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第一章 龍の料理人
第22話
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急かすカミルに私は約200ml程を瓶に詰めた牛乳を手渡した。
「カミル、ちょっと手伝ってもらいたいんだが……これをひたすら振ってくれないか?」
「む?これを振ってどうするのじゃ~?」
「それを振り続けると……ある調味料ができるんだ。私は他の調味料を合わせたり計量したりしてるからお願いしても良いか?」
「ほぉ~?面白そうじゃ。任せるのじゃ~。」
興味が湧いてきたらしいカミルはしゃかしゃかと牛乳を振り始めた。
さてさて、どのぐらいで固まり始めるかな?かなり時間がかかると思うから、私の方はゆっくりと計量をしておこうか。
「先ずはこの小麦粉からだな。」
買ったときにも確認したが、丁寧に粉にしてあるようでかなりきめ細かい。これなら薄力粉として使えそうだ。
良く振るったそれをボウルに計り入れる。小麦粉は使う前に振るっておかないとダマになったりして、失敗の原因になる。面倒くさいかもしれないが、失敗しないためにはやっておこう。
「え~……次は砂糖の代わりの蜂蜜を別のボウルに入れて。ここに卵黄を……。」
そういえばコカトリスの卵があったな。あれから少し卵黄をもらおうか。
インベントリを開き、コカトリスの大きな卵の画像を触ろうとしたとき……ある違和感に気が付いた。
「ん?この卵……ヒビなんて入ってたか?」
インベントリに表示されているデフォルメされたコカトリスの卵の画像にはなにやら大きなヒビのようなものが入っていた。確か以前見たときにはこんなものはなかったはずだが……まさか。
ある予感が頭をよぎる。それを確かめるために私はその卵をインベントリから取り出した。
「………間違いない。ヒビが入ってる。カミルが持ってきた時にはこんなのはなかったはずだが……まさか有精卵だったのか?」
もしそうだったとしたら今から生まれてくるってことだぞ!?コカトリスが今ここにッ!!
面には出さないが内心かなり焦っている。だってカミルから聞いた限りではかなりヤバい魔物だって話だったぞ!?確か石化の魔眼とか言ってた気がする。明らかにヤバい奴じゃないか。
顔から冷や汗がだらだらと流れてくる中、私が手に持っていた卵がパキパキと音を立てて辺りに殻が飛び散り始めた。
「おいおい……嘘だろッ!?」
現実を受け入れられずにいる私をあざ笑うかのように、どんどんコカトリスの卵の殻は割れていき遂には殻が内側からはじけ飛んでしまう。
そしてとうとう私の手の上に一匹の可愛らしい雛が誕生してしまった。
「ピッ!!」
コカトリスの雛は産まれるなリ元気よく鳴いてみせ、私の方をじっと見つめてきた。
っ!!まずい目を合わせてはダメだッ!!
