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第3話 まさか聖夜にプロポ……いえ、わたしなにも気がついていません。
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しおりを挟むん……。
ほわぁ……なんだか、あったか……。
おふとん。おふとんの感触だ。
でもいつもとちょっと、重さがちが…………ん。
あれ?
ちょ、まって?
え? わたしいつのまにおふとん入っ…………んんんっ!?
「ふぁっ!!!」
仕事は!?
がばって起きて気がついた。
「!?」
あれっ!?
ってか、ここ、どこかな!?
んんんっ!?
いやいや、あのね?
目の前に広がってる景色がさ、どう考えても見たことのない部屋で。
上着だけは脱がされてたけど、わたしは制服のままお布団に寝かされていてさ。カーテンが閉められて外の景色は見えないけど、明るさ的にどう考えても夜だし。
あれっ!?
これ、どこ……!?
「目がさめましたか、リリーさん」
「!? アレクシスさん!?」
声のした方向に向いたらさ、ベッドの近くにあるひとりがけのソファーでくつろいでいる男のひとと目があって。
うん、つまりアレクシスさんなんだけど。
「あれ? ……わたし、倒れちゃいました?」
そ、そういえば……馬車の中で盛大にやらかしてしまったような気がするよ?
「えっ!? ご、ごめんなさい、アレクシスさんっ。えっ、こんな夜まで!? つきあって看病!? ごごごごめんなさいっ!!」
「はぁ?」
馬車で眠くなってからの記憶が全然ないんだけど。
アレクシスさんがなにか話してて……あれ、何をどこまで話したんだっけか。お守りのはなし……うーん、覚えてないよ?
ただ、異常なほど眠くなって、すこーんって意識飛んじゃったんだけどさ。
「びっくりしましたよね!? ここ病院っ!?
あっ。ぜんぜん、もう、大丈夫なんでっ。わたし、おうち帰らなきゃ――って、仕事っ! あああ、アレクシスさん……あの……冒険者ギルドに……連絡とか……」
いれてくれたりしてませんか?
「えええ?」
めちゃくちゃ戸惑われた。
してませんよね……ひええええ。どーしよう! 無断で直帰しちゃった!!
しかもこんな時間までアレクシスさん巻き込んでっ。もうしわけっ。ないっ。
あわててベッドから這いでて――あれ、ブーツ、ブーツ。わたしの、靴は!?
「あの、わたしのブーツは……」
「リリーさん、落ち着いてください」
「いえ、アレクシスさんにご迷惑をかけるわけには」
「いやいや、そうじゃなくて。あの。勘違いをなさっています」
「勘違い、ですか?」
「そうです」
言うなり、アレクシスさんってばわたしを落ち着かせようってベッドの近くまであるいてきて、腰を落とす。
で、わたしを見上げるようにして、にっこりと笑ったんだ。
「ここは宿です。僕はあなたを助けるために、ここにあなたを連れてきました」
「あっ、宿だったんですね。でしたら、お金。お金払わなきゃ。2部屋ぶん、わたし払います」
「ええと」
あれ? もしかして結構高かったりするのかな? 支払い心配された?
あ。ちがうか。
アレクシスさん部屋、とられてないのかな?
「あっ! もしかして、ここからおうち近いのですか? もう、帰られます?」
「えええ???」
えっ。なんでそんな戸惑っちゃうの?
わたし、そんな失礼なことしたっけ。
「あの、リリーさん」
「はい」
「ご理解されていらっしゃらないようなので、伝えておきますが」
「はい」
「ここは、フィーンズの街、ですよ」
「……はい?」
「僕は、あなたを助けるために、ここまであなたをお連れしただけです。ひと晩しっかりおやすみになったら、明日はまた移動ですからね」
「…………はい???」
ん?
んん???
んんんんん?????
えーっと……つまり?
フィーンズ? へ??? フィー……ンズ……???
それすなわち隣町では???
えっ…………、
なぜ……………???
「見たことない顔なさってますね」
「そうですか? アレクシスさんの前ではちょっと、背伸びしてるとこ、あるかもですが」
「そっ……そうですか」
ってアレクシスさん、なんか声が上擦ってるけれど。それよりもだよ?
「あの、どうしてまた。……もしかして、非常事態ですか? 災害っ……とか……っ」
急にモンスターに追われてきたとか、そういう?
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「?」
そういってアレクシスさん、胸のポケットからさ、以前わたしがもらったのと同じ形のお守りを出してきた。
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えっ???
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「そうです。あの男からの洗脳を、とかなければなりません、手遅れになる前に」
「あの男?」
「ええ――ラルフの」
アレクシスさんってば、ものすごく真剣な顔つきで言ってくれちゃってるけどさ?
…………ん?
待って???
「ラルフの?」
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