145 / 441
眩暈する秋涼編
演劇部の事情
しおりを挟む
連休明け。
登校するも、お城巡りの疲れが完全に取れず、午前中の授業は少し寝てた。
あっという間に、お昼休み。
弁当を毛利さんと食べようとしていたら、また織田さんが声を掛けてきた。
「武田君、お昼一緒に食べない?」
そして、毛利さんにも声を掛ける。
「よかったら、毛利さんも、どう?」
というわけで、織田さんは弁当を持ってなくて食堂のランチを食べるので、僕と毛利さんは自分の弁当箱を持って食堂までやって来た。食堂は今日も混んでいる。
何とか3人分の座席を確保。織田さんがランチを買って来るのを待って、弁当を食べ始めた。
織田さんが食べながら話を始める。
「歴史研って、いつもどういう活動してるの?」
僕が答えた。
「平日は、特に何も。部室でダラダラしてる。休日は、たまにお城巡りしてるね」
「お城巡りって?」
「全国のお城を回るんだよ」
「全国?」
「そう、予定では北海道から沖縄まで回って行くんだよ」
「へー! いいね!」
「いやいや、強行軍なので、疲れるだけだよ。この連休も仙台とか新潟とか、いろいろ回って来たけど、疲れたよ」
「だから、授業中寝てたのね。旅費とかどうしてるの?」
「部費から出てるよ」
「歴史研の部費って、そんなに潤沢なの?」
「OBたちからのカンパがほとんどだけどね」
「へー。いいなあ」
「演劇部の部費は?」
「うちの部費は全然潤沢じゃあないよ。外で箱を借りて発表する時もチケットノルマあるし」
「箱? チケットノルマ?」
「箱ってのは劇場のこと。ノルマは、その劇場を借りるレンタル代金を部員で均等に負担するのよ。各出演者は負担分の代金をチケット自分で売って充足するんだけど、チケットが売れなければ、自己負担になるんだよね」
「なんか大変だね」
「演劇部では年2回、外の箱を借りてやるって決まってるんだけど、そこは格安の箱だから1回につき1人5千円ぐらいの負担でなんとか済んでるし、私はチケット売りまくってるから大丈夫。他の部員でチケット売れなくて自己負担になってる人も、安いから何とかなってるって聞いた」
「そうなんだ」
「私たちは高校生で放課後の教室を普段の稽古場として利用できるけど、社会人になったら稽古場も、どこかレンタルしないといけないからその分の代金もノルマに含まれて大変だって、OGの人に聞いたことある」
「そうか、大変だね。それで、織田さんって将来、女優になりたいの?」
「そうね。将来は世界的な有名女優になるっていう夢があるけど」
壮大だなあ。
「進学はしないの?」
「進学はして、大学の演劇部に入りたいと思ってる」
「そうなんだ」
「武田君と毛利さんは将来の夢は?」
「私は図書館司書」
毛利さんは答えた。
「ああ、本、好きそうだもんね。図書委員もしてたっけ? 武田君は?」
「僕は……。何もないな。まあ、卒業までに考えるよ」
「ふーん」
嘘でもいいから、なんか答えた方がよかっただろうか?
本当は卒業までにも考えられるかの自信も無かったが。
自分だけ、やりたいことが無くて、ちょっと焦りも感じた。
その後も昼食と取りながら話をする。まあ、織田さんが7~8割近く話していたんだけど。
演劇部の外の劇場を使っての公演は、冬休みと春休みにやると言っていて、僕と毛利さんは観客で誘われた。
これは、チケット買わされるな。
そして、織田さんは今日の放課後から生徒会に総務として参加すると言う。
そう言えば、明日から監査をするとか言ってたな。忘れるところだった。明日は僕も生徒会に手伝いで呼ばれそうだ。
昼食を終えると、僕らは教室に戻った。
登校するも、お城巡りの疲れが完全に取れず、午前中の授業は少し寝てた。
あっという間に、お昼休み。
弁当を毛利さんと食べようとしていたら、また織田さんが声を掛けてきた。
「武田君、お昼一緒に食べない?」
そして、毛利さんにも声を掛ける。
「よかったら、毛利さんも、どう?」
というわけで、織田さんは弁当を持ってなくて食堂のランチを食べるので、僕と毛利さんは自分の弁当箱を持って食堂までやって来た。食堂は今日も混んでいる。
何とか3人分の座席を確保。織田さんがランチを買って来るのを待って、弁当を食べ始めた。
織田さんが食べながら話を始める。
「歴史研って、いつもどういう活動してるの?」
僕が答えた。
「平日は、特に何も。部室でダラダラしてる。休日は、たまにお城巡りしてるね」
「お城巡りって?」
「全国のお城を回るんだよ」
「全国?」
「そう、予定では北海道から沖縄まで回って行くんだよ」
「へー! いいね!」
「いやいや、強行軍なので、疲れるだけだよ。この連休も仙台とか新潟とか、いろいろ回って来たけど、疲れたよ」
「だから、授業中寝てたのね。旅費とかどうしてるの?」
「部費から出てるよ」
「歴史研の部費って、そんなに潤沢なの?」
「OBたちからのカンパがほとんどだけどね」
「へー。いいなあ」
「演劇部の部費は?」
「うちの部費は全然潤沢じゃあないよ。外で箱を借りて発表する時もチケットノルマあるし」
「箱? チケットノルマ?」
「箱ってのは劇場のこと。ノルマは、その劇場を借りるレンタル代金を部員で均等に負担するのよ。各出演者は負担分の代金をチケット自分で売って充足するんだけど、チケットが売れなければ、自己負担になるんだよね」
「なんか大変だね」
「演劇部では年2回、外の箱を借りてやるって決まってるんだけど、そこは格安の箱だから1回につき1人5千円ぐらいの負担でなんとか済んでるし、私はチケット売りまくってるから大丈夫。他の部員でチケット売れなくて自己負担になってる人も、安いから何とかなってるって聞いた」
「そうなんだ」
「私たちは高校生で放課後の教室を普段の稽古場として利用できるけど、社会人になったら稽古場も、どこかレンタルしないといけないからその分の代金もノルマに含まれて大変だって、OGの人に聞いたことある」
「そうか、大変だね。それで、織田さんって将来、女優になりたいの?」
「そうね。将来は世界的な有名女優になるっていう夢があるけど」
壮大だなあ。
「進学はしないの?」
「進学はして、大学の演劇部に入りたいと思ってる」
「そうなんだ」
「武田君と毛利さんは将来の夢は?」
「私は図書館司書」
毛利さんは答えた。
「ああ、本、好きそうだもんね。図書委員もしてたっけ? 武田君は?」
「僕は……。何もないな。まあ、卒業までに考えるよ」
「ふーん」
嘘でもいいから、なんか答えた方がよかっただろうか?
本当は卒業までにも考えられるかの自信も無かったが。
自分だけ、やりたいことが無くて、ちょっと焦りも感じた。
その後も昼食と取りながら話をする。まあ、織田さんが7~8割近く話していたんだけど。
演劇部の外の劇場を使っての公演は、冬休みと春休みにやると言っていて、僕と毛利さんは観客で誘われた。
これは、チケット買わされるな。
そして、織田さんは今日の放課後から生徒会に総務として参加すると言う。
そう言えば、明日から監査をするとか言ってたな。忘れるところだった。明日は僕も生徒会に手伝いで呼ばれそうだ。
昼食を終えると、僕らは教室に戻った。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる