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第一章 龍の料理人
第39話
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二人の前にプリンが乗った皿を置くと、置いたときの衝撃でぷるん……とプリンが震えた。それを見たカミルとヴェルの二人は目を輝かせる。
「おぉ~!!本当にぷるっとしたのじゃ!!」
「どんだけ柔らかいのかしらこれ……お皿を揺らせばずっとぷるぷるする。まるでスライムみたいね。」
二人は目を輝かせながら、皿を揺らしその度にぷるんぷるん揺れるプリンを見て面白がっている。
「ごくっ……こ、こうしてぷるんぷるん震えておる姿はまるで……妾を誘惑しておるかのようじゃ。」
「ねぇ早く食べましょ?私……もう我慢の限界だわ。」
「うむ!!」
二人は恐る恐るスプーンでプリンを掬い取り口へと運んだ。その次の瞬間……。
「「~~~ッ!!」」
二人同時にぱっちりと目を大きく開き、プリンを食した口元を手で押さえている。
そしてゴクリ……とそれを飲み込むと彼女達はほぅ……と幸せそうにため息を吐いた。
「く、口の中でトロッと蕩けてなくなってしまったのじゃ~。」
「あま~く蕩けて消えちゃった。」
それから少し間を開けて二人はお互いに顔を見合わせた後、何と二人同時に皿に残っていたプリンをちゅるんと吸い込むように食べてしまった。そしてじっくりと味わい、ごくりと飲み込むと二人はものすごい勢いで私の方に詰め寄ってきた。
「ミノルっ!!妾はお代わりを所望するのじゃ!!」
「私も欲しい!!もちろんまだまだあるのよね!?」
「あ、あぁ……今準備するよ。」
二人の勢いに気圧されながらも私は作ったプリンを型から抜いて皿に出す。そしてそれをすぐさま二人が完食する。
そんなことを幾度か繰り返した後、遂にプリンは最後の二個になってしまった。そんな時……カミルがヴェルにある提案をする。
「のぉ~ヴェル?一つ提案があるのじゃが……。」
「あら奇遇ね~私からも提案があるのよ。」
二人ともにこにこと笑っているが心の底では笑っていないことが気配を通してピリピリと私の肌に伝わってくる。そして二人が何を考えているのかもしっかりと伝わってきた。
二人が何を考えているのかを察してしまった私は気づかれないように小さくため息を吐いた。
せっかく喧嘩しないように偶数個作ったんだが……やはりこの二人、欲望には忠実だな。
苦笑いを浮かべながら二人のやり取りを傍観していると……。
「ふっ……どうやらお互い考えておることは同じ様じゃな。」
「えぇ、そのようね。」
「ならば話が早い!!お主と妾のこの……ぷるっぷるを賭けて勝負を申し込むのじゃ!!」
「受けて立つわ、で……勝負の内容は?」
迷いもなくヴェルはカミルに挑まれた勝負を受け入れた。……まぁ、彼女もカミルと同じ事を思っていたようだし、当然か。
「五龍の賭け事での勝負など決まっておろう?こいつじゃ。」
ニヤリとカミルは笑い、ヴェルの前に握りしめた拳を差し出した。そしてヴェルもカミルと同様に握りしめた拳を前に出した。
いったい何が始まるのだろうか?
