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眩暈する秋涼編

監査

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 翌日の放課後、事前にLINEで伊達先輩に呼び出されていたので、生徒会室に向かった。
 生徒会室では、伊達先輩、松前先輩、津軽先輩、佐竹先輩の生徒会役員共と昨日から役員として働いている織田さんが待ち構えていた。

 今週から月末までにかけて、各部活の部費が適正に使われているかの監査をするという。僕は、その手伝いをやらされるのだ。
 生徒会室には、すでに各部からの領収書の束が提出され、机の上の積み上げられていた。

 生徒会役員共はその領収書を細かく確認し、疑問点があれば、それが適切かどうかの討議をする。
 僕はその脇でパソコン前に座り、エクセルにその領収書の束の内容を入力していくという作業をしていた。
 あらかじめ会計の津軽先輩に説明を受け、僕は科目と金額を延々と入力する。

 学園祭のパンフレットでも再確認できたのだが、雑司が谷高校は本当に部活が多い。
 歴史研や占い研みたいな、数名しか所属していない小さい部活も結構あったりする。そして、部活の掛け持ちをしている生徒が多いのが特徴だ。
 そう言うこともあってか、僕も歴史研に在籍しているにもかかわらず、卓球部に勧誘されたりするのだ。

 というわけで、以下が雑司が谷高校の部活一覧。

 運動部系。
 サッカー部、野球部、ソフトボール部、ハンドボール部、テニス部、ソフトテニス部、バトミントン部、バレーボール部、バスケットボール部、ラグビー部、卓球部、ゴルフ部、フェンシング部、剣道部、柔道部、空手部、合気道部、陸上部、水泳部、新体操部、マイナースポーツ研究部、山岳部、応援部。

 文化部系。
 放送部、科学研究部、新聞部、美術部、書道部、将棋部、料理研究部、吹奏楽部、合唱部、軽音楽部、語学研究部、執筆部、ダンス部、演劇部、漫才・落語研究部、パソコン部、マンガ研究部、映画研究部、写真部、園芸部、手芸部、服飾部、ディベート部、ボランティア部、茶道部、華道部。
 
 これ以外にも、同好会として色々あるらしいが、学校側に認識されていないので、“帰宅部”扱いだ。

 そんな感じで、今週いっぱいの放課後は、入力作業で終わりそうだ。
 本当は、来週の中間試験に向けて、勉強したいのだけどなあ…。

 中間試験の間は、監査の作業は中断し、試験が終わった翌週に領収書で不備があったり、不明点のあった部活の部長を呼び出して、確認作業をするらしい。
 その作業は僕は関係ないので、出席はしない。

 伊達先輩たちは、この領収書は認められるとか、ガリガリ君の領収書は認められないとか、延々議論している。

 なんか、生徒会役員って面倒くさそうだ。
 副会長をやらなくて大正解だったなあ、と改めて思った。
 パソコン入力も十分面倒なのだが、これ以上は巻き込まれないように注意しよう。
 
 そして、下校時間になったので、今日のところは作業終了となった。
 僕は立ち上がり、例の怪文書が気になったので、もう一度その張り紙を見るために近づいた。

 ◇◇◇

 今年の雑司祭も上手くいった。
 来年も上手くいくだろう。

 来年は、
 1.CROWNから奪う
 2.F(人生、宇宙、すべての答え/3)に通う者への手紙を見ろ

 もし、私を捕まえることができた者には報酬を与える。
 報酬は1.57M。
                           Р
 ◇◇◇

 まあ、見たところで、全くわからないのは変わりないのだが、報酬の1.57M(=157万円?)が、やはり気になる。

 織田さんが話かけて来た。
「何、それ?」

「生徒会に届いたっていう怪文書だよ」

「ふーん」
 と、言って織田さんも怪文書を覗き込む。
「何のことか全然、わからないね」

「だよね」

「そろそろ帰るわよ」
 伊達先輩がそう言うので、今日のところは生徒会室を後にした。

 校舎から校門の途中で、僕は織田さんと話をする。
「生徒会の仕事どう?」

「先輩たちが優しく教えてくれるので、今のところは何とかなってるわ。まだ、2日目だけど。今後も、多分、大丈夫そう」

「それは良かったね」

「武田君が伊達会長を紹介してくれたからよ」

「別に大したことじゃない」

「今度、お礼させてよ」

「え? うん。いいよ」

「中間試験が終わったら、改めて話するね」
 そう言うと、僕らは校門で別れた。
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