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開闢編

5話 分かたれる運命の黙示録

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≪日本列島が劣等島と言われてから20年以上経過していた
20年もあれば、劣等島の格差は広まるばかりだ

他国が特異点技術を手にする中
日本は内部でもめていた

だからそこで秘密裏に機密な計画を持っていた二人の実行力は
揺るがしていた 賛同者を募らせていた


そしてチャイナ隊員の中にも
日本への差別主義に反旗を翻す者もいた
そういう人間はアレスト達の味方をするようになっていた


全ては順調だと思っていた
その日が来るまでは…≫





アレスト
「何故!何故だ!?
何故俺だけ…俺が何を…!」


「しらばっくれるなよアレスト!
俺は知ってんだぜ!」

「そうよ
私だって見たよこの目で確かにアレストが裏金を貰っているのを」


そこに一人の男が説明するように繰り出した


「ブラッド…?」
「私から話そうか 彼は重要人物であり腐った人間だという事だ」


ブラッドは仕組んでいた
何故かは分かった
それは地球外部への組織作りが終わり
自分がその頂点に君臨する為にアレストは邪魔だったというただそれだけだ

アレスト
「俺が邪魔だったのか?
何を言う?私は君が必要だった この子達もね
それを裏切った形で…悲しいよ私は」


そう言ってアレストにだけは笑っている彼の顔があった
裏金を貰っているアレスト
それはフェイク映像だ しかし背丈もそれ程変わらないブラッドの言い分は聞き入れられていた
二人がやったのが賛美の数々だ 信じ切るのも無理は無い


アレスト
「フェイク映像だそれは!」

隊員
「もう止めろよアレスト!」
「私達の為じゃなくてあんたの利益の為だ!」
「くたばれアレスト!」


アレストはボロクソに叩かれた
仲間である人間にも、敵である地球人にも
地球上で彼の為だけに、特別に議会が開かれた






~巨大ドーム~

アナウンサー
「全中継でお送りします
こちらが反逆をし続けていたテロリスト共です
しかしテロリスト共も皮一枚では無かったようです
本日裏切者を処分する事になります

それがこのアレストです!」


地球内部の世界で生中継されている
そして観客席を設置している巨大ドームでそれは行われた

アレスト
「ちっ…こいつら
これみよがしに俺に全てをぶつけてきやがるな」


石ころを投げつけられて
銃所持と発砲を許可されていた兵士からはアレストの近距離への銃弾を放つパフォーマンスが行われていた
そのパフォーマンスで会場は盛り上がる

アレスト
「俺達はこんな奴らの為に今までやってきたのか?
ブラッド…あんたは俺に全て擦り付けようって言うのかよ…!」

アナウンサー
「さてブラッドさん
そのように言われていますが…」

ブラッド
「何も聞き入れる必要はありませんね
彼の言い分は利益固持の為です
彼はこのクーデターに何の意味も持っていませんでした

私達が欲しいのは移民船なのです!
この地球から旅立つ為の移民船
たった一つの為に今まで地球での反逆をし続けていたのですから!」


観客席も会場にいるサミットも驚いていたが
それは直ぐに現実の物になる
巨大ドームの中央にホログラム映像が映し出される

それは地球外部にいる新規人類だった

新規人類
「私達は懐古人類には興味がありませんが
接触禁止条例が発足された上で反逆を繰り返すその仲間を見捨てる訳にはいきませんのでね
そしてアレストさん あなたには失望しましたよ」


しかしそれはアレストは分かった
新規人類の技術なら干渉は可能だろう
だから過去自分が犯罪の有無を確認すれば分かる事だ

だが新規人類にとってもはや誰がやったかを探す事は無かった

アレスト
「それ以上にブラッドを必要としているのか
俺は最初から厄介払いなのか…
通りでお前は危険区域で孤立封印されていた訳だ」

ブラッド
「何とでも言えばいいさ
それでも彼らの怒りは消えないよ」


例えアレストがいくら喚いても
それは仲間たちによってかき消されてしまう









懐古人類
「何しに来やがったのです?
今更新規人類は…」

新規人類
「あなた達には別に興味は無い
だがブラッド率いる彼らは私達の同士なるものです

そう判断が成されました」


アレストはそこで気付いた

アレスト
(そうか…こいつら
情報提供と共にサイバーコロニーの核を分け与えるつもりか)


サイバーコロニーの核を持てば
サイバーコロニーは構築される
そして情報提供はブラッドが裏で回していた情報探索だったのだろう

アレスト
(通りでこいつ…俺の裏方ばかり好んでいた訳だ
金周りも良かったからな)


フェイク映像の本人はブラッドだ
ブラッドは裏金を回していた
それをアレストは仕方ないものだと感じていた

アレスト
(それが裏目に出るとは…俺も甘いものになった
せっかく厳格さはチャイナに教えてもらったはずだが…
身内に甘いという厄すらも譲り受けてしまうとは情けないものだ)


