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第三章 魔族と人間と
第187話
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城へと戻ってきた私達は、一先ずゆっくりとした時間を過ごした後、食事をとって現在お風呂の時間になっていた。
「んっはぁ~っ……やっぱりここでゆっくりとご飯を食べるのが一番ね~。お風呂もあるし一生ここに住めるわ。」
食事を食べて満腹になったヴェルは言った。
「うむ、それには妾も同感じゃな。明日、人間の王都さえ落とせればずっとこの生活を続けられるじゃろう。それまでの辛抱じゃ。」
「うんうん、明日頑張っちゃえばね~。さっ明日頑張るためにもお風呂に入って~今日はぐっすり寝るわよ~。」
そして意気揚々とヴェルはノノ達を引き連れて浴槽へと向かった。しかし、なぜかカミルは私とともにここに残っている。
「カミルは入りにいかないのか?」
「うむ。今日はお主と入るのじゃ。」
「はっ!?」
「主の背を流すのも従者の役目だと思わぬか?のぉ~ミノルや?」
「いや、だがな……。」
「どうもこうもないのじゃ。今日はお主が妾の背を流す……これは決定事項なのじゃ~。」
なんという理不尽だろうか。久しぶりにカミルに理不尽を押し付けられたような気がする。だが、断ることもできないし……仕方ない。これも従者の定め……そして恩返しと思って受け入れておこう。
「はぁ、わかったよ。」
「それでよい。」
「で?どんな心変わりだ?急にこんなこと頼むなんてさ。」
普段ならこういうことを頼むことはないカミルに私は尋ねた。
「ちとお主と話したいことがあるのじゃ。」
「なるほど?それは……ヴェルたちがいる前ではできない話なのか?」
「まぁの、個人的に他の者には聞かれたくないだけじゃ。」
「じゃあ今話せばいいんじゃないか?」
「雰囲気というものがあるのじゃ!!」
「そうか、なら無理には聞かないよ。」
どうやらお風呂という雰囲気が大事らしい。ここで話したくないというのなら無理に聞きだそうとするのは野暮だろう。
それからしばらくの沈黙が私達の間に流れ、少し気まずいが空気が漂っていると……。
「上がったわよ~。」
「ミノル、牛乳ちょうだい?」
ほかほかと蒸気を体から上げながらヴェル達がなだれ込んできた。
「あ、やっぱりカミルもここにいた。カミルはお風呂入らないの?」
「妾は後からゆっくり入るのじゃ。」
「あら、なんだかミノルみたいなこと言うのね?」
「たまにはの。」
くつくつと笑いながらカミルはヴェルに答える。
「さ~て、それでは入ってくるとしようかの。行くぞミノル。」
カミルは立ち上がり私の腕を取ると、足早に進み始める。
「あっ、えっ?ゆっくりって……そういうことなの?」
「じゃ、じゃあ行ってくるからな……。」
困惑する三人に見送られ、私はカミルに引き摺られていく。
「……あらあら、カミルったら大胆なことするわね。…………これは……ちょっと予想外かも。」
「…………?」
カミルの行動に驚きを隠せずにいるヴェルと、蜂蜜牛乳を飲みながら首をかしげるマーム。
その傍らで一人……ノノは新たな宿敵の出現の予感を感じとり、カミル達が歩いていった廊下の奥を眺めていた。
◇
カミルに引き摺られ、脱衣所に着くとカミルは躊躇いなしにいきなりすっぽんぽんになる。
思わず目を覆ってしまった私にカミルは言う。
「ほれ、お主も早う脱ぐのじゃ。」
すっぽんぽんで、ぐいぐいと私の服を引っ張るカミル。
「わ、わかったから。ちょっと待ってくれ。」
カミルに背を向けて服を脱いだ私は、腰にぐるりと長い布を巻いた。
「…………これで良し。」
「な~にをしておる?……なんじゃその布は。」
カミルは私が腰に巻いた布を指差して首をかしげた。
「……一応デリケートな部ぶ…………。」
「そんなものは要らん。ふんっ!!」
「あぁっ!?」
容赦なくカミルは私が腰に巻いた布を剥ぎ取る。
「ふん、妾は裸じゃというのにお主が布を身に付けていては不公平じゃろ?ほれ、体が冷える前に湯に浸かるのじゃ。」
そして泣く泣くお互いにすっぽんぽんになり、私とカミルは湯船に身を沈めた。
「あ゛~~~……染みるのぉ~。」
体を湯に沈めると、肺に溜まっていた空気をカミルは声と共に吐き出した。
「ふぅ……やっぱり一日の締めはこれに限るな。」
お互いに体を温めている最中、私は問いかけた。
「で?話ってなんだ?」
「……お主はツガイという言葉を耳にしたことはあるかの?」
ツガイ……っていうと、以前酔っ払ったヴェルに襲われそうになったときに彼女が言っていたな。
「意味は深くは知らないが……あるにはあるぞ?」