少しわくわくしながら二人を眺めていると……。
「では行くぞ?」
「構わないわ。」
「「1!!2の……3ッ!!」」
その掛け声と共にカミルとヴェルは握りしめた拳を開き、じゃん拳で言うチョキへと形を変えた。
「……ちぃっ引き分けか。」
「間髪入れず行くわよ!!1、2の3!!」
そして二人がその勝負を繰り返しているのを見て私は確信した。これは異世界式のじゃん拳だ……と。
その方法は地球のものと全く変わらず、グー、チョキ、パーの三種類の手の形で勝敗を決めるものだった。
今は奇跡的……とも言えるほど二人は気持ちが噛み合っているようで、何度もあいこが続いているがそろそろ決着が着いてもおかしくない。
そう思っていると、遂に……。
「1、2の3ッ……妾の勝ちじゃあ~!!」
「ま、負けた……私のぷるっぷるが……。」
最終的にはカミルがチョキを出し、ヴェルがパーを出したことによりカミルが勝利した。
この上なく喜ぶカミルと、この世の終わりのような表情を浮かべ、自分が出した手を見つめるヴェル。
勝負の世界とはやはり残酷だな。
「くぅ~ッ……つ、次は絶対に負けないわ!!今はせいぜい束の間の喜びを味わっておくのね!!」
「むっふっふ~、ではでは頂くのじゃ~。」
満面の笑みでカミルは自分の分とヴェルの分のプリンを食べた。その姿をヴェルが怨めしく見ていたのは言うまでもない。
「満足……満足じゃ~。」
舌で艶めかしく口元を舐め、ポンポンとお腹を撫でるカミル。
「よかったわね~多く食べれてッ!!次覚えてなさいよ!!」
「次も妾が勝つのじゃ~。」
皮肉気味に言いながらもヴェルはカミルへ復讐の炎を燃やしている。
カミルは次も勝つ……と言い切っているが、じゃん拳の性質上100%の勝利はほぼ無い。多少の心理戦はあるとしても、運だからな。
「まぁ、にしてもこんな美味しい料理にお菓子を作って貰える生活は幸せね。今まで生きてきた歳月が霞んで見えるわ。」
「まったくじゃ。もっと早くミノルと会っておれば良かったのじゃがのぉ~。」
そんな話をしているとヴェルがふと気になったのかカミルに問いかける。
「そういえばだけど……カミルとミノルはどこで知り合ったのよ?」
「ん~?それはの~、不思議なことにミノルは空から落ちてきたんじゃ。」
「……空から落ちてきた?崖からとかじゃなく?」
「うむ、空からじゃ。」
チラリとヴェルは私に目を向け、何かを確認すると再びカミルに向き合った。
「でもミノルに羽とかは無さそうだけど?」
「それはそうじゃ、だってミノルは元は人間じゃからな。」
「人……間?」
「はっ……!?し、しまったのじゃ!?」
幸せの絶頂にいたカミルは、ポロリととんでもない秘密を暴露してしまう。
「い、今のは冗談なのじゃ~。聞かなかったことに……。」
「できるはずないでしょ!!いったいどういうことか説明してもらうわよ!!」
問い詰められたカミルは、渋々ヴェルに私がこの世界とは違う世界から来た人間であることを説明する。
「おぉ~!!本当にぷるっとしたのじゃ!!」
「どんだけ柔らかいのかしらこれ……お皿を揺らせばずっとぷるぷるする。まるでスライムみたいね。」
二人は目を輝かせながら、皿を揺らしその度にぷるんぷるん揺れるプリンを見て面白がっている。
「ごくっ……こ、こうしてぷるんぷるん震えておる姿はまるで……妾を誘惑しておるかのようじゃ。」
「ねぇ早く食べましょ?私……もう我慢の限界だわ。」
「うむ!!」
二人は恐る恐るスプーンでプリンを掬い取り口へと運んだ。その次の瞬間……。
「「~~~ッ!!」」
二人同時にぱっちりと目を大きく開き、プリンを食した口元を手で押さえている。
そしてゴクリ……とそれを飲み込むと彼女達はほぅ……と幸せそうにため息を吐いた。
「く、口の中でトロッと蕩けてなくなってしまったのじゃ~。」
「あま~く蕩けて消えちゃった。」
それから少し間を開けて二人はお互いに顔を見合わせた後、何と二人同時に皿に残っていたプリンをちゅるんと吸い込むように食べてしまった。そしてじっくりと味わい、ごくりと飲み込むと二人はものすごい勢いで私の方に詰め寄ってきた。
「ミノルっ!!妾はお代わりを所望するのじゃ!!」
「私も欲しい!!もちろんまだまだあるのよね!?」
「あ、あぁ……今準備するよ。」
二人の勢いに気圧されながらも私は作ったプリンを型から抜いて皿に出す。そしてそれをすぐさま二人が完食する。
そんなことを幾度か繰り返した後、遂にプリンは最後の二個になってしまった。そんな時……カミルがヴェルにある提案をする。
「のぉ~ヴェル?一つ提案があるのじゃが……。」
「あら奇遇ね~私からも提案があるのよ。」
二人ともにこにこと笑っているが心の底では笑っていないことが気配を通してピリピリと私の肌に伝わってくる。そして二人が何を考えているのかもしっかりと伝わってきた。
二人が何を考えているのかを察してしまった私は気づかれないように小さくため息を吐いた。
せっかく喧嘩しないように偶数個作ったんだが……やはりこの二人、欲望には忠実だな。
苦笑いを浮かべながら二人のやり取りを傍観していると……。
「ふっ……どうやらお互い考えておることは同じ様じゃな。」
「えぇ、そのようね。」
「ならば話が早い!!お主と妾のこの……ぷるっぷるを賭けて勝負を申し込むのじゃ!!」
「受けて立つわ、で……勝負の内容は?」
迷いもなくヴェルはカミルに挑まれた勝負を受け入れた。……まぁ、彼女もカミルと同じ事を思っていたようだし、当然か。
「五龍の賭け事での勝負など決まっておろう?こいつじゃ。」
ニヤリとカミルは笑い、ヴェルの前に握りしめた拳を差し出した。そしてヴェルもカミルと同様に握りしめた拳を前に出した。
いったい何が始まるのだろうか?
少しわくわくしながら二人を眺めていると……。
「では行くぞ?」
「構わないわ。」
「「1!!2の……3ッ!!」」
その掛け声と共にカミルとヴェルは握りしめた拳を開き、じゃん拳で言うチョキへと形を変えた。
「……ちぃっ引き分けか。」
「間髪入れず行くわよ!!1、2の3!!」
そして二人がその勝負を繰り返しているのを見て私は確信した。これは異世界式のじゃん拳だ……と。
その方法は地球のものと全く変わらず、グー、チョキ、パーの三種類の手の形で勝敗を決めるものだった。
今は奇跡的……とも言えるほど二人は気持ちが噛み合っているようで、何度もあいこが続いているがそろそろ決着が着いてもおかしくない。
そう思っていると、遂に……。
「1、2の3ッ……妾の勝ちじゃあ~!!」
「ま、負けた……私のぷるっぷるが……。」
最終的にはカミルがチョキを出し、ヴェルがパーを出したことによりカミルが勝利した。
この上なく喜ぶカミルと、この世の終わりのような表情を浮かべ、自分が出した手を見つめるヴェル。
勝負の世界とはやはり残酷だな。
「くぅ~ッ……つ、次は絶対に負けないわ!!今はせいぜい束の間の喜びを味わっておくのね!!」
「むっふっふ~、ではでは頂くのじゃ~。」
満面の笑みでカミルは自分の分とヴェルの分のプリンを食べた。その姿をヴェルが怨めしく見ていたのは言うまでもない。
「満足……満足じゃ~。」
舌で艶めかしく口元を舐め、ポンポンとお腹を撫でるカミル。
「よかったわね~多く食べれてッ!!次覚えてなさいよ!!」
「次も妾が勝つのじゃ~。」
皮肉気味に言いながらもヴェルはカミルへ復讐の炎を燃やしている。
カミルは次も勝つ……と言い切っているが、じゃん拳の性質上100%の勝利はほぼ無い。多少の心理戦はあるとしても、運だからな。
「まぁ、にしてもこんな美味しい料理にお菓子を作って貰える生活は幸せね。今まで生きてきた歳月が霞んで見えるわ。」
「まったくじゃ。もっと早くミノルと会っておれば良かったのじゃがのぉ~。」
そんな話をしているとヴェルがふと気になったのかカミルに問いかける。
「そういえばだけど……カミルとミノルはどこで知り合ったのよ?」
「ん~?それはの~、不思議なことにミノルは空から落ちてきたんじゃ。」
「……空から落ちてきた?崖からとかじゃなく?」
「うむ、空からじゃ。」
チラリとヴェルは私に目を向け、何かを確認すると再びカミルに向き合った。
「でもミノルに羽とかは無さそうだけど?」
「それはそうじゃ、だってミノルは元は人間じゃからな。」
「人……間?」
「はっ……!?し、しまったのじゃ!?」
幸せの絶頂にいたカミルは、ポロリととんでもない秘密を暴露してしまう。
「い、今のは冗談なのじゃ~。聞かなかったことに……。」
「できるはずないでしょ!!いったいどういうことか説明してもらうわよ!!」
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