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-8-『タヌキ寝入りのお姫さま』♯
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(あっ、またこの夢かあ……)
肌寒さを感じて、ネムエルは薄く目を開いた。
目の前がぼんやり暗い。この静けさからして、真夜中の夜だ。
身体が冷えているのは、かけ布団は取り払われているせいだろう。ここまではいつもと同じ状況だが、今回は少し違った。
男がベッドに両手をつき、自分の上に覆い被さっていたからだ。
(今日は変だな……んっ!)
胸もとから、引っ張られるような感覚がやってきた。
水が跳ねるような、ぴちゃぴちゃとした音も鳴っている。くすぐったくもあった。乳首が吸われていると気付くのに、やや時間がかかった。
見れば、ざらついた舌がぬるりと乳頭部を舐め回している。
むず痒さが、尻骨の辺りに生まれた。
ゾクゾクと、甘いしびれが背筋を駆けのぼってくる。
戸惑いながら、ネムエルは可憐な唇を引き結んだ。
(なっ、なんだろ……。
な、なんで私、お胸が吸われてるのかなぁ?)
夢中になっている男の頭頂部を見つめた。
暗い影が動いている、という印象しか湧かない。
闇に包まれた男の姿は輪郭線だけに過ぎず、現実味もなかった。時折、窓辺から入ってくる月明かりが男のたくましい肉体を照らしたが、ひどく頼りないものだった。
(わ、私……おっ、おっぱい出ないから……
そ、そんなに吸っても……)
これまでの安眠マッサージでは、胸に触れられたこと少なかった。
そういった女性的な場所――デリケートな部分には、男はある種のためらいを持っているようだった。
なのに、今日に限っては違う。
執拗に舌先を転がし、ぷくりと立った乳首をアメ玉のように転がしてくる。
「はぅ」
短く悲鳴があがる。
吸われながら、揉まれていた。遠慮などなく、指は力強く乳肉を挟みこんだ。乳房の形をぐにゃぐにゃと変えられ、ネムエルはあわあわと口をあけしめした。
頬がカァと熱くなった。
こんなふるまいは誰にもされたことはない。
(うぅううううっ……
くすぐったいし、困ったなぁ。
これって、だめなことだよね。
だめだよね……?
私、怒った方がいいのかな。でも……)
今回は趣向を凝らしたマッサージかもしれない。
そんな可能性も考慮してみる。
未だに奉仕してくれる理由は謎のままだが、ネムエルは深く考えるということは不得手だったので、流されるままに様子見に入った。まだ我慢できる範疇でもあったからだ。
(まあ、ちょこーっと……気持ちいいし……
って、あっ、あっ――あぁー!)
ネムエルの顎がカクンと跳ねた。
男の手が乙女の秘所――熱を帯び始めた股間に触れたからだ。
それも、ただ触られたわけではない。
二本の指は、縦筋の奥へ分け入った。
恥肉をグイッと広げ、秘穴付近に垂れている愛液をすくい取り、ぐちゃぐちゃとかき混ぜつつ、親指が隠れていた小豆をぐりぐりとまさぐってくる。
(ふぁあぁー!)
恥ずかしくなったネムエルはふとももに力を入れ、両足を閉じようとした。
しかし、愛撫が隙なくに続いたこともあり、甘い刺激に惑わされて下半身が震えるだけで終わる。
(はぅううううっ!
こっ、困るよぉ……どっ、どうしよっ、
こ、声をかけようかな?
でも、今から「こんにちは」するのもなんか、おかしい気がするし……)
天然ボケのネムエルは、変なところで迷いを持ってしまった。
その間、彼女の身体に生まれた性的な興奮は燃料を与えられ続け、手が付けられないほど勢いを増していった。
(あぁ…そっかっ……んっ……
これ、ご本にあったやつだっけ……)
寝る前に読んだ本の一ページを思いだした。
確か、女性を楽しませるための手法として書かれていた。
(ふわんってして、気持ちいいから……
楽しい、かな……?)