とっさに目を閉じ、身構えていると私の手にすり寄ってくる感触がある。ゆっくりと目を開けてそちらの方を見てみると、コカトリスの雛が私の手にすりすりと体をこすりつけてきていた。
そして私の視線を感じたのか、こちらを向いたその雛は嬉しそうにまた一つ鳴いてみせた。どういうことかはわからないが……このコカトリスの雛とは視線を合わせても石になる気配はない。ひとまずは安心して良さそうだ。
「ふぅ……一時はどうなることかと思ったが、今のところ目を合わせても石にされることはなさそうだ。」
ひとまずカミルに相談したほうがいいな。これは私一人でどうこうできる問題ではなさそうだ。
「カミル、ちょっといいか?」
必死に牛乳が入った瓶を振り続けるカミルに話しかける。すると彼女は横目でこちらを見ながら答えた。
「なんじゃ~?」
「一回手を止めてこれを見てほしいんだが……。」
カミルはいったん牛乳を振る手を止め、改めてこちらを振り向く……そして目を大きく見開いた。
「み、ミノル!!お主そんなものどこで拾ってきたんじゃ!!」
「い、いや……拾ったわけじゃない。前にカミルがコカトリスを狩ってきたときに一緒に持って帰ってきた卵が孵化したんだ。」
「なっ……なんじゃと!?そ、そんなことがあり得るのか?」
「ど、どうする?」
「ど、どうするも何も……今ここで殺すか、それとも妾達を親だと信じ込ませるぐらいしかできまい?」
う~ん……さすがに殺してしまうのは少し可哀想だ。だとしたら残されて選択肢は一つ……か。私たちのことを親だと認識させるほかない。幸いなことに私とカミルに敵意を抱いている様子はないから、この幼い雛の頃からしっかりと育ててあげれば問題ない……はず。
「さすがに殺しちゃうのはこの子に忍びない。だからホルスタン同様にここで飼うか。それに上手いこと行けばこの子が無精卵を生んで私たちに貢献してくれるかもしれない。」
「うむぅ……じゃが本当に大丈夫か?下手をしたら石化の魔眼で石にされてしまうやもしれんのじゃぞ?」
「その時はその時だ。まぁ、そうならないように最善は尽くすけどな。」
……そういえばこのコカトリスって魔物は何を食べるんだ?生まれたばかりでお腹が減っているだろうし、何か食べさせてあげないといけない。
「なぁカミル。コカトリスって何を食べるんだ?」
「基本的にこやつらは雑食じゃぞ?草でも虫でも肉でもなんでも食べるのじゃ。」
「そうか、それならいい考えを思いついた。」
私は底深の器に先ほど搾ったばかりの牛乳を流し込み、コカトリスの雛の前に置いた。
すると、よたよたとおぼつかない足取りでゆっくりと牛乳に近付きゴクゴクと勢い良く飲み始めた。
「おっ、飲んでる飲んでる。」
夢中でゴクゴクと飲み始めたコカトリスの雛はなかなか愛らしい姿をしている。
さて、暫くは牛乳に夢中になってくれてるだろうからその間にお菓子の準備を終わらせてしまおう。……カミルもまだバターを作れてないしな。
「カミル、ちょっと手伝ってもらいたいんだが……これをひたすら振ってくれないか?」
「む?これを振ってどうするのじゃ~?」
「それを振り続けると……ある調味料ができるんだ。私は他の調味料を合わせたり計量したりしてるからお願いしても良いか?」
「ほぉ~?面白そうじゃ。任せるのじゃ~。」
興味が湧いてきたらしいカミルはしゃかしゃかと牛乳を振り始めた。
さてさて、どのぐらいで固まり始めるかな?かなり時間がかかると思うから、私の方はゆっくりと計量をしておこうか。
「先ずはこの小麦粉からだな。」
買ったときにも確認したが、丁寧に粉にしてあるようでかなりきめ細かい。これなら薄力粉として使えそうだ。
良く振るったそれをボウルに計り入れる。小麦粉は使う前に振るっておかないとダマになったりして、失敗の原因になる。面倒くさいかもしれないが、失敗しないためにはやっておこう。
「え~……次は砂糖の代わりの蜂蜜を別のボウルに入れて。ここに卵黄を……。」
そういえばコカトリスの卵があったな。あれから少し卵黄をもらおうか。
インベントリを開き、コカトリスの大きな卵の画像を触ろうとしたとき……ある違和感に気が付いた。
「ん?この卵……ヒビなんて入ってたか?」
インベントリに表示されているデフォルメされたコカトリスの卵の画像にはなにやら大きなヒビのようなものが入っていた。確か以前見たときにはこんなものはなかったはずだが……まさか。
ある予感が頭をよぎる。それを確かめるために私はその卵をインベントリから取り出した。
「………間違いない。ヒビが入ってる。カミルが持ってきた時にはこんなのはなかったはずだが……まさか有精卵だったのか?」
もしそうだったとしたら今から生まれてくるってことだぞ!?コカトリスが今ここにッ!!
