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第3章~もう1人のカズ~

月夜とカズ~月夜side~

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🦇「…じゃぁ僕は少し部屋から出てるから、少し話してあげて。」
💜「あぁ…任せろ」

そう言うとルウは部屋から出ていき、この部屋には寝ているカズと俺だけが残った。
俺はカズの目に手を当て、耳元で囁いた。

💜「おい、起きてるだろ。出て来いお前と話がしたい。」

俺が手を離すとカズはゆっくりと目を開けこちらを睨んだ。

🕒「俺に何の用だ、説教か…」
💜「そんなんじゃない…が、ひとつ聞きたい、お前はカズでありカズでは無い。その事は自覚してるのか。ルウにはカズの記憶は残ることだけ聞いたが。」
🕒「……自覚している。俺は俺であって俺でない。いずれ消える存在…だろ。」
💜「自覚してるなら単刀直入に聞く、お前自身は今何がしたくてどうなりたい。」
🕒「はっ?」
💜「カズはお前の存在を知らなくて、お前の事が怖くて、そして多分大嫌いだろう。お前とカズは正反対でカズが嫌いなものを集めた人格らしいからな。その体で好き勝手されるのは困る。カズが困惑してしまうから」
🕒「だったらなんだ。こいつは俺の体でもある。俺がとう動いて何をしたって俺の勝手だろ」
💜「……カズが怯えてたみたいだぞ…」
🕒「っ…」
💜「詳しい話は聞いてないが、お前多分喧嘩かなんかしたんだろ。たった3日しかカズのことを見ていなが、あいつは極度に喧嘩や暴力を嫌う奴なのはみてわかった」
🕒「……」
💜「なぁ…もう一度聞く、お前はどうなりたい。どうしたいんだ。もしこれでカズを貶めるような返事が来たら俺はお前が面に出た瞬間全力でお前を押さえつけて目覚めさせないようにしてやる。」
🕒「……チッ!俺は…こいつを守りたいんだよ。こいつの過去の記憶も、どうしてあそこまで物事に怯えるのかも。全部知っている。そしてそのアイツの嫌いな要素を集めたんだろ俺は。でも根は同じだ、ヤクザの血を引いてるからって、喧嘩が好きって訳では無い。俺とこいつにとっての強さってのはな、その拳で誰かを守ることができる事なんだ。傷つけるんじゃなくな。だが、こいつの心に着いた傷は深すぎてそんな簡単に治すことは出来ないだろうな。」
💜「そうか…」
🕒「だから俺が守ってやる。俺はこいつの中から消えるつもりはねぇ!
こいつに危害をく合えるヤツらは全員ぶっ殺す!じゃなきゃ気が収まんねぇ。特にあのアルマとかいう奴は特にだ!」
💜「お前、アルマを知っているのか!」
🕒「知ってるも何も、あいつ今日喧嘩売ってきやがった。しかも学園に転校してきやがったんだぜ。ムカつく」
💜「そうだったのか。」
🕒「あいつはレイとかいう奴に頼んでここの場所とカズの情報を手に入れたらしい。クソムカつくから胸ぐら掴んで壁にたたきつけて二度とこいつに危害をく会えるなって言ってやった。」
💜「そうだったのか、もう充分だ。最後に忠告だ今日一日の出来事で多分カズは自分に何かあったことくらいは察しがつくと思う。勘が鋭いやつだからな。俺が誤魔化しておくが、人格が変わる際は気づかれないように注意しろ。」
🕒「それくらいわかってる。」
💜「じゃぁまた寝ていろ。」

俺はまたカズの目を塞ぎ耳元で囁いた。

💜「カズ…もう大丈夫。全部夢だ、起きたらいつもどうりだ。怖いものは何もない。だから起きろ」

カズはゆっくりと目を開けこちらを見ている。

🕒「あ、あれ、俺どうしてここに…確かさっきまで帰り道で…(ゾクッ)」

カズは自分の衣服や手などを見返して血がついてないことに少しほっとしていた。

💜「……学校から帰ってくる途中倒れたのをルウが抱えて連れてきたみたいだ。具合が悪いなら無理はするな。」
🕒「う、うん。でも、明日も多分倒れるかもしれない。」
💜「…学園で何かあったのか?」
🕒「……転校生」
💜「転校生?新しい奴が来たのか?」
🕒「あぁ…でもそいつは知ってるやつだった。」
💜「アルマか…」

そう言うとカズは静かに頷いた。さっきの人格がいっていたことはたたしいんだろうな。どうしたものか、あいつがカズの近くにいるということは、いつ狙われてもおかしくないし、カズはまだ俺たちのような悪魔から力を貰ってない。
その状態で攻撃を仕掛けられたら今度こそカズは危ない…。

🕒「月夜?」
💜「ん?あぁ悪い。少し考え事をしていた。」
🕒「……そっか。なぁ…ひとつ聞いてもいいか。」
💜「なんだ?」
🕒「俺…どこか壊れているのか?」
💜「…どうしてそう思う?」
🕒「今朝から何だかおかしいんだ。時々記憶が飛んだかと思うと、アルマを壁においやったり、2人組の男をボコボコにしていたり…。」
💜「………」
🕒「怖いんだ…何をしたのか、どうしてそうなったのか、全く覚えていない。契約してからおかしい、一体何が起こっているんだ。」
💜「落ち着け、きっと現状が理解できなくて、脳が疲れているだけだ。考えがまとまるまではゆっくり休め。その間に契約のこと、悪魔のこと、力のこと、そして俺らを狙っているアイツらについて知っていることも全部話すから。」
🕒「……本当に疲れているだけか…」
💜「あぁ…俺たちも最初はそうだった。しばらくすればその状態もおさまるから。な、ゆっくり休め。」
🕒「………わかった。」

そう言うとカズは再び横になり俺に背を向けるような寝返りを打った。

💜「夕飯ができたら起こしに来るから」

俺はそう言ってカズを残し部屋を出た。

🦇「話はどうだった。」
💜「バカ言うな、最初から全部聞いていただろ。」
🦇「やっぱりバレたか」
💜「バレないと思う方がおかしいな。なんで盗み聞きをした。」
🦇「そりゃぁ僕の主でもあるし、下手に彼が君を傷つけてその瞬間にカズが目覚めたらまた色々と大変だろ」
💜「あっそ。とりあえずこのことは星夜には言うな。」
🦇「どうして?」
💜「あいつが絡むと、多分色々面倒になるんだよ」
🦇「そうなの?まぁ君がそう言うなら別に僕は構わないけど」
💜「……フン」

俺はそう言うとキッチンに向かって夕飯の下ごしらえをした。時刻は2時を過ぎた頃だ。夕飯の支度をするには早いと思うが、これにはちょっとした仕掛けがあるからだ。俺は力を使い鏡を出すと移動ではなく星夜を写した。
俺の力にはこういった使い方もあり、ワープだけでなく連絡を取ることも可能だ。

💜「星夜、聞こえるか?」
♦️「ん、月夜?あれ?力使いたくないんじゃなかったの?」
💜「ちょっと急用だ。例のパーティー今日やるぞ。前回は色々あってできなかっただろ」
♦️「ほんと!でもなんで急に」
💜「そういう気分なんだよ」
♦️「へぇ…わかった!なるべく早く戻るね」
💜「おう!たのんだぞ。」
♦️「はーい」

俺は鏡をしまうと、冷蔵庫からありとあらゆる食材を準備して効率よく手際よく下ごしらえを始めた。
ちょうどその下ごしらえが終わった頃だろうか、玄関から声が聞こえ、星夜が帰ってきた。

♦️「ただいま!」
💜「おかえり、ちょうど下ごしらえが終わったところだ。飾り付け手伝うぞ」
♦️「うん!わかった!じゃぁ思いっきりパーティー会場にしちゃうよ!」

俺たちは2人で部屋の飾りを始め、今度こそ楽しんでもらおうと思った。その間ルウが1人この家の屋根で苦しんでいることは知らずに…
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