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第一章 龍の料理人
第15話
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カミルに力の制御の方法を教えてもらってから数分後……ようやく普段と同じように生活できるぐらいには力を制御できるようになった。
日本にいた頃は力が強くなることは料理の道を歩む上で良いことだと思っていたが……まさか上がり幅がここまで大きいと制御に苦労することになるなんて思ってもいなかった。
「まぁそのぐらいで大丈夫じゃろ?」
「大丈夫そうだな。普段通りに戻れたって感じだ。」
「それは何よりじゃ。っと、さて……力の制御もできるようになったようじゃし、そろそろ街へ行くか?」
「あぁ行こう。時間は待ってはくれないからな。」
そしてカミルとともに外へと出た私は、ドラゴンの姿に戻ったカミルに抱えられ空へと飛び上がる。
街へ向かって飛んでいる最中、私は気になっていたことをカミルに問いかけることにした。
「なぁカミル、一つ聞いてもいいか?」
「ん~?なんじゃ~?」
「この体……半分人間を辞めていて魔族に近いようなものって言ってたよな?ってことは……。」
「うむ、魔族の街に入っても怪しまれることはまず無いじゃろうな。見た目が人間に近い魔族なんぞゴロゴロおる。」
じゃあ好きなだけ買い物ができるってことじゃないか。最高か?
一人ワクワクとした気持ちを押さえられずにいると、私の気持ちを読み取ったかのようにカミルが言った。
「じゃが、妾から離れるようなことはするでないぞ~?」
「わかってるさ、分は弁えてるよ。」
「それなら良いのじゃ~。」
うんうんと満足そうにカミルは頷く。
これではまるで私が子供のように扱われているようだな。こう……見た目的にも人間に近い姿になったカミルは子供っぽく見えるが、どうにもこういう風に大きなドラゴンの姿になると面倒見が良い性格が災いして、急に母親っぽさが滲み出てくる。
まぁ……彼女から見たら私はまだまだ子供という認識では間違いなさそうだけどな。
「そういえば……お金は持ってきたのか?」
「もちろんあるぞ~。これがないと買い物ができないからの~。それに、前にも言ったが金なら腐るほどある。好きなだけ食い物なり、なんなりと買うがよい。」
腐るほど金がある……か。そんな言葉をこの耳で二度も聞くことになるとはな。
……そういえばこの世界の通貨のシステムってどうなってるんだ?日本みたいに紙幣や硬貨とかがあったりするのか?
まぁ、それも街に着けばわかることか。
そんなことを思っていると上からカミルの声が聞こえた。
「ほれ、ミノル。見えてきたぞ。」
「おっ?あれか……。」
カミルが向かっている先には、そこそこ大きな街が見えた。
「そろそろ降りるのじゃ~。」
そして徐々に高度を落とし、私達は街の入り口の前に降り立った。
すると……。
「か、カミル様がいらっしゃったぞ~!!」
「お前ら道を開けろッ!!焼き殺されるぞ!!」
等々カミルを畏怖するような様々な声が上がり、街の入り口の中央から人が消えた。
……もっと正確に言うのであれば、道の端っこで頭を垂れて皆ひれ伏している。
「……もしかしてカミルが街に来たくなかった理由って……。」
「はぁ~まぁこういうことじゃ。……一人で来ると気まずくなって仕方がないのじゃが、今回はお主がおるからの。幾分か気が楽じゃ。」
大きくため息を吐きながらもカミルは街に入りやすいように、いつもの人の姿に変わる。
「ほれ、ミノル行くぞ。」
「あ、あぁ……。」
カミルに差し伸べられた手を取り、街の中へと入る。さっきまで街を歩いていた魔族の人たちはみんな道の端にひれ伏してしまっているため、私とカミル以外に道を歩く人はいない。
これはカミルが街に来たくなかった理由もわかる気がする。兎に角気まずい。
カミルに導かれるがまま歩いていると、道端からこそこそと小さな声で話す声が耳に入った。
「あ、あの魔族、カミル様の従者かしら?」
「そうかも……でもカミル様って魔族嫌いっていう話じゃなかった?」
等々、カミルのことだけでなく私の事も気になっているようだ。そこかしこから私が何者なのか~……とかそういう類いの話が聞こえてくる。
そんな声に耳を傾けていると、前を歩くカミルがうんざりしたような表情を浮かべながら言う。
「陰話など気にするだけ無駄じゃ。ま、慣れないうちはどうしても気になると思うがの。」
「いや、大丈夫だ。そういうのは慣れてる。」
エデンで働いていた頃に散々いろんな陰口は言われてたからな。意外にもそういう陰口……というのは聞きたくない、聞かせたくないという意に反して、案外聞こえてくるものだ。
「む、そうか……。っとそろそろ着くぞ。」
そして、カミルはある店の前で歩みを止めた。
「ここじゃ。」
「ここは……いったい。」
その店の看板に目を通したが……
「よ、読めん。何て書いてあるんだ?」
看板には見たことがない文字が書いてあった。とてもじゃないが……読めない。
これがこの世界の言語ってやつなのか?……いや待てよ?文字は読めないのに何でカミルや、この魔族の人達の話してる言葉はわかるんだ?
