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−番外編−
我慢はしないとあなたはいう(2)*
しおりを挟むディルは帯を解くことはせず、はだけたところに手を伸ばし、もう少し寝巻きをめくり上げる。腿までが空気にさらされて、そのまま彼は手のひら全体で腿に触れた。
そして掌を上下に滑らせながら、そっと体を近づけてくる。
「サヨ、綺麗だ」
「ぅん……」
そうしてゆっくりと、唇をあわせる。
ちゅ、ちゅ、ちゅ、と口づけはだんだんと深いものになり、サヨの心臓は激しく鼓動する。
ああ、彼のかおりだ。
深く、くらくらするような大人の男性のかおりにあてられて、心がふわふわする。
「今夜の君は、甘いかおりがするな?」
「ああ。あの、香油を、少し」
「そうか――。まずいな」
君が魅力的で、くらくらする。
そう耳元でそっと囁かれて、サヨは顔を真っ赤にする。
だって、それはサヨだって同じことを思っていたのだから。
ドキドキしてなにも言えないでいると、彼はくすりと笑って、サヨの体に手を這わせた。
そのまましゅるりとサヨの下着の紐をとき、下着だけ脱がせてしまう。変わらず寝巻は着せたまま、その大きな手でサヨの股をまさぐった。
「ぁ…ひゃ……ん」
つい鼻から抜けるような声が漏れてしまい、はっとする。
恥ずかしくて口を閉じるけれど、彼はご満悦な様子で囁いた。
「いい声。――もっと聞かせてくれ」
「あ、ま、…はずか、し……」
「ふふ、そんなことを言っても、可愛いだけだぞ?」
なんて言いながら、彼は今度はサヨの胸もとをはだけさせ、白い肌へとしゃぶりつく。
淡い色に染まったサヨの頂きを舐り、舌を転がすようにして愛撫する。もう片方の頂きもその大きな手で捏ねながら、サヨの控えめな胸を揉み拉いた。
「あ、あ……ぁ……!」
執拗なくらいに乳房を捏ねられる。
あまり触り心地もよくないはずの胸なのだが、彼は実に楽しそうだ。
乳輪に指を這わせたり、乳首を摘まんだり転がしたりするから、ついサヨも甘い声を漏らしてしまう。
「ん。ああ、綺麗だ――サヨ。今日はどれだけ声を出してもいいからな?」
「そん……ぁ……」
「いっぱい聞かせてくれ」
はじめて彼と目交ったときは、部屋の外に声が漏れないようにと、かなり声を我慢していて。
でも、今日は初夜。
それだけでなく、これだけ立派な城である。サヨの声など外にもれるはずもなくて。
「……っ」
恥部へのびていた方の手が、サヨのナカを行き来する。たまに花芽を摘ままれたり、弾くように爪で引っ掻かれたりするたびに、刺激の強さに体が跳ねた。
「ま……っ……!」
それは、以前彼が与えてくれた穏やかな愛撫とは全然ちがって、サヨの反応をみて楽しむような、ちょっと意地悪な動きだった。
「ぁ、ディル……ん、…ぁ…」
なんて声が出てしまうのだろうか。
どこからこんな声が出ているのか自分でもわからなくて、涙目になる。
サヨが仕える余裕なんてどこにもなくて、ああ――以前の伽は、かなり彼に手加減してもらったのかと理解する。
「ああ、サヨ――可愛い。すごいな、君に、こんな一面があっただなんて」
「ゃ……はずか……し……」
「いいんだ、もっと乱れて。オレにだけ見せてくれ」
「ひゃ、あああっ」
サヨが理解できないようなはやさで指を出し入れされ、あっという間にのぼりつめる。
頭の中までもが、痛いくらいに熱く感じる。
ちゅくちゅく、という淫靡な音に耳まで犯されているようで、心臓が暴れ回る。
そして奥のざらざらしている部分を引っかかれた瞬間、腰から一気に震えが走って、頭の中が真っ白になった。
「…………っ!」
びくびくびく、と全身が大きく震え、力が抜ける。
感じたことのないほどの快感に愕然として、あまりの恥ずかしさに顔を押さえた。
「上手にイケたな? いい子だ」
「ぅ……」
「君のここ、もうぐしょぐしょだぞ? 良かったか?」
「ぅ、ぅ……そんな……」
呼吸するのも苦しい。
涙目になりながらも、そっと指の間から向こう側を見ると、こちらを見下ろす空色の瞳と目があう。
彼のまとうゾッとするほどの色気にあてられ、自分はまさか、とんでもないところにきてしまったのではと思うに至った。
「――以前、君と約束をした。覚えているか?」
「ぅ……?」
「君の義父上を殴り倒したあかつきには、君を朝まで抱きつぶすと」
「ぁ……」
覚えている。
はじめて彼と体を交えたとき、彼はとってもやさしくて。とても丁寧にサヨの体を拓いてくれた。
でも、今宵はちがう。
手加減をしないと彼は言っているのだ。
一年。
とても長い間、彼とはなれていて。
ちょっと触れられただけで、歓喜でこんなにも感じてしまうのに、このあと自分はどうなってしまうのだろうか。
しかも、一度達してしまったというのに、彼は全然その手を止めるつもりはないらしい。
いたるところに口づけて痕を残しながら、その両手は容赦なく愛撫を続けていく。
「一年、耐えた男の欲情を甘くみないでくれ」
「……ぅん」
「我慢しないで、いいな?」
ぞくりとするほどに熱っぽい目を向けられ、サヨは震える。
でも、それは怯えとかそういったものではなくて、未知の――これから自分はどうなってしまうのだろうかという――いわば、期待。
「ああ――」
だから、サヨはちゃんと頷く。
「旦那さまの、好きにしてくれ――」
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