まさぐられる下腹部は生殖本能の忠実に従い、既に水溜まりとなっていた。
甘い快楽が脳みそをとろかし、どうしようもないほどの陶酔感を与えてくる。
太い指がおのれの弱い部分をこすると、はしたない声を漏らしてしまう。
「ん……あっ」
責め立てる男の息遣いも荒くなった。
腹部の肌に吐息がぶつかってくる。あからさまに反応を楽しんでいる。ネムエルは意地悪だと思った。オモチャにされているような気分になる。
やがて、恥骨の辺りがじんわりと熱を持ってきた。
それは絶頂の予兆だったが、ネムエルには達した経験がなく、どう対処していいかわからなかった。
(んぅっ……もっ、もうだめっ……
わっ、私、おっ、おかしくなる……ぅっ!
じゅ、呪文……唱えちゃお……)
夢にしても、過激すぎた。
目覚めの気配もない。
やむなく抵抗しようとしたネムエルは『疾風撃』という呪文を唱えようとした。手の平に力を集中させる。
渦巻く魔風はひとたび解き放たれれば、厚い石壁をねじ切るほどの暴圧を持っていた。
「あっ……げるっ、うあっ……んっ……ひぃぅっ……!」
(しっ、舌がもつれるよぉ!
あぁぁぁああっ、も、もうだめかもっ!)
ぺろんとへそを舐められ、ネムエルは気を散らした。
まるで、悪戯をたしなめるような一撃だった。
手の平の魔力が霧散した。ベッド際に小さな旋風が散っていった。
同時に――ヘソの辺りに溜まっていた熱が、ふわっと広がっていく感覚が襲ってくる。ぶるぶると股間が震えた。膝がガクガクと笑う。
ネムエルにとって、人生初めての絶頂だった。
その排出感は尿意と似通っていたので、ネムエルは自らが排尿したと錯覚した。
(やっ、やっちゃったぁ……。
あっ、あははっ……久しぶりに……
お、怒られちゃうなぁ……
なんか、身体に力が入らない……って、あれっ?)
股間からの刺激は、いつしかやんでいた。
男は覆い被さるのをやめ、ネムエルの足もとに移動している。
(おっ、終わったのかな……?
よかった。ほどほどが一番だよね……)
くぃっと膝頭が左右に移動させられる。
両脚を開かされた恰好となったが、ネムエルは性感の|余韻(よいん)でふわふわとしていた。
男は足の間でもぞもぞと動いていたが、何をするかなど予想もしていなかった。
――ぷちっ
(あっ)
ふともも同士がぶつかった。パンッと渇いた音がした。
男の象徴が、ぬかるんだ膣道を滑り込んでいく。圧倒的な挿入感により、おぼろげにあったネムエルの眠気は吹き飛んだ。膣奥からくる鋭い痛みと、僅かな肉の悦楽が精神に大きな打撃を与えたのだ。
(いっ、いいい、いったぁあっーーー!!)
目を白黒させ、口をぱくぱくさせる。
ネムエルは何が起こったか確かめようと、弱々しく首を持ち上げた。
そして、縦長の黄金瞳がおのれの痛点――接合部を確認して見開かれた。
(おっ、男の人の股間を押しつけられてる……
これってもう、エッチだよね?
さっき……本で読んだものだよね……赤ちゃんを作るやつだよね?)
自問しても、答えなどはでてこない。
しょせん、付け焼け刃の性知識である。
確かなことは、暗がりでわかりずらいが――男根が膣に深々と侵入したという事実だけだ。
尻の付け根が冷たかった。尻穴への道に破瓜の血が垂れ流れているせいだ。処女膜は破れ、子宮口までペニスが到達している。
胎内でドクッドクッと脈動する肉の棒が、あまりにも強い現実を突きつけてくる。
(これ、夢じゃないや……あっ)
――ようやく、正しく現状を把握したところで唇を奪われた。
舌と舌が重なった。
唾液にまみれた口粘膜がにゅるにゅると絡まっていく。食べ物を口にしているわけでもなかったが、不思議と美味だとネムエルは思った。
自然と目尻が垂れ下がり、固くなっていた身体が弛緩していく。
「君のことが好きなんだ」
(んっ)
耳たぶに向けて、ささやかれる。
ぞくりとさせる声音だった。僅かに震えていて、苦しげな情感がこもっていた。ネムエルは自分の心臓の鼓動を聞いた。どきどきとして騒がしい。残っていた抵抗しようとする気が失せていく。
こわばりが解けたのを見計らったのか、背中に筋肉質の手が回された。