アレストは手錠を外す為に手の平に隠し持っている手錠鍵を用意していた
どこか良いタイミングでそれを外す時が来るだろうと

アレスト
「おい新規人類
俺は良いだろうけど、他の仲間はお前が降りてこなければ信用しないと思うぞ
情報提供の元に協力するつもりなのだろう?」


ブラッドはアレストを見て笑っていた


新規人類
「良いでしょう…
今から向かいますよ 座標も登録されていますし」


すると瞬間、転送で来ていた
一瞬の出来事に皆驚きを隠せない






兵士
「動くな!どんな手品を使った?」
「お前がいるという事は包囲しているのか?」

新規人類
「そんな事はしませんよ
それに…」


銃器がそのまま折れ曲がる

新規人類
「私達にそれらは全く持って無意味だという事は理解しておく事です
私達の技術力は遥かに上なのですから

高度な技術は「魔法に等しい」とよく呼ぶでしょう?」

アレスト
(こいつらサイコキネシスを扱えるのか?
それとも別の技術か?
情報提供に需要と供給が結ばれているな)

新規人類
「それとですね…」


アレストは手の平にあったはずの手錠鍵が消えているのを感じた
新規人類は手に手錠鍵を持っていた

アレスト
「お前…!
あれ?手錠が外れている」


アレストが無意識に動くと手錠が無くなっているのが分かる
手錠は先ほどの疑似念力で手錠は粉砕されていた





アレスト
「お前の念力は疑似的な作用
透明色の高速移動型ナノ兵器を使っているって事だろう?
それも脳操作型の」

新規人類
「はは よく分かりましたね
私達もこの地球上で奇跡的に生まれたであろう
念力兵器であるブラッドが欲しいのです

情報提供はブラッドの脳みそです」

アレスト
「な…!?」
(いや、そうか それならこいつらの絆力も上がるか…)


アレストは誤算を手にしていた事にようやく気付いた
真実はどうあれど、自分の脳を直接提供するようなブラッドが
わざわざフェイク映像を提供するという事は起こり得ない考えないのが筋だからだ

誰もがブラッドを信じ切っている

アレスト
「お前…それでいいのか?
せっかく無人島から抜け出せたのに」

ブラッド
「確かに感謝はしていますよ
ロックが解除されてから私は世界を歩けましたから
ただ…私は脳が極端に皆さんと違いますから…」


笑顔でこう言った




ブラッド
「吐き気がするのですよ
皆さんの解答にはね

だから私は同士を宇宙へ上がらせれば
私に存在意義は必要無いのです

必要があるというのなら…コピーアバターにでもやらせればいい
ねぇそうでしょう?新規人類のコピーアバターさん」


新規人類は二段構えであった
コピーアバターを転送していたからだ
しかし偽物か真実体であるかはどっちでもよい
それは宇宙では基礎的な身の回避の仕方であるからだ

コピーアバターが自分と一つになれば
その経験値は自分へと生還する

その在り方を拒否する人間もまた別の強化方法を目指している
新規人類はそれだけ永遠の生の為の技術を強化しているのだ

新規人類
「分かりましたねアレスト
ただ…君にも宇宙へ旅立たせてあげますよ」

アレスト
「な…どういう…?」

新規人類
「それはですね…」


パチン!と鳴らして上空のホログラムモニター画面を変えていた
其処は監獄のようなものだった
そして室内には灼熱拷問室や霊柩室など色々存在していた






新規人類
「ここは永獄機関という犯罪の抑止力の源となっている機関です
ここに収容されるのは数多の犯罪者です

あなた達も知っている人間もまたいますよ?」


「あ、こいつは!」
「ドクターレイシス!何であそこにいる!」
「おい死刑したんじゃないのか!」
「一体どういう事だ!」


観衆が怒り狂うのも無理は無い
彼ドクターレイシスは無残な人殺しの最高顧問だったからだ
全責任を請け負い、そして地球人を大量に殺した超重犯罪者であるからだ

数年前に死刑を宣告されてから
ドクターレイシスは笑っていたが
まさかそれがこの形だとは…そう考えての怒りの苦情だった

新規人類
「ま、落ち着いてください
彼の超重犯罪は地球外部の私達にすらも危険なのです

地球人類では死刑廃止を訴える方々が多いです
その考えもあながち間違いではありません
何故なら魔女狩りであり偶像崇拝に匹敵するからです

しかし宇宙規模なら話は別なのです」


そしてホログラムモニター映像に
仮想試行の仮想映像が入り乱れる
そこでは仮想試行の名の元に
ドクターレイシスの考えを肯定した人間が宇宙戦争を仕掛けていた





新規人類
「最初は一つのテロから始まり
そしてやがて宇宙の戦争に繋がる

超重犯罪者の扱いを受けられたものは
そうしたものを持っています

だから私達はその人間を管理した上で
犯罪抑止力の為に永獄機関に監獄させているのです」


そしてその次には
ドクターレイシスの映像が見えた

レイシス
「ふん…!そこで見ているのだろう?豚共の諸君!
便利で痛快な我が痛みを見ている気分は爽快か!?

