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第五章・雨。その帳の向こう
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Ⅶ
午後一時三十九分。
レギオンは折り重なるようにして倒れるふたりのうち、あとに倒れたほうをその太い腕で持ち上げた。空中にぶら提げた獲物の両足の先から、泥で濁った水がしたたる。
レギオンは腕を目一杯遠くに伸ばすと、ぐったりとうなだれる獲物の頭、その滑らかな額の表面に尖った口吻の先端を近づけていった。
が、その動きがぴたりと止まる。
全身を駆け巡る電撃のような殺気を感じ取ったからだ。
いま来た道を振り返ると、雨で煙るその帳の向こうに、ひとりの人間が立っていた。
その顔が持ち上がり、射抜くような視線で見据えられた瞬間、レギオンはいよいよ身の危険を感じた。
激情に駆られた瞳は燃えるように赤く、同色の髪の毛はこの天候にあっても灼熱の炎のように逆立っていた。
そしてその人間は、雄叫びとともにこちらへと向かってきた。
午後一時三十九分。
レギオンは折り重なるようにして倒れるふたりのうち、あとに倒れたほうをその太い腕で持ち上げた。空中にぶら提げた獲物の両足の先から、泥で濁った水がしたたる。
レギオンは腕を目一杯遠くに伸ばすと、ぐったりとうなだれる獲物の頭、その滑らかな額の表面に尖った口吻の先端を近づけていった。
が、その動きがぴたりと止まる。
全身を駆け巡る電撃のような殺気を感じ取ったからだ。
いま来た道を振り返ると、雨で煙るその帳の向こうに、ひとりの人間が立っていた。
その顔が持ち上がり、射抜くような視線で見据えられた瞬間、レギオンはいよいよ身の危険を感じた。
激情に駆られた瞳は燃えるように赤く、同色の髪の毛はこの天候にあっても灼熱の炎のように逆立っていた。
そしてその人間は、雄叫びとともにこちらへと向かってきた。
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