密着すると、火傷をしそうなほど肌が熱い。
相手もまた、自分と同じように感情を昂ぶらせているのだとわかった。
(……なんだろ。安心する触り心地……)
奇妙だが――以前から知っている肌触りだと思った。こんな風に誰かに抱き寄せられたことなど、ないはずなのに。
「はふぅっ」
ネムエルはびくりとして、上半身を浮かせた。
股の奥でおとなしくしていた男性器が暴れ始めたからだ。前後の動きは緩慢であったが、稀に力強いものが突きに混じってくる。
やわな少女の股関節はその度に振動し、尻の形を柔軟に変えた。
(……あわっ……変な、感じ、する……
わぁー……き、気持ちいい。
何これぇ……頭が、さっきより、くらくらするぅ……)
熱に浮かされたネムエルは、黄金の瞳を涙で潤ませながら性交の味に酔った。
硬い棒が秘所を行き来し、うねうねとした膣壁を摩擦し続けている。湯ぶねをかき混ぜるような、ちゃぷんちゃぷんとした音がたまらなく恥ずかしいが、性欲を煽るエッセンスにはなっている。
(……あぁー……ほんと、気持ちいい。
ずっと、こうしていたいな……
私、甘えん坊だったのかなぁ……はぁー……)
根がのんびり屋のネムエルは行為中にも関わらず、そんなことを思った。
誰かに愛おしげに抱きしめられるのは、いつ以来のことだろうか。
いつしか可愛がられるより、恐れられる日々が多くなっていった。
周囲からの期待がつらく、自分を変えられることもできず、流されるままに生きてきた。
(……多分、だめなことしてるけど……気持ちいいなぁ)
身体を上下に揺すられながらも、ネムエルは背徳の快楽に身を任せた。
しかし、行為は激しくはあったが、長続きすることもなかった。
終わりは予告をもって訪れた。
「だっ、出すから……!」
(んっ、出す?
出すってなんだろ……
あっ、ご、ごめんなさい……わ、私が、先に、出しそうぅ……
ま、また、おしっこ漏れるぅ……)
叩かれ、擦られ続けているネムエルの股間には、灼熱の塊が生まれていた。
子宮の溜めこんでいたその高まりは、外へ流れていくことを望んでいる。
「くっ」
「ふぁああ……ぁぁっ……っ!」
膣内にもぐっていた硬い肉棒が、最奥の壁へと突き進んだ。
それはぶるぶると微動し、煮えた液体を子宮に送りこもうとしていた。膣道が白濁した液体で満たされ、それを男の小水だと捉えたネムエルも触発された。
せきとめていた尿意を開放する。
雌穴の隙間から、ぴゅるぴゅると透明な液体が発散した。
「あふっ……あぁあっ……」
ネムエルの視界は、真っ白に染まった。
幸福のホルモンが脳に分泌され、痛みのない電撃が背筋をぴりぴりと刺激する。
少女は、知らなかった快楽を強く記憶に刻みつけることになった。
(凄い、気持ちいい……
あぁ……ふわふわ……する……
何んだろう……これ……またしたいなぁ……)
ネムエルが気を抜いたことで、立てていた膝が崩れた。両足が伸ばされ、ぐったりとした体勢に移行する。
張りつめていた筋肉がすべて、弛緩してしまった。
(でも、ちょっと疲れたかなぁ……)
ベッドに手をつき、呼吸を整える男の横顔を盗み見ると、交接の疲れでしきりに目をぱちぱちとさせていた。
自分と同様に疲労しているのは明らかだ。
少し心配になり、ネムエルはジッとその様子を見つめていた。
そして、偶然にも合うことがなかった視線が交錯した。
「あっ」
「あなたは、誰?」
声をあげて質問すると、男の顔は血の気を失った。
何かを大事なモノを失った者がするような、後悔の表情が浮かぶ。
ネムエルは小首を傾げた。
眠っていたふりを続けるべきだったか。
けれども、股間にこびりついた粘液は拭きたい。
お互いに粗相したのだ。起きて後始末する必要があると、彼女はのんびり思っていた。
肌寒さを感じて、ネムエルは薄く目を開いた。
目の前がぼんやり暗い。この静けさからして、真夜中の夜だ。
身体が冷えているのは、かけ布団は取り払われているせいだろう。ここまではいつもと同じ状況だが、今回は少し違った。
男がベッドに両手をつき、自分の上に覆い被さっていたからだ。
(今日は変だな……んっ!)