この盗人の家畜共がっ…!!」


「こいつ…!」
「何も反省してねぇ!」
「やっぱりこいつなんて殺しちまえ!」




『殺せ!殺せ!殺せ!』




アレスト
「な、なんだこいつら…!?
いきなり一斉に言葉を融合しやがった!

それ程までにドクターレイシスを憎むのか」


「アレスト、あんたは感情機能が欠落しているから分からねぇだろうが…」
「私達はドクターレイシスによって家族は皆殺しにされているのよ…」
「他の連中も形はどうあれ同じようなもんさ」
「それがアレなんだろ?」







ドクターレイシスはそれを聞いては笑っていた

レイシス
「まあ…次にはわしの無残な生死の伴いを見て
お前等豚共は家畜共はブヒブヒ鳴いて喜ぶのだろうなぁ…?

吐き気がするわっ…!!!!!」


次の瞬間
ドクターレイシスは
高笑いと絶叫を上げていた
そこでは灼熱拷問が繰り広げられていた

新規人類
「灼熱1000度と共に繰り返される超細胞
技術力の賜物です
この室内だけ超圧縮のエネルギーが存在します
だからこそ超回復細胞が存在します
仮想空間に閉じ込めた彼の細胞は永遠に復元され続けられます

そして灼熱1000度の痛みをリアルに何度も何度も苦痛の責め苦に遭うのです」





「おっしゃ!」
「殺ってやれ!!」
「俺達の痛みを知れよ!!!」
「私は苦しめられた!」
「拷問もレイプも全ての痛みを知ってこい!」
「永遠に死にやがれ!!!」




観客はまるで観客だった
それは観客の歓喜で沢山だった

アレスト
(こいつ…泣いているのか?
心の中で)


アレストだけは感情機能が欠落したアレストだけは思っていた
彼は超重犯罪者では無い ただ何者かに利用され蹴落とされて
その責任を負わされ続けている そう感じざるを得なかったのだ

新規人類
「この永獄機関があるからこそ
宇宙では争いが出てきません

人々は危険因子になるよりも
自分達の理想世界を自らのサイバーコロニーに作り出しているのです

サイバーコロニーは理想的な機関として存在しているのです
その一つのコミュニティ的コロニーで人は住んでいるのです
だから懐古人類のような争いが出てこないのです」


そして笑顔で新規人類は言った

新規人類
「私達はこの映像を
『犯罪の抑止力』として提供しましたが
あなた達が感じたこの映像は
『生殺与奪』でしか物事を感じられない事を証明し切れましたね

だから私達はあなた達懐古人類を忌み嫌い吐き気がするのですよ」






「ちょっとまて…俺は…」
「そうですよアレストさん あなたの考えている通りですよ
ブラッドさんもその覚悟をお持ちで」


手駒になっていくアレスト
ブラッドは何も言わなかった
胸倉を掴んでも沈黙のままだ

今までの友情は只の友情ごっこだった
泣きながらアレストは思っていた

アレスト
「俺は…感情機能が欠落してもな…!
友情感じた奴に裏切られればそうなるんだよ…!」

ブラッド
「それに…あの監獄機関は二度と出る事の出来ない機関だしな
私はきっとその後を選ぶよ どんなルートで生きていたとしても」


ブラッド達は新規人類から提供された戦艦と共に上空へと飛び立っていく
どれだけアレストが手を広げても誰も振り向きはしなかった
誰もがブラッドの脳みそ提供という覚悟に酔いしれていた

アレスト
「誰も俺らの友情には目をくれていないな
そして――」


「おい!ふざけんな!」
「あいつらクーデター起こしただろうが!」
「そうだ!責任をあいつに押し付けろ!」
「あいつは超重犯罪者なんだ!」

新規人類
「分かったでしょう?アレスト
これが超重犯罪者の作り方だって事にね」


アレストは後ろへと逃げるが
そこに何かが引っかかり倒れる
辺りには何も存在しない




アレスト
「っていう事は…透明のナノ兵器か!
俺に首輪を!?」


首輪が装着されていた
しかしそれはナノ兵器では無く新規人類が撃っていた

新規人類
「簡潔的に言えば
AIによって最適化された捕縛銃です
火力はありません 単なる捕縛の為の装置です
そして自動照準機能が付いています

アレストさん、あなたが逃れられない敗因はたった一つ
技術力という圧倒的な敗北条件なんですよ」


アレストは観客の歓声の中
首輪を片手で引っ張られて引きづられていた
もうすぐ座標軸へと合わされる そこでジエンドだ 転送完了となる

アレスト
「何とかしなければならない…!
俺はこんな所で死んでしまうのか…!?」

新規人類
「ご名答
ただ、死ぬというよりは生きながらえられますよ
あの永獄機関でね

つまり君はブラッドに生かされているという事でもあります」


せめてもの救いとしてのその処置は
アレストにとっては致命的なショックを引き起こしていた

それでも手を伸ばしていた
しかしその伸ばした手には石を投げつけてくる観客気分の懐古人類しかいなかった





『座標軸にて転送する
それでは御機嫌よう懐古人類の皆さま――』
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