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九滅の願い編

20話 盤上の支配者に挑む者

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チェス
「何だ
てっきりラウドはもう少し僕の心配をしてくれると思ってましたよ
偽善者としてね」

ラウド
「勘違いはするな
俺は進んで悪になった者は断罪すると決めているだけだ
悪の道へ進まざるを得なかった奴とは裏が違うだろ」

チェス
「そんな理屈…反吐が出ますねぇ…!
反吐が出る?反吐が出るのはこっちだ お前は無作為に世界を人を利用し過ぎた
その自我の為に利用し続けた結果、人生の岐路を死滅させられた者達がいた
そんな惨状を見て、お前に反吐が出ない奴なんているのか?」


チェスのボード盤を真空爆風で攻撃してボード盤を滅多切りした
ボード盤は崩落する

チェス
「大番狂わせで災害で迷惑巻き散らしたラウドは今では救世主の一員か
君も是非とも天災メイズまで至れる事を胸に刻み込んでおくよ」


ボード盤の崩落と共にチェスは消滅した
あっけのない消滅にラウドは意気消沈する





ボード盤が蘇った
否、ボード盤がある限り、チェスの存在意義はボード盤と共にある
製造過程で生み出されたそのメーカーの生産が間に合う限り
何度でも復元可能のメイズ

ラウド
「まるで死神だな 生きた死神だ
チェス、あんたは金儲けの末に
他にやり場が無いからそうして人を傷つけるんだ

いや、チェスの言い分で言うと傷をつけている訳じゃない
あんたの自己表現の為に脇役にされ過ぎたんだ人は」


ラウドはボード盤を揺るがす
ボード盤にはユニットが設置されている
強いユニットを設置されていて、
ミサイルユニットとヘリユニットだ

チェス
「人を交えない戦い方をする事があなたの言いたい事でしょ
その願いのまま、ラウドの息の根を止めてあげましょう」


ボード盤の軋みは無く
新品同様のボード盤
ラウドの真空攻撃を仕掛けても、ミサイルユニットに誘爆される




チェス
「終わりだラウド…!」
ラウド
「く…俺の生命もここまでか…!」
砂漠の土地の住人
「いかんなそれは…いかんよそれは」

ラウドとチェスの対話に交じる声
その方角を振り向くとそれはメイズを崇拝する砂漠の土地にいた人々だった

砂漠の土地の住人
「電子世界になってから
この崇拝メイズがラウド自身が作り出した物の怪だと理解した
だから我々はラウドの為にと一旗揚げたよ
チェスへの一滴を頼むよ」


まだ未来は分からない
ラウドはそう思った

その力にもならない協力は
ラウドに勇気を齎していた

そして今一度ラウドは上空にいるチェスへと向かい始める





盤上メイズで攻撃する
ラウドはそれを真空風を操って上空を飛んで
攻撃と回避を繰り広げていた

チェス
「分かるか?この世の渡り方が」

ラウド
「あ?」

チェス
「この世は不条理だ
そしてこの世は駒なのだ
マスゲームなのだ
だから分かるだろ?」


満面の笑みで見せたのは
画面上に映るチェスとは違うものの似たようなフィギュアの数が多い駒ゲーム
そしてその駒同士が殺し合う

その仕草はまるで今まで見たビジョンのようだ

チェス
「駒を進ませれば行動の末に何かを手にする 憎悪か歓喜か悲痛か
動悸眩暈
そして神経衰弱のように世界は行動を裏返す
おもしろおかしいマスゲームだなこれは」


マスゲーム能力で世界を動かしていた
その狭い世界は生きている人間にとっては世界だ

それを歪ませている遊んでいる人間に対してラウドは本気で切れた

ラウド
「どうやらゲス野郎がここに生息していたのだな
破滅に向かう準備は良いか?もしくは血祭りに上がる準備とも言うが」


既に聞いた事のあるような問答をしながら
ラウドとチェスは攻撃を繰り広げる





チェス
「へーこれはまた駒の無い相手とゲームか
凄いね 僕の駒の数は多いよ

参加者が多いからね
この町は特殊な人達の集まりだよ

縋るものを探して辿り着いたゆえの街
崇拝メイズが最も作り出される街だ」

ラウド
「崇拝メイズ?
お前、砂漠に行った事はあるか?
死神をお前はその時使用しただろ?」

チェス
「死神?
あぁ、マスゲームで負けた人達か
あの人たちは負けたから死神に取りつかれたよ

街の内部から壊す為の策略を持ち込んでくる死神ね」


それに取りつかれたのがあの砂漠の現状だったのだ

ラウド
「あれは崇拝者が悪い訳では無かったのか
あれはお前の仕業なのだな」

チェス
「仕業?
人聞きの悪い事は言わないでくれ
ゲームに負けたからこその結果だろう」

ラウド
「ゲームに酔いしれて
世界に生きている中の様子を見れないのか

なんたる盲目だ なんたる侮辱だ
許せんな 正義を信じる俺には許せんよそれは」

チェス
「正義?それが何の為になる?
お前の為にはならないよ

お前が万が一何かを掴んだとして
それは正義の結果ではない
お前の行動の結果なのだ」

ラウド
「そんな問答は通用しない
俺はもう曲げる訳にはいかない
だってお前はカナスティアと同じで狂気を持った人間だからな

容赦をしても仕方のない人間だ
死と言う救済をお前に届けてやるよ」




駒のゲームは開始された
やってみろ凡人と言われながら
ラウドはそのボード盤を何のユニットにも回避動作もせずに
そのボード盤だけに直面する為に

防御皆無の
攻撃特化の集約真空攻撃を繰り出して
そのボード盤だけを斬る




チェス
「面白いな…
覚悟はその作戦皆無の感情だけで賄われるか…
全てに打ち勝てるのがお前だといいな…」


チェスの攻撃もユニットもボード盤も消失していく
ラウドは上空に上がっていた事すらも何も考えていなかった
そのまま落ちていく

ラウド
「俺はな…世界で一番酷い奴だった…
世界で一番酷いから…世界で一番守りたいんだ…その何かまでは分からないが
闇を切り裂く そうした真空に…俺はなりてぇんだよ

それを笑うか?なぁ…チェスよ…」


チェスの声は何も聞こえない
しかしラウドはその言葉を反芻しながら落ちていきながら死ぬ事を肯定した

その肯定は返答しなかった
寸前で亀裂メイズによって建物をクッション代わりにさせて
ラウドのダメージを和らげていた

マリア
「私はラウドが闇を斬り裂けるメイズ能力者になる事を信じているよ」


そして羽化は開始された
突如としての誕生
突如としてのエミナ町の全破壊
それが突如となく現れた

前触れの無いその光景に誰も止めれる者はいなかった
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