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第1章
第9話 混沌に混沌を混ぜるようです
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夕佳と愛海が笑い疲れ、俺と那月の茶番が落ち着いたころにはもうすでに外は真っ暗で、時計は午後8時を過ぎていた。
「そういえば、夕佳? 家の門限は大丈夫か?」
「え? うん、ちゃんとレンくんの家に泊まるって言ってきたから大丈夫だよ?」
「「え」」
「あ、そうなんだね」
俺と那月は目をパチクリさせているのに対し、愛海はまるで普通のことのように対応していた。
……あれ? これって普通じゃないよね??
「時間も時間だから夜ごはんの準備するねー!」
と言って愛海はキッチンの方に消えていった。
「ちょ、ちょっと待って? 思考が追い付かない……」
「わ、私も……」
那月の頭がショートした。きゅー、と言って横に倒れた。
「簡単なことじゃん、泊めてもらうんだよ?」
「いや、そういうことを言ってるんじゃなくてだな……」
「レンは嫌なの?」
「だから、そういうことじゃなくてだな」
「どういうこと?」
一拍置いて話す。
「―――夕佳は、男子がいるのに、一夜を同じ屋根の下で過ごすと言ってるんだぞ?」
「え、別にいいじゃない」
「は?」
え、なんで良いんだ? 異性と一晩同じ部屋で過ごすのがまるで普通みたいな言い方だけど……。
「ん? あー、勘違いさせるような言い方だったけど―――他の人とならそんなこと言わないから大丈夫だよ」
「いや大丈夫じゃないだろ」
「何か問題あるかな?」
「大ありだよ!」
当の夕佳はまるで問題がある理由がわからないとばかりに首をかしげている。
なんでわからないんだ……?
そんなことを考えていると、キッチンから愛海の声が聞こえてきた。
「お兄ちゃーん! ちょっと料理運んでー! 一人じゃ無理ー!」
「あー、今行くー!」
そう言って立ち上がり、キッチンへ向かった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「じゃー、これ全部運んでー!」
全部運んでー! って、愛海は何も運ばないのかと思ったが愛海は人数分のコップと箸を用意して、『ふんふ~ん♪』と鼻歌を鳴らしながらリビングまで持っていった。
「今日は鍋か」
俺は手を伸ばそうとして「アチチ」となった。そしてすぐにキッチングローブをはめていないことに気づき、一人でなにしてんだろ、と思い恥ずかしくなった。
俺は鍋をリビングまでもっていき、座卓の上にひかれた鍋敷きのうえにゆっくり置いた。
「ふぅー」
「おつかれ! お兄ちゃん! 今日は夕佳お姉ちゃんもいるから、鍋にしましたー! いっぱい食べてね!」
やっと夜ご飯が食べれると思い、腰を下ろした。
その横にはさっき倒れたままのの状態の那月がいた。
「おい、那月起きろー。夜ご飯だぞー」
「んー……お兄が、お兄がぁ……」
「いつまで寝ぼけてるんだ、今日は鍋だぞ」
「えっ!? ほんと!?」
さっきまでの不具合はとこへ行ったのやら、鍋と言ったら急に飛び起きた。
「ははは、鍋と言ったら元気になるとかチョロすぎるだろ」
「なっ、お兄が私が倒れなかったら良かったんだし、そもそも倒れたのは……お兄が夕佳姉と……い……一緒に……」
口をパクパクさせ、顔を真っ赤にしながら話そうとする。
「はは、まだまだ那月もウブだなぁ」
「な、なんでそうなるの! ちょっと倒れちゃっただけじゃない!」
「ああ……そうだな……倒れちゃっただけだもんな……プププ」
必死に笑いをこらえながら言う。
「お、怒るよ?!」
「まあまあ、レンもあんまりナッちゃんをいじめないの」
夕佳が那月をなだめる。
「だ、だって、お兄が―――」
「那月??」
「何よ愛海」
「今日の夜ご飯は抜きかな??」
「あ、ごめんなさい」
「よろしい!」
愛海はまるで勝ち誇ったように胸を張り、ふんす! と言ったが、その様子にその場にいた全員が不覚にも可愛いと思ってしまった。
そして食事中、夕佳が突然話しかけた。
「ねえ、せっかくレン君の家に泊まるんだから一緒に寝ようよ!」
「「―――!! ゲホッゲホッ!!」」
あまりにも突然すぎたため、俺と那月はむせてしまった。
「ゲホッ……なんでその話になるんだよ……? 愛海と那月と一緒に寝るんじゃなかったのか?」
「だって、せっかく寝るならみんなでの方がいいでしょ?」
「私、夕佳お姉ちゃんの意見にさんせーい!」
「ね?みんないいって言ってるよ?」
「ちょっと、私の意見は?!」
という那月の意見はスルーされた。
「……あのな、別に俺のことは気にしなくてもいいんだぞ?」
「いいの、これは罰ゲームでもあるんだから!」
「「罰ゲーム?」」
「罰ゲーム!!」
怪訝な表情で夕佳を見る俺と那月、テンションMAXの愛海。
「なんか罰ゲームする理由ってあったか?……あ」
「そう!」
『レンが勉強会に来なかった罰!』
『お兄ちゃんが家に遅く帰ってきた罰!』
と、夕佳と愛海の声が被った。
「まあ、そういうことよ」
「そういうことも何も、何言ってたか分からなかったのですが……」
「ちゃんと人の話は聞かないと『メッ!』だよ! お兄ちゃん!」
いや、俺は聖徳太子じゃないっつーの。可愛いから許すけど。
あ、許されなければならないのは俺の方か。
「すみませんでした」
「え……結局私はどうなるの……?」
最終的に俺が折れることになり、一緒に寝ることになった。
また、那月は渋々レンと寝ることを許可したのだった。
そしてその日の夜、全く寝ることができなかったのは言うまでもない。
「そういえば、夕佳? 家の門限は大丈夫か?」
「え? うん、ちゃんとレンくんの家に泊まるって言ってきたから大丈夫だよ?」
「「え」」
「あ、そうなんだね」
俺と那月は目をパチクリさせているのに対し、愛海はまるで普通のことのように対応していた。
……あれ? これって普通じゃないよね??
「時間も時間だから夜ごはんの準備するねー!」
と言って愛海はキッチンの方に消えていった。
「ちょ、ちょっと待って? 思考が追い付かない……」
「わ、私も……」
那月の頭がショートした。きゅー、と言って横に倒れた。
「簡単なことじゃん、泊めてもらうんだよ?」
「いや、そういうことを言ってるんじゃなくてだな……」
「レンは嫌なの?」
「だから、そういうことじゃなくてだな」
「どういうこと?」
一拍置いて話す。
「―――夕佳は、男子がいるのに、一夜を同じ屋根の下で過ごすと言ってるんだぞ?」
「え、別にいいじゃない」
「は?」
え、なんで良いんだ? 異性と一晩同じ部屋で過ごすのがまるで普通みたいな言い方だけど……。
「ん? あー、勘違いさせるような言い方だったけど―――他の人とならそんなこと言わないから大丈夫だよ」
「いや大丈夫じゃないだろ」
「何か問題あるかな?」
「大ありだよ!」
当の夕佳はまるで問題がある理由がわからないとばかりに首をかしげている。
なんでわからないんだ……?
そんなことを考えていると、キッチンから愛海の声が聞こえてきた。
「お兄ちゃーん! ちょっと料理運んでー! 一人じゃ無理ー!」
「あー、今行くー!」
そう言って立ち上がり、キッチンへ向かった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「じゃー、これ全部運んでー!」
全部運んでー! って、愛海は何も運ばないのかと思ったが愛海は人数分のコップと箸を用意して、『ふんふ~ん♪』と鼻歌を鳴らしながらリビングまで持っていった。
「今日は鍋か」
俺は手を伸ばそうとして「アチチ」となった。そしてすぐにキッチングローブをはめていないことに気づき、一人でなにしてんだろ、と思い恥ずかしくなった。
俺は鍋をリビングまでもっていき、座卓の上にひかれた鍋敷きのうえにゆっくり置いた。
「ふぅー」
「おつかれ! お兄ちゃん! 今日は夕佳お姉ちゃんもいるから、鍋にしましたー! いっぱい食べてね!」
やっと夜ご飯が食べれると思い、腰を下ろした。
その横にはさっき倒れたままのの状態の那月がいた。
「おい、那月起きろー。夜ご飯だぞー」
「んー……お兄が、お兄がぁ……」
「いつまで寝ぼけてるんだ、今日は鍋だぞ」
「えっ!? ほんと!?」
さっきまでの不具合はとこへ行ったのやら、鍋と言ったら急に飛び起きた。
「ははは、鍋と言ったら元気になるとかチョロすぎるだろ」
「なっ、お兄が私が倒れなかったら良かったんだし、そもそも倒れたのは……お兄が夕佳姉と……い……一緒に……」
口をパクパクさせ、顔を真っ赤にしながら話そうとする。
「はは、まだまだ那月もウブだなぁ」
「な、なんでそうなるの! ちょっと倒れちゃっただけじゃない!」
「ああ……そうだな……倒れちゃっただけだもんな……プププ」
必死に笑いをこらえながら言う。
「お、怒るよ?!」
「まあまあ、レンもあんまりナッちゃんをいじめないの」
夕佳が那月をなだめる。
「だ、だって、お兄が―――」
「那月??」
「何よ愛海」
「今日の夜ご飯は抜きかな??」
「あ、ごめんなさい」
「よろしい!」
愛海はまるで勝ち誇ったように胸を張り、ふんす! と言ったが、その様子にその場にいた全員が不覚にも可愛いと思ってしまった。
そして食事中、夕佳が突然話しかけた。
「ねえ、せっかくレン君の家に泊まるんだから一緒に寝ようよ!」
「「―――!! ゲホッゲホッ!!」」
あまりにも突然すぎたため、俺と那月はむせてしまった。
「ゲホッ……なんでその話になるんだよ……? 愛海と那月と一緒に寝るんじゃなかったのか?」
「だって、せっかく寝るならみんなでの方がいいでしょ?」
「私、夕佳お姉ちゃんの意見にさんせーい!」
「ね?みんないいって言ってるよ?」
「ちょっと、私の意見は?!」
という那月の意見はスルーされた。
「……あのな、別に俺のことは気にしなくてもいいんだぞ?」
「いいの、これは罰ゲームでもあるんだから!」
「「罰ゲーム?」」
「罰ゲーム!!」
怪訝な表情で夕佳を見る俺と那月、テンションMAXの愛海。
「なんか罰ゲームする理由ってあったか?……あ」
「そう!」
『レンが勉強会に来なかった罰!』
『お兄ちゃんが家に遅く帰ってきた罰!』
と、夕佳と愛海の声が被った。
「まあ、そういうことよ」
「そういうことも何も、何言ってたか分からなかったのですが……」
「ちゃんと人の話は聞かないと『メッ!』だよ! お兄ちゃん!」
いや、俺は聖徳太子じゃないっつーの。可愛いから許すけど。
あ、許されなければならないのは俺の方か。
「すみませんでした」
「え……結局私はどうなるの……?」
最終的に俺が折れることになり、一緒に寝ることになった。
また、那月は渋々レンと寝ることを許可したのだった。
そしてその日の夜、全く寝ることができなかったのは言うまでもない。
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