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アウトロー編

11.5話 常闇の雫

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グリザル
「さてと…ラウドの嫌いな尋問でも始めようか」


その尋問は尋問でないとラウドは分かった
何故ならグリザルが設置した尋問相手に手錠が成されて
そして荒くれ者達が階段を下りて来ていたからだ

そこから始まるのはきっと拷問だろう

ラウド
「俺が許すとでも思うのかよ…!
俺は真空メイズで…攻撃が出てこない…!」


真空放出爆風で内部から細胞を活性化しようにも操縦が効かない
それはグリザルが注入した麻痺薬が原因だった

ラウド
「一体いつからだ?
どこでそんな場面があった…!」


グリザルと再会したのは、組織の建物に入った時だ
建物から今まで触れられた痕跡は無いのだ

グリザルは拷問を始める合図を送る
そしてその合図と共に路地裏での殺人同様にボコボコにした

ラウド
「てめぇらの仕業なのか…!
その器具を外せ…!そのキリングキラーを止めろ!

それが九滅の願いでもだ…!」


グリザルは驚く様子もなく
九滅の願いを知ったラウドに合わせて
実演してみせた 回復メイズだ

回復メイズによって発光メイズ能力者は回復した
細胞が回復していく過程にラウドは気付いた




ラウド
「回復メイズで俺の細胞を上書きしていたか…
俺の真空メイズが気付かない要領で」


建物内から地下の牢獄に入れるまでのわずかな時間
その時間でグリザルは回復メイズを使っていた
そして細胞を麻痺状態に書き換えられていた

麻痺細胞を回復していた事で細胞増殖していたのだ

グリザル
「ま、ラウドが自分のメイズを操縦出来るには
俺が建物の上に上がって回復メイズの領域から抜け出してからです」


ラウドの細胞の中で麻痺状態が延々と繰り返されているため
ラウドが真空メイズで書き換えようと弾き飛ばそうとしても
その操縦力が間に合わない

そしてグリザルは笑いながら「やれ」と言った
そして発光メイズ能力者はボコボコにされた後、殺された




グリザル
「孤の滅亡がこれで完了しましたね
ラウドを弧の滅亡にする予定でしたが…まあこれで良いでしょう

無論、これはラウドやシフォンさんがいてこその孤独の滅亡足り得るんですがね」

ラウド
「その為にボコボコにしたのか…!」
グリザル
「そうですよ 私は全ての悪をこの身に請け負って
そして世界を救うのです かつてラウドがそうしたようにね

私を偽善者と口にしても構いませんよ
私はこの一瞬一瞬を楽しむ事にしていますから
そうでなくては狂う事など出来ないでしょう」


その背中には自分の背中に似たものを感じていた
ラウドは己の考えをリセットする為にも壁を殴った
メイズ力の無い物理的な攻撃は自分の脆い肉体に傷口として残った

ラウドは思ったのだ 自分のペースを奪われてはならないと

グリザル
「ま、楽しみにしていますよ」


グリザルは階段を上っていった
荒くれ者は数人残されていた


「馬鹿な事すんじゃねえぞ?」
「何も出来ないだろ 例の麻痺だろ?」


荒くれ者たちはラウドの情報を知り得ない
去った後もラウドは麻痺が抜けていくまで静かに待ちながら話し込んでいた




ラウド
「俺の意識無いでは、グリザルは敵意が見えない 悪い奴という感覚がないんだ」


ラウドは今まで敵と遭遇しても敵意を示される者と認識して敵と戦っていた
だが、それがグリザルには感じられなかった

シフォン
「ラウドさんもそう思いますか…
実は私もです なんだか悪いって感覚がなくって
心話でも「これも羽化不全の為です」といった様子でしたよ

メイズ能力が発揮しづらい状況でしたから、私の憶測も入ってるかもしれませんが」

ラウド
「ま、ともあれ
それもまた九滅の願いの為でもあるんだろ?」


どちらにしても主義主張が変わる事は無い
ラウドは真空攻撃を放つ
それを呆気にとられる荒くれ者達
そして後ろ図去りしながら失禁する

ラウドは壊した牢屋から発光メイズ能力者へと止めた
そこには頭蓋骨が曲がってるような跡と髪の毛を抉り取られていた変り果てた姿があった

ラウド
「あの時(助けた時)はそんなに酷くなかったのにな
ここまでするならお前らも…分かるだろ?」
「いや、話せばわかる」
「そうさ 俺達は手下――」
ラウド
「関係無いな」

ラウドは対処するならばこれしかないと
唐突に待ったなしで真空剣を抜刀した

ラウド
「たった一つ喋る言葉があるなら
俺は「貴様らを愚弄する」だ」


シフォンの心話メイズからも
ラウドの愚弄している気持ちが入り込んでいた
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