胸もとから、引っ張られるような感覚がやってきた。
水が跳ねるような、ぴちゃぴちゃとした音も鳴っている。くすぐったくもあった。乳首が吸われていると気付くのに、やや時間がかかった。
見れば、ざらついた舌がぬるりと乳頭部を舐め回している。
むず痒さが、尻骨の辺りに生まれた。
ゾクゾクと、甘いしびれが背筋を駆けのぼってくる。
戸惑いながら、ネムエルは可憐な唇を引き結んだ。
(なっ、なんだろ……。
な、なんで私、お胸が吸われてるのかなぁ?)
夢中になっている男の頭頂部を見つめた。
暗い影が動いている、という印象しか湧かない。
闇に包まれた男の姿は輪郭線だけに過ぎず、現実味もなかった。時折、窓辺から入ってくる月明かりが男のたくましい肉体を照らしたが、ひどく頼りないものだった。
(わ、私……おっ、おっぱい出ないから……
そ、そんなに吸っても……)
これまでの安眠マッサージでは、胸に触れられたこと少なかった。
そういった女性的な場所――デリケートな部分には、男はある種のためらいを持っているようだった。
なのに、今日に限っては違う。
執拗に舌先を転がし、ぷくりと立った乳首をアメ玉のように転がしてくる。
「はぅ」
短く悲鳴があがる。
吸われながら、揉まれていた。遠慮などなく、指は力強く乳肉を挟みこんだ。乳房の形をぐにゃぐにゃと変えられ、ネムエルはあわあわと口をあけしめした。
頬がカァと熱くなった。
こんなふるまいは誰にもされたことはない。
(うぅううううっ……
くすぐったいし、困ったなぁ。
これって、だめなことだよね。
だめだよね……?
私、怒った方がいいのかな。でも……)
今回は趣向を凝らしたマッサージかもしれない。
そんな可能性も考慮してみる。
未だに奉仕してくれる理由は謎のままだが、ネムエルは深く考えるということは不得手だったので、流されるままに様子見に入った。まだ我慢できる範疇でもあったからだ。
(まあ、ちょこーっと……気持ちいいし……
って、あっ、あっ――あぁー!)
ネムエルの顎がカクンと跳ねた。
男の手が乙女の秘所――熱を帯び始めた股間に触れたからだ。
それも、ただ触られたわけではない。
二本の指は、縦筋の奥へ分け入った。
恥肉をグイッと広げ、秘穴付近に垂れている愛液をすくい取り、ぐちゃぐちゃとかき混ぜつつ、親指が隠れていた小豆をぐりぐりとまさぐってくる。
(ふぁあぁー!)
恥ずかしくなったネムエルはふとももに力を入れ、両足を閉じようとした。
しかし、愛撫が隙なくに続いたこともあり、甘い刺激に惑わされて下半身が震えるだけで終わる。
(はぅううううっ!
こっ、困るよぉ……どっ、どうしよっ、
こ、声をかけようかな?
でも、今から「こんにちは」するのもなんか、おかしい気がするし……)
天然ボケのネムエルは、変なところで迷いを持ってしまった。
その間、彼女の身体に生まれた性的な興奮は燃料を与えられ続け、手が付けられないほど勢いを増していった。
(あぁ…そっかっ……んっ……
これ、ご本にあったやつだっけ……)
寝る前に読んだ本の一ページを思いだした。
確か、女性を楽しませるための手法として書かれていた。
(ふわんってして、気持ちいいから……
楽しい、かな……?)
まさぐられる下腹部は生殖本能の忠実に従い、既に水溜まりとなっていた。
甘い快楽が脳みそをとろかし、どうしようもないほどの陶酔感を与えてくる。
太い指がおのれの弱い部分をこすると、はしたない声を漏らしてしまう。
「ん……あっ」
責め立てる男の息遣いも荒くなった。
腹部の肌に吐息がぶつかってくる。あからさまに反応を楽しんでいる。ネムエルは意地悪だと思った。オモチャにされているような気分になる。
やがて、恥骨の辺りがじんわりと熱を持ってきた。
それは絶頂の予兆だったが、ネムエルには達した経験がなく、どう対処していいかわからなかった。
(んぅっ……もっ、もうだめっ……
わっ、私、おっ、おかしくなる……ぅっ!
