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逡巡する初冬編
陽キャ女子たちに迫られる
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図書室で声を掛けられて振り向くと、意外な人たちが。
クラスの陽キャ女子たち3人だった。
いつも雪乃とつるんでいる連中。今日は、雪乃の姿はなかった。
「武田ぁ。ちょっと顔貸してよ」
女子の一人はそう言うと、他の2人は示し合わせたように僕の両脇を掴んだ。
「えっ?」
僕は突然のことで、驚きと困惑でそれ以上、何も言えなかった。
引きずり出されるように図書室を出たところで、僕は尋ねた。
「ど、どこに行くんだよ」
「いいから、だまってな」
陽キャ女子はぶっきらぼうに言う。
そして連れてこられたのは、よりによって女子トイレ。
一番奥まで連れて来られると、壁を背に立たされた。
「ねえ、あんた、雪乃を振ったんだって?!」
こんなところに連れてこられて3人に囲まれているので、小心者の僕はすっかり怯え上がってしまう。
「え? まあ、そうだけど…」
すると、突然、陽キャ女子は僕の胸倉をつかんで引き上げた。
ネクタイも引っ張られて、雪乃からもらったネクタイピンが外れて床に落ちる音がした。
「あんたみたいな、陰キャの雑魚が雪乃を振るなんて100年早いんだよ!」
そう言うと、陽キャ女子は僕の股間に蹴りを一発入れる。
「!!□▼◆$%&#!!」
僕は激痛で声にならない声を上げて、その場に崩れ落ちた。
「雪乃、泣いてたよ!」
陽キャ女子の1人がそう言うのを合図に、3人に何度も蹴りを入れられた。
しばらくすると、割って入る女子が1人。
そして、叫ぶ。
「もうやめて!」
僕はうずくまっていたせいで顔を確認できなかったが、その声で割って入ったのが毛利さんだと理解した。
陽キャ女子3人は、
「女に助けられてやんの!」
と、吐き捨てるように言うと、女子トイレから去っていった。
それを確認して、毛利さんはしゃがみこんで、僕に声を掛けた。
「武田君、大丈夫?」
「い、いや…」
まだ、激痛が続いているが、何とか一言発した。
「保健室行く?」
そこまでのことじゃあない、と思うが。
「もうすぐ、治まると思うから…」
女子トイレでうずくまっているのも、良くないので、早めに脱出したい。
数分後、少し痛みが治まったので、ふらふらと立ち上がり、毛利さんに脇を抱えられながら、女子トイレを出た。
「あっ…。タイピンが、トイレの床に落ちたまま…」
「大丈夫、私が拾ってあるから」
「そうか…、すまん」
とりあえず、図書室に戻って、さっきまで座っていた席に座った。
しばらく、うつ伏せになって休む。
毛利さんは図書員の仕事で受付にいたから、僕が陽キャ女子たちに拉致されるのを見ていてすぐに助けに来てくれたんだろう。
ともかく助かった。
そして、ようやく、痛みが治まって来た。
散々な目に遭ったな。
また、女子トイレに連れ込まれることはあるんだろうか。いやはや。
勉強にならないから、もう帰ろう。
僕は勉強道具をまとめ、毛利さんに助けてくれた礼を改めて言うため、彼女が座る受付に近づいた。
「さっきはありがとう」
「もう大丈夫?」
「まあ、なんとか」
「じゃあ」
僕は立ち去ろうとするが、毛利さんは僕を呼び止めた。
「武田君、これ」
と言って毛利さんが差し出したのは、雪乃にもらったネクタイピン。
「あ、そうか…」
僕はそれを受け取った。
「それ、誕生日プレゼントなんでしょ?」
毛利さんの言葉を聞いて驚いた。
「え? なんで知ってるの?」
「だって、誕生日の次の週からしてきてたから」
毛利さん、よく見てるな。
そして、多分、雪乃からもらったものというのも見抜いているだろうな。
雪乃と別れてもタイピンしてるのおかしいかな?
