290 / 424
迷走する新春編
顔合わせ
しおりを挟む
水曜日の放課後。
「じゃあ行こう」
雪乃は僕の席までやって来て言った。
今日は、雪乃と真帆を引き合わせるという約束をしているのだ。
僕と雪乃が2人で立ち去ろうとしているので、隣の席の毛利さんは不思議そうに尋ねた。
「2人でどこか行くの?」
雪乃が答える。
「うん。純也がプロデュースしてるアイドルに会いに行くの」
「あれはプロデュースというより、ただの手伝いだけどね」
僕は付け加えた。
でも、毛利さんはちょっと不満そうにしている。
「じゃあね」
雪乃は構わずに毛利さんに挨拶をして、僕の腕を引っ張って教室を出た。
学校から雪乃と一緒にサンシャインシティに向かう。
真帆との待ち合わせ場所はマックにしてあった。
学校からの道中、雪乃は僕の腕を組んで歩いている。
腕組みを拒否する理由もないので、そのままにしてあるが、側から見たら、完全に恋人同士だよなこれ。
以前、新聞部のXで僕らが付き合い始めたと拡散されたが、別れたことは特に流されなかったようだから、僕らがまだ付き合っていると勘違いしている人も多そうだ。
まあ、いいけど…。
そんなこんなで、マックに到着。僕と雪乃は、120円ジュースをそれぞれ購入して、並んでテーブル席につく。
真帆はまだ来ていないようだったが、数分ほどで彼女もドリンクを持ってやってきた。そして、僕らの前に座る。
「こんにちは、初めまして…、じゃなくて、前に会いましたよね」
真帆は笑顔で挨拶した。
「こんにちは。そうね、前に会ったのは、12月だったかしら」
雪乃も笑顔で挨拶をする。
2人は、12月、僕と真帆が合コン帰りに一緒にいたところ、雪乃と会っている。
早速、真帆はYoutubeで見た演劇部の舞台の感想や、雪乃の演劇部での活動について質問するなど、話しかけている。
雪乃は丁寧にそれに答えている。
僕は、その会話を横から聞いているだけだが、終始、和やかな雰囲気で会話が弾んでいるようだ。
よかった。
途中、真帆が話題の内容を白雪姫の舞台に変えてきた。
「そういえば、白雪姫で純ちゃんとキスしてたね」
その話題かよ…。
雪乃が答える。
「あれのお陰で、舞台は大評判になったのよ」
「あくまで、あれは演技だから」
僕は注釈を入れる。
「まあ、演技でなくても私たちはキスするけど」
雪乃はニヤニヤしながら言う。
おいおい、雪乃、何を言い出すんだ。
「えっ?! そうなの? 2人は付き合っているの?」
真帆は疑問をぶつけてくる。
「どうなの?」
雪乃は僕に尋ねてきた。
「え? いや…。付き合ってないでしょ…?」
「実はそうなのよ。私たち、付き合ってないのよ。前は付き合ってたけど、私がフラれたのよ」
「そうなの?! 純ちゃん、なんでフッたの? こんな素敵なカノジョなのに」
「え? いや、えーと…。まあ、理由なんか、いいじゃないか」
理由は、"お試しで付き合っていた"、“好きじゃなかったから”、だが、わざわざ答える必要ないだろう。
「純也はね、スペックの高い女じゃないとダメみたいなのよ」
雪乃は意地悪っぽくいう。
「スペックが高いとは?」
真帆が尋ねた。
「勉強ができて、性格良くて、美人で、可愛いくて、胸が大きいとか」
雪乃は僕の方を向いて答える。
「そんなこと言ってないだろ」
僕は即座に否定した。
しかし、真帆は聞いていない。
「勉強ができて、性格良くて、美人で、可愛いくて、胸が大きい…。私は全然ダメだな」
ちょっと、落胆したように言う。
「ま、真帆はアイドルだから、可愛いんじゃない?」
僕は、フォローを入れておく。
「でも、織田さんだと、どうなの?」
真帆は質問をした。
雪乃が答える。
「私は、性格良くて、美人で、可愛いくて、までかな?」
雪乃、自分で言うか?
「ええっ?! 織田さんの胸の大きさでもダメなの?」
「ダメみたい」
「織田さん、胸、いくつ?」
「Dだよ」
「私、Cで…。Dでもダメとは…。純ちゃん、おっぱい星人だね」
「おいおい、勝手に話を進めて、そんな結論づけるなよ」
僕は火消しにかかるが、真帆は聞いていない。
「Eとか、F? もっと大きいのがいいの?」
「待て待て。僕は、胸の大きさで女子を判断しないぞ」
「身体の相性だよね」
雪乃がまた、訳のわからないことを言う。
「そうか、2人は付き合っていたんだよね…」
真帆は、納得したように呟いた。
「いやいやいやいや。僕らは何もしてないよ」
雪乃、わざと言ってるだろ。まったく。
「それに、僕の好みがどうだろうと、真帆には関係ないでしょ?」
その後は話題は元に戻り、演劇の話を雪乃と真帆で熱心にしている。
真帆は、演劇の勉強もして、いつか、雪乃と一緒に共演したいと言っている。
それは、そんな遠い未来にことではないのでは?
なんせ、ど素人の僕を舞台に立たせたり、ショートムービーに出演させようとするんだから。真帆だったら楽勝だろう、知らんけど。
そんなこんなで、演劇以外では真帆のアイドル活動の話などしたりしている。
雪乃はアイドル活動に興味があるようだ。
結局3時間ぐらい話をしていた。
雪乃と真帆はLINEのIDを交換する。
後は、2人で勝手にやってもらおう。
僕らは、時間もかなり遅くなってきたので、解散することにした。
「じゃあ行こう」
雪乃は僕の席までやって来て言った。
今日は、雪乃と真帆を引き合わせるという約束をしているのだ。
僕と雪乃が2人で立ち去ろうとしているので、隣の席の毛利さんは不思議そうに尋ねた。
「2人でどこか行くの?」
雪乃が答える。
「うん。純也がプロデュースしてるアイドルに会いに行くの」
「あれはプロデュースというより、ただの手伝いだけどね」
僕は付け加えた。
でも、毛利さんはちょっと不満そうにしている。
「じゃあね」
雪乃は構わずに毛利さんに挨拶をして、僕の腕を引っ張って教室を出た。
学校から雪乃と一緒にサンシャインシティに向かう。
真帆との待ち合わせ場所はマックにしてあった。
学校からの道中、雪乃は僕の腕を組んで歩いている。
腕組みを拒否する理由もないので、そのままにしてあるが、側から見たら、完全に恋人同士だよなこれ。
以前、新聞部のXで僕らが付き合い始めたと拡散されたが、別れたことは特に流されなかったようだから、僕らがまだ付き合っていると勘違いしている人も多そうだ。
まあ、いいけど…。
そんなこんなで、マックに到着。僕と雪乃は、120円ジュースをそれぞれ購入して、並んでテーブル席につく。
真帆はまだ来ていないようだったが、数分ほどで彼女もドリンクを持ってやってきた。そして、僕らの前に座る。
「こんにちは、初めまして…、じゃなくて、前に会いましたよね」
真帆は笑顔で挨拶した。
「こんにちは。そうね、前に会ったのは、12月だったかしら」
雪乃も笑顔で挨拶をする。
2人は、12月、僕と真帆が合コン帰りに一緒にいたところ、雪乃と会っている。
早速、真帆はYoutubeで見た演劇部の舞台の感想や、雪乃の演劇部での活動について質問するなど、話しかけている。
雪乃は丁寧にそれに答えている。
僕は、その会話を横から聞いているだけだが、終始、和やかな雰囲気で会話が弾んでいるようだ。
よかった。
途中、真帆が話題の内容を白雪姫の舞台に変えてきた。
「そういえば、白雪姫で純ちゃんとキスしてたね」
その話題かよ…。
雪乃が答える。
「あれのお陰で、舞台は大評判になったのよ」
「あくまで、あれは演技だから」
僕は注釈を入れる。
「まあ、演技でなくても私たちはキスするけど」
雪乃はニヤニヤしながら言う。
おいおい、雪乃、何を言い出すんだ。
「えっ?! そうなの? 2人は付き合っているの?」
真帆は疑問をぶつけてくる。
「どうなの?」
雪乃は僕に尋ねてきた。
「え? いや…。付き合ってないでしょ…?」
「実はそうなのよ。私たち、付き合ってないのよ。前は付き合ってたけど、私がフラれたのよ」
「そうなの?! 純ちゃん、なんでフッたの? こんな素敵なカノジョなのに」
「え? いや、えーと…。まあ、理由なんか、いいじゃないか」
理由は、"お試しで付き合っていた"、“好きじゃなかったから”、だが、わざわざ答える必要ないだろう。
「純也はね、スペックの高い女じゃないとダメみたいなのよ」
雪乃は意地悪っぽくいう。
「スペックが高いとは?」
真帆が尋ねた。
「勉強ができて、性格良くて、美人で、可愛いくて、胸が大きいとか」
雪乃は僕の方を向いて答える。
「そんなこと言ってないだろ」
僕は即座に否定した。
しかし、真帆は聞いていない。
「勉強ができて、性格良くて、美人で、可愛いくて、胸が大きい…。私は全然ダメだな」
ちょっと、落胆したように言う。
「ま、真帆はアイドルだから、可愛いんじゃない?」
僕は、フォローを入れておく。
「でも、織田さんだと、どうなの?」
真帆は質問をした。
雪乃が答える。
「私は、性格良くて、美人で、可愛いくて、までかな?」
雪乃、自分で言うか?
「ええっ?! 織田さんの胸の大きさでもダメなの?」
「ダメみたい」
「織田さん、胸、いくつ?」
「Dだよ」
「私、Cで…。Dでもダメとは…。純ちゃん、おっぱい星人だね」
「おいおい、勝手に話を進めて、そんな結論づけるなよ」
僕は火消しにかかるが、真帆は聞いていない。
「Eとか、F? もっと大きいのがいいの?」
「待て待て。僕は、胸の大きさで女子を判断しないぞ」
「身体の相性だよね」
雪乃がまた、訳のわからないことを言う。
「そうか、2人は付き合っていたんだよね…」
真帆は、納得したように呟いた。
「いやいやいやいや。僕らは何もしてないよ」
雪乃、わざと言ってるだろ。まったく。
「それに、僕の好みがどうだろうと、真帆には関係ないでしょ?」
その後は話題は元に戻り、演劇の話を雪乃と真帆で熱心にしている。
真帆は、演劇の勉強もして、いつか、雪乃と一緒に共演したいと言っている。
それは、そんな遠い未来にことではないのでは?
なんせ、ど素人の僕を舞台に立たせたり、ショートムービーに出演させようとするんだから。真帆だったら楽勝だろう、知らんけど。
そんなこんなで、演劇以外では真帆のアイドル活動の話などしたりしている。
雪乃はアイドル活動に興味があるようだ。
結局3時間ぐらい話をしていた。
雪乃と真帆はLINEのIDを交換する。
後は、2人で勝手にやってもらおう。
僕らは、時間もかなり遅くなってきたので、解散することにした。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる