156 / 441
眩暈する秋涼編
『距離0.01mm』
しおりを挟む
歴史研のメンバーでの勉強会は、無事、夕方ごろに終了した。
取り敢えず明日からの中間試験は何とかなりそうだ。
皆が一息ついて、談笑していると、上杉先輩がベッドの上から話しかけてきた。
「この漫画、面白いね」
彼女が手に持っているのは、僕が雑司が谷高校の学園祭で買った漫研の同人誌。
R18ではないが、その境界線をギリギリまで追求したというアレだ。
確かに僕も読んでみて、ギリギリのエロさでだけなく、ストーリーも面白いと感じていた。
「これ、どこで買ったの?」
「雑司が谷高校の学園祭で、漫研の物販で買いました」
「へー。誰が描いたんだろうね」
上杉先輩はペラペラとページをめくりながら尋ねた。
「著者の名前が表紙に書いてあるじゃないですか?」
表紙には、主人公の男子とヒロインの絵。
タイトルには、
『距離0.01mm』
そして、
●原作:アンナ・鶴ゲーネフ
●作画:バタフライ・ビー
と書かれてある。
「それはわかってるよ。ペンネームじゃあ、学校の誰かわからないじゃん?」
上杉先輩は不満そうに言う。
「確かに…」
しかし、そもそも、雑司が谷高校の生徒とは限らないのでは?
それにしても、変なペンネームだ。
“鶴ゲーネフ”は、“ツルゲーネフ”と読むのが正解なのか?
バタフライ・ビーは、蝶・蜂?
などと考えていると、毛利さんが口を挟んだ。
「ツルゲーネフは19世紀のロシアの文豪よ。何作か読んだことがある」
文豪か。なら文学少女の毛利さんなら得意分野だろう。
「アンナ・ツルゲーネフっていう文豪なの?」
「文豪のツルゲーネフは男で、たしか、名前はイワン・ツルゲーネフだったはず」
「じゃあ、別人かな」
「内容を確認すれば、良いんじゃない?」
上杉先輩が提案する。
「そうか…、じゃあ、毛利さん、これ読んでみて、ロシアの文豪が原作か確認してくれないかな?」
僕は同人誌を上杉先輩から奪い取って、毛利さんに手渡そうとした。
「エロい本を無理やり女子に読ませるのは、セクハラだよ」
と、上杉先輩はニヤつきながら言う。
「あっ! 毛利さん、ゴメン」
「いいよ、家で読んでみる」
そう言って毛利さんは同人誌を手にした。
取り敢えず勉強会はお開きとなった。
帰り際、美咲も伊達先輩に何度も礼を言っている。
皆の帰宅を、玄関まで見送る。
皆を見送った後、妹が言う
「伊達さんにもっと勉強見てもらいたいなー」
「伊達先輩、家庭教師のバイトやってるから、お金払えばやってくれるんじゃない? 親父に相談したら?」
「そうだ! お兄ちゃん、伊達さんと付き合いなよ」
「なんでそうなるんだよ?」
「私も、タダで教えてくれそうじゃん?」
「断る」
打算的な妹だ。
僕は戻って自分の部屋の扉を開けた。
今回も、女の匂いで充満している…。
僕は、しばらく、それを堪能してから消臭剤を撒いた。
取り敢えず明日からの中間試験は何とかなりそうだ。
皆が一息ついて、談笑していると、上杉先輩がベッドの上から話しかけてきた。
「この漫画、面白いね」
彼女が手に持っているのは、僕が雑司が谷高校の学園祭で買った漫研の同人誌。
R18ではないが、その境界線をギリギリまで追求したというアレだ。
確かに僕も読んでみて、ギリギリのエロさでだけなく、ストーリーも面白いと感じていた。
「これ、どこで買ったの?」
「雑司が谷高校の学園祭で、漫研の物販で買いました」
「へー。誰が描いたんだろうね」
上杉先輩はペラペラとページをめくりながら尋ねた。
「著者の名前が表紙に書いてあるじゃないですか?」
表紙には、主人公の男子とヒロインの絵。
タイトルには、
『距離0.01mm』
そして、
●原作:アンナ・鶴ゲーネフ
●作画:バタフライ・ビー
と書かれてある。
「それはわかってるよ。ペンネームじゃあ、学校の誰かわからないじゃん?」
上杉先輩は不満そうに言う。
「確かに…」
しかし、そもそも、雑司が谷高校の生徒とは限らないのでは?
それにしても、変なペンネームだ。
“鶴ゲーネフ”は、“ツルゲーネフ”と読むのが正解なのか?
バタフライ・ビーは、蝶・蜂?
などと考えていると、毛利さんが口を挟んだ。
「ツルゲーネフは19世紀のロシアの文豪よ。何作か読んだことがある」
文豪か。なら文学少女の毛利さんなら得意分野だろう。
「アンナ・ツルゲーネフっていう文豪なの?」
「文豪のツルゲーネフは男で、たしか、名前はイワン・ツルゲーネフだったはず」
「じゃあ、別人かな」
「内容を確認すれば、良いんじゃない?」
上杉先輩が提案する。
「そうか…、じゃあ、毛利さん、これ読んでみて、ロシアの文豪が原作か確認してくれないかな?」
僕は同人誌を上杉先輩から奪い取って、毛利さんに手渡そうとした。
「エロい本を無理やり女子に読ませるのは、セクハラだよ」
と、上杉先輩はニヤつきながら言う。
「あっ! 毛利さん、ゴメン」
「いいよ、家で読んでみる」
そう言って毛利さんは同人誌を手にした。
取り敢えず勉強会はお開きとなった。
帰り際、美咲も伊達先輩に何度も礼を言っている。
皆の帰宅を、玄関まで見送る。
皆を見送った後、妹が言う
「伊達さんにもっと勉強見てもらいたいなー」
「伊達先輩、家庭教師のバイトやってるから、お金払えばやってくれるんじゃない? 親父に相談したら?」
「そうだ! お兄ちゃん、伊達さんと付き合いなよ」
「なんでそうなるんだよ?」
「私も、タダで教えてくれそうじゃん?」
「断る」
打算的な妹だ。
僕は戻って自分の部屋の扉を開けた。
今回も、女の匂いで充満している…。
僕は、しばらく、それを堪能してから消臭剤を撒いた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
今日はパンティー日和♡
ピュア
ライト文芸
いろんなシュチュエーションのパンチラやパンモロが楽しめる短編集✨
おまけではパンティー評論家となった世界線の崇道鳴志(*聖女戦士ピュアレディーに登場するキャラ)による、今日のパンティーのコーナーもあるよ💕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる