雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

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眩暈する秋涼編

演劇部の事情

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 連休明け。
 登校するも、お城巡りの疲れが完全に取れず、午前中の授業は少し寝てた。

 あっという間に、お昼休み。
 弁当を毛利さんと食べようとしていたら、また織田さんが声を掛けてきた。
「武田君、お昼一緒に食べない?」
 そして、毛利さんにも声を掛ける。
「よかったら、毛利さんも、どう?」

 というわけで、織田さんは弁当を持ってなくて食堂のランチを食べるので、僕と毛利さんは自分の弁当箱を持って食堂までやって来た。食堂は今日も混んでいる。
 何とか3人分の座席を確保。織田さんがランチを買って来るのを待って、弁当を食べ始めた。

 織田さんが食べながら話を始める。
「歴史研って、いつもどういう活動してるの?」

 僕が答えた。
「平日は、特に何も。部室でダラダラしてる。休日は、たまにお城巡りしてるね」

「お城巡りって?」

「全国のお城を回るんだよ」

「全国?」

「そう、予定では北海道から沖縄まで回って行くんだよ」

「へー! いいね!」

「いやいや、強行軍なので、疲れるだけだよ。この連休も仙台とか新潟とか、いろいろ回って来たけど、疲れたよ」

「だから、授業中寝てたのね。旅費とかどうしてるの?」

「部費から出てるよ」

「歴史研の部費って、そんなに潤沢なの?」

「OBたちからのカンパがほとんどだけどね」

「へー。いいなあ」

「演劇部の部費は?」

「うちの部費は全然潤沢じゃあないよ。外で箱を借りて発表する時もチケットノルマあるし」

「箱? チケットノルマ?」

「箱ってのは劇場のこと。ノルマは、その劇場を借りるレンタル代金を部員で均等に負担するのよ。各出演者は負担分の代金をチケット自分で売って充足するんだけど、チケットが売れなければ、自己負担になるんだよね」

「なんか大変だね」

「演劇部では年2回、外の箱を借りてやるって決まってるんだけど、そこは格安の箱だから1回につき1人5千円ぐらいの負担でなんとか済んでるし、私はチケット売りまくってるから大丈夫。他の部員でチケット売れなくて自己負担になってる人も、安いから何とかなってるって聞いた」

「そうなんだ」

「私たちは高校生で放課後の教室を普段の稽古場として利用できるけど、社会人になったら稽古場も、どこかレンタルしないといけないからその分の代金もノルマに含まれて大変だって、OGの人に聞いたことある」

「そうか、大変だね。それで、織田さんって将来、女優になりたいの?」

「そうね。将来は世界的な有名女優になるっていう夢があるけど」

 壮大だなあ。
「進学はしないの?」

「進学はして、大学の演劇部に入りたいと思ってる」

「そうなんだ」

「武田君と毛利さんは将来の夢は?」

「私は図書館司書」
 毛利さんは答えた。

「ああ、本、好きそうだもんね。図書委員もしてたっけ? 武田君は?」

「僕は……。何もないな。まあ、卒業までに考えるよ」

「ふーん」

 嘘でもいいから、なんか答えた方がよかっただろうか?
 本当は卒業までにも考えられるかの自信も無かったが。
 自分だけ、やりたいことが無くて、ちょっと焦りも感じた。

 その後も昼食と取りながら話をする。まあ、織田さんが7~8割近く話していたんだけど。
 演劇部の外の劇場を使っての公演は、冬休みと春休みにやると言っていて、僕と毛利さんは観客で誘われた。
 これは、チケット買わされるな。

 そして、織田さんは今日の放課後から生徒会に総務として参加すると言う。
 そう言えば、明日から監査をするとか言ってたな。忘れるところだった。明日は僕も生徒会に手伝いで呼ばれそうだ。

 昼食を終えると、僕らは教室に戻った。
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