理屈がわからずに頭を悩ませていると、親切にもカミルが何て書いてあるのか教えてくれた。
「これにはライネル商会と書いてあるのじゃ。」
「ライネル商会?」
「うむ、この街の名前がライネルと言うのじゃが……この店はこの街の全ての物流を牛耳っておる。故にここにはこの街の全てがあるというわけじゃ。」
「全て……か。それなら期待できそうだな。」
「じゃろ?さ、入るのじゃ~。」
意気揚々とライネル商会という店の扉を開き、カミルはズカズカと中へ入っていく。私もそれに続き中へと入るのだった。
日本にいた頃は力が強くなることは料理の道を歩む上で良いことだと思っていたが……まさか上がり幅がここまで大きいと制御に苦労することになるなんて思ってもいなかった。
「まぁそのぐらいで大丈夫じゃろ?」
「大丈夫そうだな。普段通りに戻れたって感じだ。」
「それは何よりじゃ。っと、さて……力の制御もできるようになったようじゃし、そろそろ街へ行くか?」
「あぁ行こう。時間は待ってはくれないからな。」
そしてカミルとともに外へと出た私は、ドラゴンの姿に戻ったカミルに抱えられ空へと飛び上がる。
街へ向かって飛んでいる最中、私は気になっていたことをカミルに問いかけることにした。
「なぁカミル、一つ聞いてもいいか?」
「ん~?なんじゃ~?」
「この体……半分人間を辞めていて魔族に近いようなものって言ってたよな?ってことは……。」
「うむ、魔族の街に入っても怪しまれることはまず無いじゃろうな。見た目が人間に近い魔族なんぞゴロゴロおる。」
じゃあ好きなだけ買い物ができるってことじゃないか。最高か?
一人ワクワクとした気持ちを押さえられずにいると、私の気持ちを読み取ったかのようにカミルが言った。
「じゃが、妾から離れるようなことはするでないぞ~?」
「わかってるさ、分は弁えてるよ。」
「それなら良いのじゃ~。」
うんうんと満足そうにカミルは頷く。
これではまるで私が子供のように扱われているようだな。こう……見た目的にも人間に近い姿になったカミルは子供っぽく見えるが、どうにもこういう風に大きなドラゴンの姿になると面倒見が良い性格が災いして、急に母親っぽさが滲み出てくる。
まぁ……彼女から見たら私はまだまだ子供という認識では間違いなさそうだけどな。
「そういえば……お金は持ってきたのか?」
「もちろんあるぞ~。これがないと買い物ができないからの~。それに、前にも言ったが金なら腐るほどある。好きなだけ食い物なり、なんなりと買うがよい。」
腐るほど金がある……か。そんな言葉をこの耳で二度も聞くことになるとはな。
……そういえばこの世界の通貨のシステムってどうなってるんだ?日本みたいに紙幣や硬貨とかがあったりするのか?
まぁ、それも街に着けばわかることか。
そんなことを思っていると上からカミルの声が聞こえた。
「ほれ、ミノル。見えてきたぞ。」
「おっ?あれか……。」
カミルが向かっている先には、そこそこ大きな街が見えた。
「そろそろ降りるのじゃ~。」
そして徐々に高度を落とし、私達は街の入り口の前に降り立った。
すると……。
「か、カミル様がいらっしゃったぞ~!!」
「お前ら道を開けろッ!!焼き殺されるぞ!!」
等々カミルを畏怖するような様々な声が上がり、街の入り口の中央から人が消えた。
……もっと正確に言うのであれば、道の端っこで頭を垂れて皆ひれ伏している。
「……もしかしてカミルが街に来たくなかった理由って……。」
「はぁ~まぁこういうことじゃ。……一人で来ると気まずくなって仕方がないのじゃが、今回はお主がおるからの。幾分か気が楽じゃ。」
大きくため息を吐きながらもカミルは街に入りやすいように、いつもの人の姿に変わる。
「ほれ、ミノル行くぞ。」
「あ、あぁ……。」
カミルに差し伸べられた手を取り、街の中へと入る。さっきまで街を歩いていた魔族の人たちはみんな道の端にひれ伏してしまっているため、私とカミル以外に道を歩く人はいない。
これはカミルが街に来たくなかった理由もわかる気がする。兎に角気まずい。
カミルに導かれるがまま歩いていると、道端からこそこそと小さな声で話す声が耳に入った。
「あ、あの魔族、カミル様の従者かしら?」
「そうかも……でもカミル様って魔族嫌いっていう話じゃなかった?」
等々、カミルのことだけでなく私の事も気になっているようだ。そこかしこから私が何者なのか~……とかそういう類いの話が聞こえてくる。
そんな声に耳を傾けていると、前を歩くカミルがうんざりしたような表情を浮かべながら言う。
「陰話など気にするだけ無駄じゃ。ま、慣れないうちはどうしても気になると思うがの。」
「いや、大丈夫だ。そういうのは慣れてる。」
エデンで働いていた頃に散々いろんな陰口は言われてたからな。意外にもそういう陰口……というのは聞きたくない、聞かせたくないという意に反して、案外聞こえてくるものだ。
「む、そうか……。っとそろそろ着くぞ。」
そして、カミルはある店の前で歩みを止めた。
「ここじゃ。」
「ここは……いったい。」
その店の看板に目を通したが……
「よ、読めん。何て書いてあるんだ?」
看板には見たことがない文字が書いてあった。とてもじゃないが……読めない。
これがこの世界の言語ってやつなのか?……いや待てよ?文字は読めないのに何でカミルや、この魔族の人達の話してる言葉はわかるんだ?
理屈がわからずに頭を悩ませていると、親切にもカミルが何て書いてあるのか教えてくれた。
「これにはライネル商会と書いてあるのじゃ。」
「ライネル商会?」
「うむ、この街の名前がライネルと言うのじゃが……この店はこの街の全ての物流を牛耳っておる。故にここにはこの街の全てがあるというわけじゃ。」
「全て……か。それなら期待できそうだな。」
「じゃろ?さ、入るのじゃ~。」
意気揚々とライネル商会という店の扉を開き、カミルはズカズカと中へ入っていく。私もそれに続き中へと入るのだった。
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