみたいだけどね」
「なるほど」
「まずは、北参道から通っている2人に聞いてみて、何か動きがあれば伝えるよ」
「よろしくお願いします」
「次に、“CROWNから奪う”のことだけど。これは“王冠”のことでいいのかだ。DMでは、こちらについての有力な情報はない」
「以前、伊達先輩に聞いたのですが、学園祭のミスコンとイケメンコンテスト優勝者には王冠が贈られています。でも、それが奪われたということは無いとのことです」
「伊達さんがそう言っていたのは、いつの話?」
「学園祭の最終日です」
「だとすると、もう5か月も前だよね。ひょっとしたら、その間に盗まれてるかもしれないね」
「ええと…、ミスコンとイケメンコンテストの優勝者って誰でしたっけ?」
以前、聞いたことがあるような気がするが、思い出せない。
ちなみに、なぜか僕が5位だったことは覚えている。
片倉部長は言う。
「イケコンの優勝は北条だよ」
「げっ」
そうだった。
嫌な思い出がよみがえってきた。
11月頃に、北条先輩にトイレに連れ込まれて胸倉をつかまれた上に、生徒会の情報をスパイしろ、さもなくば雪乃に危害を加えると脅されていたのだ。
そして、片倉部長がそのトラブル解決をしてくれた。
今は、片倉部長が北条先輩が僕を脅したことをネタに、逆に北条先輩を脅しているのだ。
僕にとって、脅されたことは余りにも嫌な思い出だったので、北条先輩がイケコンで優勝をしたということも記憶から抹消していた。
僕が嫌な顔をするのを見て、片倉部長はちょっと笑っている。
「王冠が盗まれてないかは、僕が北条に聞いとくよ。ついでに、改めて脅しとくし」
「よ、よろしくお願いします…」
「あとは、ミスコンの優勝者にも聞いておくよ」
ミスコンの優勝者は聞いてなかったような。
なので、僕は質問した。
「それってだれですか?」
「水泳部、1年の赤松真琴」
「そうですか」
知らない人だ。まあ、僕は大抵の人のことを知らないけどな。
「後は“王冠”って、王冠そのものじゃなくて、何かで優勝した時にもらえるトロフィーとか盾とかのことかもしれないし。そう考えると、部活で賞をもらったことがある人物にも、そういった物が盗まれていないかどうか確認した方がいいかもしれない」
「えっ? それは、大変そうですね」
「そうでもないよ。新聞部では部活の受賞はすべて把握しているから、これもこっちで確認しておくよ」
「お願いします」
「最後に、差出人“P”について…。これも有力な情報は無いようだね」
僕はもう一度DMがプリントアウトされた紙を見て答えた。
「そのようですね」
「引き続き情報は集めているし、またDMが溜まった段階で声を掛けるよ。新聞部としても取材をしながら、ついでに何か手掛かりが無いか探っておくよ」
「はい」
手掛かりは少なかったかが、解決に向けて少し進んでいるような気がする。
片倉部長に頼りっきりだけど、こんなことなら最初からお願いすればよかった。
報酬の半分は新聞部に渡す約束にしたからなのか、やたら協力的だし。
「話は変わるけど」
片倉部長は、前のめりになった。
「武田君、毛利さんと織田さんと、どっちと付き合ってるの?」
僕は、突然の質問に驚いた。
「はあ?! どちらとも付き合ってませんよ!」
そして毛利さんにも同意を求める。
「だよね?!」
「うん…」
毛利さんは静かに答えた。
片倉部長は畳みかけて来る。
「だって、毎週金曜日に体育館で3人一緒に弁当食べてるじゃん?」
お弁当交換会を見られているんだな。
そう言えば、片倉部長のXで、その僕らの一緒にいる写真が投稿されているのを思いだした。
まあ、秘密にしているわけではないから、いいのだけど。
「いや、あれは、ただ弁当を食べてるだけで、それ以上もそれ以下もないですよ」
「そうかー。場合によっては3人で付き合ってるのかと思ったよ」
「まさか、そんなことは…」
これ以上、変な話になったら困るので適当に誤魔化した。
その後は、また怪文書の話題に戻って、少しだけ話をしてから解散した。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる