13 / 20
第1章
第13話 空気になっていたようです
しおりを挟む
「……どうしたのよ、そんな変な声出して」
「いや、何でもないです」
「……ほんとにありがと……」
……返答しにくいな、大したことはあまりしてないし……。頼まれたからやっただけであってボランティア精神が特別強いわけでもないしなぁ……。
まあ、とりあえず無難に返しておくか。
「……いえ、私としても当然のことをしたまでなので、そんなに―――」
「いいえ! それほどまでのことをしたのよ!」
沙保先輩が机に乗り上げるほどの勢いで動いたので、胸がぶるんと震えた。
それに否応なしにその部分を見てしまうというものが男の定めというものだ。
「……九十九君……? おっぱいなら私も大きいよ??」
近くでその様子をずっと見ていた佳保先輩がとんでもない爆弾を投下した。
「ふぇ???」
「―――へ? ……ちょっ、佳保!! アンタ何言ってんのよ!!」
佳保先輩のデリカシーのなさに沙保先輩が耳を真っ赤にして抗議しに行った。
「……え? ……おっぱいが大きいと男の子が喜ぶって話じゃないの?」
(シッ!! 声が大きい!! あのね、佳保? そういうのは男子の前で言ったら勘違いするってわからないの?)
「……何を勘違いするの?」
断片的な情報しか聞き取れないので何が勘違いと言っているのかわからないが、俺としてもデリカシーがなかったな―――と今になって反省する。
「なんか、ごめんなさい……」
「いや、九十九君は悪くないから」
「……そうだよ、九十九君は悪くない……もとはと言えばこのでかパイがあんな行動を取った方が悪い」
「はぁ? あんたも同じでしょうよ! どう考えても正常じゃないそのデリカシーのなさを直したらどうよ???」
この時、レンは生徒会のことを詳しく知らない―――正確には生徒会選挙の時に寝ていたため、知る由を得なかったがこの2人はいつもこのような感じではない。
周りの生徒からは、厳しいながらもこの学校のすべてを知り尽くし、学校生活をより豊かにした美少女コンビとして慕われていたため、そのイメージからは絶対に連想できないであろうイメージがレンの頭に植え付けられていた。
「……仲がいいのか、悪いのか……」
顔には笑顔を張り付けながらも、今まさに目の前で行われている罵詈雑言の嵐を前に戦慄した。
しかし、このままでは埒が明かず1限目が始まるまで気づかないんじゃないか?と思った、と言うより心配したの方が正しいか。俺は別に遅刻してもあまり問題視されないだろうし。彼女たちの方が困るんじゃないか??
「―――あのー……」
「「あ」」
どうやら俺の存在が罵詈雑言の嵐とともに消し飛ばされていたようだった。
「ご、ごめんね、存在忘れていたわ、あはは……」
沙保先輩の乾いた笑い。それに対してあっけらかんとした態度の佳保先輩。
「……九十九君かわいそう」
「あんたも謝りなさいよ」
「……ごめんね」
「いや、あの……それはいいんですけど……次の授業大丈夫ですか?」
2人は顔を見合わせる。
「忘れてたわ」「……忘れてた」
時計を確認すると、あと5分で1限目が始まる。
この二人は口論になると周りが見えなくなるタイプなのか?どうやって会長、副会長になったんだよと思ったが、それは口に出さない。
俺たち3人は授業に遅れないようにするために、猛ダッシュで教室まで走ったが―――正確には先輩たちの後についていったのだが―――案外近かった感覚がした。さっきはおそらく遠回りをしていたのだろう。次はもう迷わない……はずだ。そもそも呼ばれることなんてほとんどないだろうし。問題さえ起こさなければ、だけどな。
そして、自教室まで送ってもらった後、俺はいつものヒロたちから質問攻めを浴びせられたことは言うまでもない。
「いや、何でもないです」
「……ほんとにありがと……」
……返答しにくいな、大したことはあまりしてないし……。頼まれたからやっただけであってボランティア精神が特別強いわけでもないしなぁ……。
まあ、とりあえず無難に返しておくか。
「……いえ、私としても当然のことをしたまでなので、そんなに―――」
「いいえ! それほどまでのことをしたのよ!」
沙保先輩が机に乗り上げるほどの勢いで動いたので、胸がぶるんと震えた。
それに否応なしにその部分を見てしまうというものが男の定めというものだ。
「……九十九君……? おっぱいなら私も大きいよ??」
近くでその様子をずっと見ていた佳保先輩がとんでもない爆弾を投下した。
「ふぇ???」
「―――へ? ……ちょっ、佳保!! アンタ何言ってんのよ!!」
佳保先輩のデリカシーのなさに沙保先輩が耳を真っ赤にして抗議しに行った。
「……え? ……おっぱいが大きいと男の子が喜ぶって話じゃないの?」
(シッ!! 声が大きい!! あのね、佳保? そういうのは男子の前で言ったら勘違いするってわからないの?)