じゅ、呪文……唱えちゃお……)
夢にしても、過激すぎた。
目覚めの気配もない。
やむなく抵抗しようとしたネムエルは『疾風撃』という呪文を唱えようとした。手の平に力を集中させる。
渦巻く魔風はひとたび解き放たれれば、厚い石壁をねじ切るほどの暴圧を持っていた。
「あっ……げるっ、うあっ……んっ……ひぃぅっ……!」
(しっ、舌がもつれるよぉ!
あぁぁぁああっ、も、もうだめかもっ!)
ぺろんとへそを舐められ、ネムエルは気を散らした。
まるで、悪戯をたしなめるような一撃だった。
手の平の魔力が霧散した。ベッド際に小さな旋風が散っていった。
同時に――ヘソの辺りに溜まっていた熱が、ふわっと広がっていく感覚が襲ってくる。ぶるぶると股間が震えた。膝がガクガクと笑う。
ネムエルにとって、人生初めての絶頂だった。
その排出感は尿意と似通っていたので、ネムエルは自らが排尿したと錯覚した。
(やっ、やっちゃったぁ……。
あっ、あははっ……久しぶりに……
お、怒られちゃうなぁ……
なんか、身体に力が入らない……って、あれっ?)
股間からの刺激は、いつしかやんでいた。
男は覆い被さるのをやめ、ネムエルの足もとに移動している。
(おっ、終わったのかな……?
よかった。ほどほどが一番だよね……)
くぃっと膝頭が左右に移動させられる。
両脚を開かされた恰好となったが、ネムエルは性感の|余韻(よいん)でふわふわとしていた。
男は足の間でもぞもぞと動いていたが、何をするかなど予想もしていなかった。
――ぷちっ
(あっ)
ふともも同士がぶつかった。パンッと渇いた音がした。
男の象徴が、ぬかるんだ膣道を滑り込んでいく。圧倒的な挿入感により、おぼろげにあったネムエルの眠気は吹き飛んだ。膣奥からくる鋭い痛みと、僅かな肉の悦楽が精神に大きな打撃を与えたのだ。
(いっ、いいい、いったぁあっーーー!!)
目を白黒させ、口をぱくぱくさせる。
ネムエルは何が起こったか確かめようと、弱々しく首を持ち上げた。
そして、縦長の黄金瞳がおのれの痛点――接合部を確認して見開かれた。
(おっ、男の人の股間を押しつけられてる……
これってもう、エッチだよね?
さっき……本で読んだものだよね……赤ちゃんを作るやつだよね?)
自問しても、答えなどはでてこない。
しょせん、付け焼け刃の性知識である。
確かなことは、暗がりでわかりずらいが――男根が膣に深々と侵入したという事実だけだ。
尻の付け根が冷たかった。尻穴への道に破瓜の血が垂れ流れているせいだ。処女膜は破れ、子宮口までペニスが到達している。
胎内でドクッドクッと脈動する肉の棒が、あまりにも強い現実を突きつけてくる。
(これ、夢じゃないや……あっ)
――ようやく、正しく現状を把握したところで唇を奪われた。
舌と舌が重なった。
唾液にまみれた口粘膜がにゅるにゅると絡まっていく。食べ物を口にしているわけでもなかったが、不思議と美味だとネムエルは思った。
自然と目尻が垂れ下がり、固くなっていた身体が弛緩していく。
「君のことが好きなんだ」
(んっ)
耳たぶに向けて、ささやかれる。
ぞくりとさせる声音だった。僅かに震えていて、苦しげな情感がこもっていた。ネムエルは自分の心臓の鼓動を聞いた。どきどきとして騒がしい。残っていた抵抗しようとする気が失せていく。
こわばりが解けたのを見計らったのか、背中に筋肉質の手が回された。
密着すると、火傷をしそうなほど肌が熱い。
相手もまた、自分と同じように感情を昂ぶらせているのだとわかった。
(……なんだろ。安心する触り心地……)
奇妙だが――以前から知っている肌触りだと思った。こんな風に誰かに抱き寄せられたことなど、ないはずなのに。
「はふぅっ」
ネムエルはびくりとして、上半身を浮かせた。
股の奥でおとなしくしていた男性器が暴れ始めたからだ。前後の動きは緩慢であったが、稀に力強いものが突きに混じってくる。
やわな少女の股関節はその度に振動し、尻の形を柔軟に変えた。
(……あわっ……変な、感じ、する……
わぁー……き、気持ちいい。