「ふむ、では龍のツガイ……というものについて少し教えてやろう。」
そしてカミルはポツポツと話し始めた。
「んっはぁ~っ……やっぱりここでゆっくりとご飯を食べるのが一番ね~。お風呂もあるし一生ここに住めるわ。」
食事を食べて満腹になったヴェルは言った。
「うむ、それには妾も同感じゃな。明日、人間の王都さえ落とせればずっとこの生活を続けられるじゃろう。それまでの辛抱じゃ。」
「うんうん、明日頑張っちゃえばね~。さっ明日頑張るためにもお風呂に入って~今日はぐっすり寝るわよ~。」
そして意気揚々とヴェルはノノ達を引き連れて浴槽へと向かった。しかし、なぜかカミルは私とともにここに残っている。
「カミルは入りにいかないのか?」
「うむ。今日はお主と入るのじゃ。」
「はっ!?」
「主の背を流すのも従者の役目だと思わぬか?のぉ~ミノルや?」
「いや、だがな……。」
「どうもこうもないのじゃ。今日はお主が妾の背を流す……これは決定事項なのじゃ~。」
なんという理不尽だろうか。久しぶりにカミルに理不尽を押し付けられたような気がする。だが、断ることもできないし……仕方ない。これも従者の定め……そして恩返しと思って受け入れておこう。
「はぁ、わかったよ。」
「それでよい。」
「で?どんな心変わりだ?急にこんなこと頼むなんてさ。」
普段ならこういうことを頼むことはないカミルに私は尋ねた。
「ちとお主と話したいことがあるのじゃ。」
「なるほど?それは……ヴェルたちがいる前ではできない話なのか?」
「まぁの、個人的に他の者には聞かれたくないだけじゃ。」
「じゃあ今話せばいいんじゃないか?」
「雰囲気というものがあるのじゃ!!」
「そうか、なら無理には聞かないよ。」
どうやらお風呂という雰囲気が大事らしい。ここで話したくないというのなら無理に聞きだそうとするのは野暮だろう。
それからしばらくの沈黙が私達の間に流れ、少し気まずいが空気が漂っていると……。
「上がったわよ~。」
「ミノル、牛乳ちょうだい?」
ほかほかと蒸気を体から上げながらヴェル達がなだれ込んできた。
「あ、やっぱりカミルもここにいた。カミルはお風呂入らないの?」
「妾は後からゆっくり入るのじゃ。」
「あら、なんだかミノルみたいなこと言うのね?」
「たまにはの。」
くつくつと笑いながらカミルはヴェルに答える。
「さ~て、それでは入ってくるとしようかの。行くぞミノル。」
カミルは立ち上がり私の腕を取ると、足早に進み始める。
「あっ、えっ?ゆっくりって……そういうことなの?」
「じゃ、じゃあ行ってくるからな……。」
困惑する三人に見送られ、私はカミルに引き摺られていく。
「……あらあら、カミルったら大胆なことするわね。…………これは……ちょっと予想外かも。」
「…………?」
カミルの行動に驚きを隠せずにいるヴェルと、蜂蜜牛乳を飲みながら首をかしげるマーム。
その傍らで一人……ノノは新たな宿敵の出現の予感を感じとり、カミル達が歩いていった廊下の奥を眺めていた。
◇
カミルに引き摺られ、脱衣所に着くとカミルは躊躇いなしにいきなりすっぽんぽんになる。
思わず目を覆ってしまった私にカミルは言う。
「ほれ、お主も早う脱ぐのじゃ。」
すっぽんぽんで、ぐいぐいと私の服を引っ張るカミル。
「わ、わかったから。ちょっと待ってくれ。」
カミルに背を向けて服を脱いだ私は、腰にぐるりと長い布を巻いた。
「…………これで良し。」
「な~にをしておる?……なんじゃその布は。」
カミルは私が腰に巻いた布を指差して首をかしげた。
「……一応デリケートな部ぶ…………。」
「そんなものは要らん。ふんっ!!」
「あぁっ!?」
容赦なくカミルは私が腰に巻いた布を剥ぎ取る。
「ふん、妾は裸じゃというのにお主が布を身に付けていては不公平じゃろ?ほれ、体が冷える前に湯に浸かるのじゃ。」
そして泣く泣くお互いにすっぽんぽんになり、私とカミルは湯船に身を沈めた。
「あ゛~~~……染みるのぉ~。」
体を湯に沈めると、肺に溜まっていた空気をカミルは声と共に吐き出した。
「ふぅ……やっぱり一日の締めはこれに限るな。」
お互いに体を温めている最中、私は問いかけた。
「で?話ってなんだ?」
「……お主はツガイという言葉を耳にしたことはあるかの?」
ツガイ……っていうと、以前酔っ払ったヴェルに襲われそうになったときに彼女が言っていたな。
「意味は深くは知らないが……あるにはあるぞ?」
「ふむ、では龍のツガイ……というものについて少し教えてやろう。」
そしてカミルはポツポツと話し始めた。
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