面には出さないが内心かなり焦っている。だってカミルから聞いた限りではかなりヤバい魔物だって話だったぞ!?確か石化の魔眼とか言ってた気がする。明らかにヤバい奴じゃないか。
顔から冷や汗がだらだらと流れてくる中、私が手に持っていた卵がパキパキと音を立てて辺りに殻が飛び散り始めた。
「おいおい……嘘だろッ!?」
現実を受け入れられずにいる私をあざ笑うかのように、どんどんコカトリスの卵の殻は割れていき遂には殻が内側からはじけ飛んでしまう。
そしてとうとう私の手の上に一匹の可愛らしい雛が誕生してしまった。
「ピッ!!」
コカトリスの雛は産まれるなリ元気よく鳴いてみせ、私の方をじっと見つめてきた。
っ!!まずい目を合わせてはダメだッ!!
とっさに目を閉じ、身構えていると私の手にすり寄ってくる感触がある。ゆっくりと目を開けてそちらの方を見てみると、コカトリスの雛が私の手にすりすりと体をこすりつけてきていた。
そして私の視線を感じたのか、こちらを向いたその雛は嬉しそうにまた一つ鳴いてみせた。どういうことかはわからないが……このコカトリスの雛とは視線を合わせても石になる気配はない。ひとまずは安心して良さそうだ。
「ふぅ……一時はどうなることかと思ったが、今のところ目を合わせても石にされることはなさそうだ。」
ひとまずカミルに相談したほうがいいな。これは私一人でどうこうできる問題ではなさそうだ。
「カミル、ちょっといいか?」
必死に牛乳が入った瓶を振り続けるカミルに話しかける。すると彼女は横目でこちらを見ながら答えた。
「なんじゃ~?」
「一回手を止めてこれを見てほしいんだが……。」
カミルはいったん牛乳を振る手を止め、改めてこちらを振り向く……そして目を大きく見開いた。
「み、ミノル!!お主そんなものどこで拾ってきたんじゃ!!」
「い、いや……拾ったわけじゃない。前にカミルがコカトリスを狩ってきたときに一緒に持って帰ってきた卵が孵化したんだ。」
「なっ……なんじゃと!?そ、そんなことがあり得るのか?」
「ど、どうする?」
「ど、どうするも何も……今ここで殺すか、それとも妾達を親だと信じ込ませるぐらいしかできまい?」
う~ん……さすがに殺してしまうのは少し可哀想だ。だとしたら残されて選択肢は一つ……か。私たちのことを親だと認識させるほかない。幸いなことに私とカミルに敵意を抱いている様子はないから、この幼い雛の頃からしっかりと育ててあげれば問題ない……はず。
「さすがに殺しちゃうのはこの子に忍びない。だからホルスタン同様にここで飼うか。それに上手いこと行けばこの子が無精卵を生んで私たちに貢献してくれるかもしれない。」
「うむぅ……じゃが本当に大丈夫か?下手をしたら石化の魔眼で石にされてしまうやもしれんのじゃぞ?」
「その時はその時だ。まぁ、そうならないように最善は尽くすけどな。」
……そういえばこのコカトリスって魔物は何を食べるんだ?生まれたばかりでお腹が減っているだろうし、何か食べさせてあげないといけない。
「なぁカミル。コカトリスって何を食べるんだ?」
「基本的にこやつらは雑食じゃぞ?草でも虫でも肉でもなんでも食べるのじゃ。」
「そうか、それならいい考えを思いついた。」
私は底深の器に先ほど搾ったばかりの牛乳を流し込み、コカトリスの雛の前に置いた。
すると、よたよたとおぼつかない足取りでゆっくりと牛乳に近付きゴクゴクと勢い良く飲み始めた。
「おっ、飲んでる飲んでる。」
夢中でゴクゴクと飲み始めたコカトリスの雛はなかなか愛らしい姿をしている。
さて、暫くは牛乳に夢中になってくれてるだろうからその間にお菓子の準備を終わらせてしまおう。……カミルもまだバターを作れてないしな。
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