何これぇ……頭が、さっきより、くらくらするぅ……)
熱に浮かされたネムエルは、黄金の瞳を涙で潤ませながら性交の味に酔った。
硬い棒が秘所を行き来し、うねうねとした膣壁を摩擦し続けている。湯ぶねをかき混ぜるような、ちゃぷんちゃぷんとした音がたまらなく恥ずかしいが、性欲を煽るエッセンスにはなっている。
(……あぁー……ほんと、気持ちいい。
ずっと、こうしていたいな……
私、甘えん坊だったのかなぁ……はぁー……)
根がのんびり屋のネムエルは行為中にも関わらず、そんなことを思った。
誰かに愛おしげに抱きしめられるのは、いつ以来のことだろうか。
いつしか可愛がられるより、恐れられる日々が多くなっていった。
周囲からの期待がつらく、自分を変えられることもできず、流されるままに生きてきた。
(……多分、だめなことしてるけど……気持ちいいなぁ)
身体を上下に揺すられながらも、ネムエルは背徳の快楽に身を任せた。
しかし、行為は激しくはあったが、長続きすることもなかった。
終わりは予告をもって訪れた。
「だっ、出すから……!」
(んっ、出す?
出すってなんだろ……
あっ、ご、ごめんなさい……わ、私が、先に、出しそうぅ……
ま、また、おしっこ漏れるぅ……)
叩かれ、擦られ続けているネムエルの股間には、灼熱の塊が生まれていた。
子宮の溜めこんでいたその高まりは、外へ流れていくことを望んでいる。
「くっ」
「ふぁああ……ぁぁっ……っ!」
膣内にもぐっていた硬い肉棒が、最奥の壁へと突き進んだ。
それはぶるぶると微動し、煮えた液体を子宮に送りこもうとしていた。膣道が白濁した液体で満たされ、それを男の小水だと捉えたネムエルも触発された。
せきとめていた尿意を開放する。
雌穴の隙間から、ぴゅるぴゅると透明な液体が発散した。
「あふっ……あぁあっ……」
ネムエルの視界は、真っ白に染まった。
幸福のホルモンが脳に分泌され、痛みのない電撃が背筋をぴりぴりと刺激する。
少女は、知らなかった快楽を強く記憶に刻みつけることになった。
(凄い、気持ちいい……
あぁ……ふわふわ……する……
何んだろう……これ……またしたいなぁ……)
ネムエルが気を抜いたことで、立てていた膝が崩れた。両足が伸ばされ、ぐったりとした体勢に移行する。
張りつめていた筋肉がすべて、弛緩してしまった。
(でも、ちょっと疲れたかなぁ……)
ベッドに手をつき、呼吸を整える男の横顔を盗み見ると、交接の疲れでしきりに目をぱちぱちとさせていた。
自分と同様に疲労しているのは明らかだ。
少し心配になり、ネムエルはジッとその様子を見つめていた。
そして、偶然にも合うことがなかった視線が交錯した。
「あっ」
「あなたは、誰?」
声をあげて質問すると、男の顔は血の気を失った。
何かを大事なモノを失った者がするような、後悔の表情が浮かぶ。
ネムエルは小首を傾げた。
眠っていたふりを続けるべきだったか。
けれども、股間にこびりついた粘液は拭きたい。
お互いに粗相したのだ。起きて後始末する必要があると、彼女はのんびり思っていた。
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魔境の入り口に差し掛かった時、全ての魔素が主人公に向けて流れ込み、魔力吸収能力がオーバーフローし覚醒する。
その結果、リヒトは有り余る魔力を使って妄想を形にする力「創造スキル」を手に入れたのだった。
魔素の無くなった魔境は元の大自然に戻り、街に戻れない彼はここでノンビリ生きていく決意をする。
手に入れた力で高さ333メートルもある建物を作りご満悦の彼の元へ、邪神と名乗る白猫にのった小動物や、獣人の少女が訪れ、更には豊富な食糧を嗅ぎつけたゴブリンの大軍が迫って来て……。
いつしかリヒトは魔物たちから魔王と呼ばるようになる。それに伴い、333メートルの建物は魔王城として畏怖されるようになっていく。
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