「……何を勘違いするの?」
断片的な情報しか聞き取れないので何が勘違いと言っているのかわからないが、俺としてもデリカシーがなかったな―――と今になって反省する。
「なんか、ごめんなさい……」
「いや、九十九君は悪くないから」
「……そうだよ、九十九君は悪くない……もとはと言えばこのでかパイがあんな行動を取った方が悪い」
「はぁ? あんたも同じでしょうよ! どう考えても正常じゃないそのデリカシーのなさを直したらどうよ???」
この時、レンは生徒会のことを詳しく知らない―――正確には生徒会選挙の時に寝ていたため、知る由を得なかったがこの2人はいつもこのような感じではない。
周りの生徒からは、厳しいながらもこの学校のすべてを知り尽くし、学校生活をより豊かにした美少女コンビとして慕われていたため、そのイメージからは絶対に連想できないであろうイメージがレンの頭に植え付けられていた。
「……仲がいいのか、悪いのか……」
顔には笑顔を張り付けながらも、今まさに目の前で行われている罵詈雑言の嵐を前に戦慄した。
しかし、このままでは埒が明かず1限目が始まるまで気づかないんじゃないか?と思った、と言うより心配したの方が正しいか。俺は別に遅刻してもあまり問題視されないだろうし。彼女たちの方が困るんじゃないか??
「―――あのー……」
「「あ」」
どうやら俺の存在が罵詈雑言の嵐とともに消し飛ばされていたようだった。
「ご、ごめんね、存在忘れていたわ、あはは……」
沙保先輩の乾いた笑い。それに対してあっけらかんとした態度の佳保先輩。
「……九十九君かわいそう」
「あんたも謝りなさいよ」
「……ごめんね」
「いや、あの……それはいいんですけど……次の授業大丈夫ですか?」
2人は顔を見合わせる。
「忘れてたわ」「……忘れてた」
時計を確認すると、あと5分で1限目が始まる。
この二人は口論になると周りが見えなくなるタイプなのか?どうやって会長、副会長になったんだよと思ったが、それは口に出さない。
俺たち3人は授業に遅れないようにするために、猛ダッシュで教室まで走ったが―――正確には先輩たちの後についていったのだが―――案外近かった感覚がした。さっきはおそらく遠回りをしていたのだろう。次はもう迷わない……はずだ。そもそも呼ばれることなんてほとんどないだろうし。問題さえ起こさなければ、だけどな。
そして、自教室まで送ってもらった後、俺はいつものヒロたちから質問攻めを浴びせられたことは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
もし学園のアイドルが俺のメイドになったら
みずがめ
恋愛
もしも、憧れの女子が絶対服従のメイドになったら……。そんなの普通の男子ならやることは決まっているよな?
これは不幸な陰キャが、学園一の美少女をメイドという名の性奴隷として扱い、欲望の限りを尽くしまくるお話である。
※【挿絵あり】にはいただいたイラストを載せています。
「小説家になろう」ノクターンノベルズにも掲載しています。表紙はあっきコタロウさんに描いていただきました。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
男女比:1:450のおかしな世界で陽キャになることを夢見る
卯ノ花
恋愛
妙なことから男女比がおかしな世界に転生した主人公が、元いた世界でやりたかったことをやるお話。
〔お知らせ〕
※この作品は、毎日更新です。
※1 〜 3話まで初回投稿。次回から7時10分から更新
※お気に入り登録してくれたら励みになりますのでよろしくお願いします。
ただいま作成中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる