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悪夢の奴隷生活編

遭遇~その2

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 引き続き、僕と細川さんはサンシャインシティのカフェでドリンクを飲みながら話をしている。
 しばらく話をしていると、聞きなれた声で名前を呼ばれた。

「あれ? 武田君じゃん?」

 僕は声の方を振り向いた。
 そこには、上杉先輩と妹の美咲が居た。

「あれ、上杉先輩…、と、美咲。何故、こんなところに?」

「買い物だよ。美咲ちゃんが化粧品を買いたいからって、付き合ってるんだよ。それで、キミは?」
 上杉先輩は、僕と細川さんの顔をマジマジと見て尋ねた。

「え、ああ、ちょっと…」
 まさか上杉先輩に見つかってしまうとは。
 めんどくさいことを言ってこなければいいのだが。

「こんにちは」
 細川さんは2人に挨拶する。

「えーと。こちらは、部活の先輩で上杉先輩。こっちは妹の美咲」
 僕は細川さんに2人を紹介し、続けて上杉先輩と美咲を細川さんに紹介する。
「こちらは、東池女子校の細川さん」

「妹!?」
 細川さんは驚いて言う。
「あんまり似てないね」
 細川さんは僕と妹の顔を交互に見ていう。

 言うと思ったよ。
 そして、妹が僕に“似なくてよかったね”と思っているんだろう。

 上杉先輩が突っ込んできた。
「デートしてんの?」

「そうです!」
 間髪入れずに細川さんが元気よく答えた。

「そう言えば、今日、合コンするって言ってたよね?」

「え…、ええ、その帰りです」
 僕が答える。

「ふーん。じゃあ、頑張ってね」
 上杉先輩はニヤつきながら、妹と一緒にその場を立ち去った。
 あんまり絡んでこなかった。よかった。
 そして、妹はなんか怒りの表情だったな。

「妹さん。可愛いね」
 細川さんが言う。

「そうかな?」

「あのギャルの人は、どんな人? 純ちゃんの彼女?」

「いや、さっき、僕は好きな人いないって言ったんじゃん?」

「そうかー。良かったよー。修羅場になるのかと思ったよー」

 なるわけない。

「それで、どんな人?」

「歴史研の先輩で、ウザイ人かな」

「ウザイ?」

「そうそう、何かと絡んでくるんだよ」

「へー。純ちゃんのことが好きなんじゃないの?」

「絶対、そんなことはない」

「えー。わからないよー」

「ないない」
 万が一、上杉先輩と付き合っても、僕が1日と持たないだろう。

 その後30分ばかり世間話をしていた。
 と、言っても細川さんが、ほとんど一方的に話をして、恋愛について質問してきた。
 恋愛のことを質問されても経験が乏しい僕はロクな回答が出来なかった。
 そして、話すネタが尽きて来た頃に、喫茶店を出て別れた。
 僕はサンシャインシティから徒歩で帰宅する。

 帰宅して自室でくつろいでいると、しばらくして妹が帰宅した。
 そして、妹はすぐさま2階に上がると僕の部屋の扉を勢い良く開けた。

「お兄ちゃん!」

「何?」

「何、浮気してんの?!」

「浮気って…?」

「織田さんがいるのに、他の女とデートしてたじゃん!」

「ああ、織田さんとは別れたよ、言ってなかったっけ?」

 それを聞いて、妹は驚いて叫んだ。
「ええっ! 聞いてないよ! なんで、振られたの?!」

 なんで、みんな、僕が振られたという前提で考えるんだよ。
「最初から1か月だけ付き合うって話だったから」

「なにそれ! 聞いてないよ!」

「まあ、言ってないからな」

「お兄ちゃん、すぐ別れたりしないで、もっと相手を大切にしなよ!」

「大切にしてるよ」

「してないよ! してたら1か月で別れるはずないじゃん! それに、別れてすぐ別の女の子とデートしてるなんて! スケコマシだよ!」

「スケコマシってなんだよ…。それに、雪乃と別れたのは、最初からそういう約束だったからだって言ってるじゃん」

「そんなのおかしいよ! そんなの微妙な乙女心をわかってない証拠だよ」

 そう言えば、雪乃と別れ話をした時、彼女は僕が(仮)の彼氏ということは忘れてたし、“本当の彼氏だと思っていた”と言ってたな。
 と、いうことは、僕の方がおかしいのか?
 なんか自信が無くなって来た。
 だが、しかし…、
「もう、別れてしまったものはしょうがないよ」

「お兄ちゃん、織田さんに土下座でお願いして、また彼女になってもらいな!」

「そこまですること無いだろ」

「土下座して、一生、奴隷になるって言えば、また付き合ってくれるから」

「なんで、奴隷なんだよ?」

「え? でも、紗夜さんの奴隷を一生するんでしょ?」

「するか!」

「でも、紗夜さんが言ってたよ」

「それは、1か月だけだよ」

「お兄ちゃんは、彼女も奴隷も1か月しかできないなんて、忍耐力がないよ!」

 そもそも、耐えて付き合うとか、僕のポリシーに反する。
 そして、奴隷は忍耐力は関係ないだろ。本当なら1日だってお断りだ。
「あー、うるさいなー」
 僕は妹の絡みから逃れるように、自室を出て風呂でも入ることにした。
 後ろから妹が何やら文句を言い続けているが聞こえないふりをする。

 寝る前、LINEで細川さんから『おやすみ』の短いメッセージが来た。
 僕もメッセージを返してから就寝した。
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