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第1章

第1話 幼馴染はご執心のようです

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「今日は月曜か……」

俺は九十九恋つくもれん。どこにでもいる何の変哲もない男子高校生だ。
今日は休み明けの学校なので、気分を落としていた。
というのも、俺が通う高校は土曜と日曜が休み、気がたるんだところをまた戻すのが難しいってものだ。……まあ、休みがないと困るんだけどな。

「はあ……」
「どしたの?まるで世界の終わりのような顔してたけど」
「いや、なんでもない」
「でもさっき、すっごく溜め息ついてたよ」
「あー、週の初めはだるいからな」
「ふふっ、確かにその気持ちは分かるよ」

彼女は口に手を当て、上品に笑った。

俺の隣で、黒くて長い、綺麗な髪をはためかせて歩いている女子は幼馴染の白石夕佳しらいしゆかだ。
彼女は容姿端麗であり、毎回の定期テストでは学年トップ。さらには運動神経までも良いのだ。
その上、彼女は男女問わず人気であるためか、よく告白とかもされるのだとか。
この前も男子に告白されたとか言っていた。しかし、彼女は今までの告白をすべて断っているらしい。

『最近もう鬱陶しいんだよねー、私は誰にもなびかないのに』だとさ。
それを俺に言う必要性はあるのかと一瞬思ってしまったが、それを聞くというのは無粋というものだろう。言わずとも彼女には好きな人がいるんだろうとは思った。

その人が誰なのかって?そんなこと、俺の知る由があるわけないじゃないか。
そんな彼女が何のとりえもない俺と並んで学校に登校しているのは、学校内で密かに話題となっている。まあ、通学路がたまたま重なっているだけなんだけどな。

「そういえば、アイちゃんとナッちゃんは元気にしてる?」

夕佳がアイちゃんといったのは九十九愛海つくもあいみ、ナッちゃんは、九十九那月つくもなつき、俺の妹たちのことだ。

「あいつらなら全然元気だぞ」
「そう、それなら良かった」

つい昨日、愛海が風邪を引いたと妹の通う小学校から連絡が来た。妹は早退して、先生に家まで送ってもらったそうだ。

そのとき那月はどうしていたかというと―――バドミントン部だったため、中学校で練習していたらしい。だから、那月は愛海と一緒にいなかったのだ。


とりあえず那月の話は置いといて―――結局、彼女は俺の家で一緒に妹の看病をしてくれたのだ。
一応、彼女には俺一人でもできるといったのだが――彼女は聞かず、俺の家まで同行することとなった。

「あっ、そうだ!」

彼女が突然声を張り上げる。

「おおっ……びっくりした……」
「レン、今日の放課後時間ある?」

ぐいぐいと体ごと押し付けるように迫ってくる。

「ん?ああ、暇だけど」

彼女の距離感の近さにはもう慣れたものだ。

「じゃあいつも通り、後で私の家に集合ね!」
「いつも突然だな、で、何やるんだったか?」
「……?勉強会に決まってるでしょう?」

つい2週間前の話なのだが、俺の不注意により成績を見られてしまったのだ。その成績はお世辞にも芳しいとは言えないものだったので、彼女の家で勉強会が不定期に行われるようになったのだ。彼女の独断で。不定期――というよりもほぼ毎日だ。今まで勉強会が休みになったのはたった1日だけだ。ちなみにその日は愛海が風邪を引いた日だった。
そして、当然俺は強制参加。あとは夕佳しかいない。
言うなれば、マンツーマン授業のような状態だ。もちろん、俺は教えてもらう側なのだが。

そして悔しいことに彼女の教え方がうまいのだ―――その影響で、俺の成績はぐんぐん伸びている。これなら塾に行く分のお金が浮かせられ―――ゲフンゲフン、じゃなくて、塾に行けてるようなものだ。自慢ではないが、俺は授業中を睡眠時間にあてているため、授業内小テストの点数は目も当てられないほどひどいものだった。そんな俺がこの前の授業内小テストでなんと満点を取った。先生や周りからは「お前……どうしたんだ?」と心配されるようになった始末。ちょっとひどくないか?

「……ああ、そうだな」
「じゃあ決まりね!午後6時に集合だからね!忘れたらだめだよ!」
「分かってるよ」

しばらく歩けば、学校までついた。
俺と夕佳はそれぞれの教室へ向かった。

レンと別れた後、白石夕佳は勉強会ではなく彼のことについて考えていた。

(誕生日プレゼント、レンは喜んでくれるかな)
彼女は頬に手を当て、顔を赤らめた。
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