雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

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逡巡する初冬編

供給過剰

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 夕方、帰宅。
 夕食を取った後、将棋の駒とマグネット式の折り畳み将棋盤を押し入れから探し出した。
 上杉先輩が将棋を教えてくれって言ってたからな。
 将棋の本も、押し入れの中から見つけた。
 ベッド寝転んで久しぶりに、それを読んでいるとスマホが鳴った。

 雪乃だ。LINEでメッセージが来た。
 彼女と付き合い始めてからは、学校では一緒に昼食を食べ、帰宅後は夜にLINEでメッセージのやり取りをするのが日課になりつつあった。

『純也、何してる?』

『本を読んでたよ』

『エッチなやつ?』

『違うよ。将棋の本』

『将棋やるんだ?』

『小学生の頃少しやった程度なんだけど、上杉先輩が教えてほしいっていうから、押し入れから引っ張り出したんだよ。最近、アニメで将棋のやつやってたから、その影響らしい』

『それ、見たことある。それより、週末、またどこか遊びに行かない?』

『ゴメン。週末は、1泊2日で歴史研でお城巡りに行くんだ』

『1泊2日って、女の子たちと泊まりなの?』

『そうだけど、部屋は男女別だよ』
 本当は、いつも別とは限らないが。

『どこまで行くの?』

『長野と新潟って言ってた』

『私も純也と旅行に行きたいな』

『どこか行きたいところある?』

『ハワイ』

『無理でしょ? せめて国内の近場でないと』

『じゃあ、沖縄』

 近場じゃないけど、沖縄なら何とかなるのかなあ…。
 沖縄って旅費どれぐらいかかるんだろうか。
 あとで調べよう。

 などと考えていると雪乃からメッセージが。
『今日はもう寝るね』
 そして、“おやすみ”っていうスタンプが来た。

『おやすみ』
 僕はメッセージを返し、再び将棋の本を手にする。

 しばらくすると、またスマホが鳴った。
 LINEでメッセージが。
 魔法少女コスプレアイドルの細川さんだ。
 
『ねえねえ、合コン、どうなったのー?(>_<) もう2週間たったよ!』

 忘れてた。
 と、いうより、合コンやるつもりはないんだけど。
 ここは適当に返す。
『メンバーが見つからない』

『えー(T_T)嘘でしょ?』

『僕は、ぼっちな陰キャだから、友達がいないんだよ』

『2人ぐらい何とかなるでしょ?( *`ω´) こっちは旬なJKだよ!』

『雑司が谷高校にもJKは沢山いるから、供給過剰なんだよ』

『えー(T_T)最悪』
 しばらくして、続きが来た。
『合コンメンバー集めてくれたら、いいことしてあげる♡』

『いいことって何?』

『集めてからのお楽しみ♡』

 どうせ、ろくな事じゃあないだろう。
 しょうがない、しつこいから、人数揃えてみるか。
『わかったよ、何とかしてみるよ』

『やったー♡よろしくね♡』

 めんどくさいな。

 次に、僕は悠斗にメッセージを送る。
『合コンのメンバー集めてるんだけど、悠斗どう?』

『純也が合コン? 何があったんだよ?』

『いや、東池の女子が合コンメンバー集めろってうるさいんだよ』

『なんで、東池の女子と知り合いなんだい?』

『なんか、行き掛りで。悠斗は、合コンは得意なんだろ?』

『まあ、頭数揃えるってことで、良く誘われるけど。でも、純也は織田さんが居るんだろ、大丈夫なのかい?』

 そうだった…。浮気になるのか、これ?
 まあ、僕自身も頭数みたいなものだろうし、合コンで女子と付き合おうとか思っていないので、さほど問題ないのでは?
 という事にする。

『僕は大丈夫。下心は無いから』

『ならいいけどね』

『合コンじゃあ、悠斗なら、お持ち帰りし放題だろ?』
 イケメン悠斗ならモテて、モテてしょうがないはず。

『全然』

『そうなの?』
 意外な回答に驚いた。

『そんなもんだよ』

『じゃあ、日程が決まったら、改めて連絡するよ』

『了解』

 あと1人どうしようか。
 まあ、ゆっくり探すとしよう。
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