別れた後も、惰性で付けて来てしまったが…。
まあ、いいや。
「今日はもう帰るよ」
僕はそう言って受付を離れた。
「じゃあ、来週」
僕の背中から、毛利さんは別れの挨拶を言った。
クラスの陽キャ女子たち3人だった。
いつも雪乃とつるんでいる連中。今日は、雪乃の姿はなかった。
「武田ぁ。ちょっと顔貸してよ」
女子の一人はそう言うと、他の2人は示し合わせたように僕の両脇を掴んだ。
「えっ?」
僕は突然のことで、驚きと困惑でそれ以上、何も言えなかった。
引きずり出されるように図書室を出たところで、僕は尋ねた。
「ど、どこに行くんだよ」
「いいから、だまってな」
陽キャ女子はぶっきらぼうに言う。
そして連れてこられたのは、よりによって女子トイレ。
一番奥まで連れて来られると、壁を背に立たされた。
「ねえ、あんた、雪乃を振ったんだって?!」
こんなところに連れてこられて3人に囲まれているので、小心者の僕はすっかり怯え上がってしまう。
「え? まあ、そうだけど…」
すると、突然、陽キャ女子は僕の胸倉をつかんで引き上げた。
ネクタイも引っ張られて、雪乃からもらったネクタイピンが外れて床に落ちる音がした。
「あんたみたいな、陰キャの雑魚が雪乃を振るなんて100年早いんだよ!」
そう言うと、陽キャ女子は僕の股間に蹴りを一発入れる。
「!!□▼◆$%&#!!」
僕は激痛で声にならない声を上げて、その場に崩れ落ちた。
「雪乃、泣いてたよ!」
陽キャ女子の1人がそう言うのを合図に、3人に何度も蹴りを入れられた。
しばらくすると、割って入る女子が1人。
そして、叫ぶ。
「もうやめて!」
僕はうずくまっていたせいで顔を確認できなかったが、その声で割って入ったのが毛利さんだと理解した。
陽キャ女子3人は、
「女に助けられてやんの!」
と、吐き捨てるように言うと、女子トイレから去っていった。
それを確認して、毛利さんはしゃがみこんで、僕に声を掛けた。
「武田君、大丈夫?」
「い、いや…」
まだ、激痛が続いているが、何とか一言発した。
「保健室行く?」
そこまでのことじゃあない、と思うが。
「もうすぐ、治まると思うから…」
女子トイレでうずくまっているのも、良くないので、早めに脱出したい。
数分後、少し痛みが治まったので、ふらふらと立ち上がり、毛利さんに脇を抱えられながら、女子トイレを出た。
「あっ…。タイピンが、トイレの床に落ちたまま…」
「大丈夫、私が拾ってあるから」
「そうか…、すまん」
とりあえず、図書室に戻って、さっきまで座っていた席に座った。
しばらく、うつ伏せになって休む。
毛利さんは図書員の仕事で受付にいたから、僕が陽キャ女子たちに拉致されるのを見ていてすぐに助けに来てくれたんだろう。
ともかく助かった。
そして、ようやく、痛みが治まって来た。
散々な目に遭ったな。
また、女子トイレに連れ込まれることはあるんだろうか。いやはや。
勉強にならないから、もう帰ろう。
僕は勉強道具をまとめ、毛利さんに助けてくれた礼を改めて言うため、彼女が座る受付に近づいた。
「さっきはありがとう」
「もう大丈夫?」
「まあ、なんとか」
「じゃあ」
僕は立ち去ろうとするが、毛利さんは僕を呼び止めた。
「武田君、これ」
と言って毛利さんが差し出したのは、雪乃にもらったネクタイピン。
「あ、そうか…」
僕はそれを受け取った。
「それ、誕生日プレゼントなんでしょ?」
毛利さんの言葉を聞いて驚いた。
「え? なんで知ってるの?」
「だって、誕生日の次の週からしてきてたから」
毛利さん、よく見てるな。
そして、多分、雪乃からもらったものというのも見抜いているだろうな。
雪乃と別れてもタイピンしてるのおかしいかな?
別れた後も、惰性で付けて来てしまったが…。
まあ、いいや。
「今日はもう帰るよ」
僕はそう言って受付を離れた。
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僕の背中から、毛利さんは別れの挨拶を言った。
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