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第一章 龍の料理人
第14話
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まるで暗い世界を漂うような感覚に包まれていた最中……ふと、何か熱いものが体に流れ込んでくるのを感じる。
それは体中を駆け巡り、私の体を満たしていくようだった。
その熱いものが全身に巡り私の全てを満たすと、暗い世界が弾け、今度は何かで温かく包まれているような……優しい感覚が私を包んだ。
そして……声が聞こえた。
「目を開けて……。」
誰の声かはわからない。聞いたことがない声だった……。だが不思議と、安心する声……。
私はその声に従うがまま、目を開けた。
「………カ……ミル?」
目を開けると……私の目の前にはカミルの顔があった。
「ミノル、目を覚ましたか!!体は大事ないか!?ん!?」
私が目を覚ますと、心配そうな表情を浮かべたカミルが私の体をペタペタと触ってくる。
「あ、あぁ……大丈夫だ。どこも痛いところはないしな。」
「ほっ……そうか。安心したのじゃ~。もうダメかと思ったのじゃ。」
ホッと胸を撫で下ろすカミルに私は問いかけた。
「どれぐらい時間が経った?」
「半時位じゃな。まだ日は跨いでおらん。」
部屋の窓から外を眺めてみると、気絶する前までは明るかったのに対し、今は真っ暗だ。
「まぁ今日はもう大事をとってそのまま寝た方がよかろう。」
「あぁ、そうさせてもらうよ。明日は朝早くに市場に行かないといけないしな。」
「うむ、ではの……。」
カミルは私を残して部屋を後にした。そして静まり返った部屋の中で私は一人深い眠りについた。この時私は自分の体に起こっていた変化に気付くことはできなかった。
◇
そして朝日が昇り……窓から入ってきた陽の光のまぶしさで私は目を覚ました。
「ん……もう朝か。」
なんだかすごいさっぱりとした朝だ。いつもの気怠い感じがない。体もなんか軽いし……何だろう?妙に調子がいい体に違和感を覚えながらもベッドから体を起こす。
そして少し体を動かしてみるが……やはり体が軽い。体に溜まっていた疲れとかが全部吹っ飛んだみたいだ。
「カミルは……まだ起きてないのか?」
ひとまず彼女の部屋を訪ねてみるか。確か隣の部屋だったよな……。部屋から出ようとドアノブに手をかけたその時だった。
バキッ!!
「ん!?」
信じられないことにドアノブに手をかけたとき、乾いた音とともにドアが外れてしまったのだ。
「ど、どうなってるんだ?」
け、経年劣化のせいか?いや、ドアの留め金も錆びてはいないようだし緩んでいるような感じもなかった。
あり得ない出来事に驚き戸惑っていると……。
「くぁぁ~……。何の音じゃ~?」
「あ、か、カミル。す、すまないドアを壊してしまった。」
「あぁ、何じゃそんなことか。慣れていないうちは仕方がないのじゃ。気にするでない。それにまだ部屋はごまんとあるからのぉ~。」
カミルの言葉にある違和感を覚えた私はそれを問いかけることにした。
「慣れていないうちは?それはいったいどういうことだ?」
「あっ……。そ、そういえばすっかり言うのを忘れておった。街に行く前にそれについて話しておかねばならんな。」
そして私は彼女の部屋に案内され、私の体の起こった変化について聞かされることになった。
「驚かずに聞いてほしいのじゃが……ミノル、お主は昨日頭を打ち頭から大量に血を流したのじゃ。」
「そ、そうなのか?よくそれで助かったな。」
「普通であれば助からぬような致命傷じゃった。……そこで妾はお主を助けるために自らの生き血を飲ませたんじゃ。まぁそれでも一か八かじゃったがな。」
じゃああの時流れ込んできた熱い感覚はもしかして……カミルの血だったのか?それなら納得がいくんだが……。
「そ、それでその生き血と今のこの状態とは何か関係があるのか?」
「無論じゃ。龍種の生き血というのは、龍の命そのもの。要は妾の生命力をお主に分け与えたということじゃな。そして当然妾の命を吹き込まれたということは……妾の力の一部を手にしたということじゃ。」
「………そういうことだったのか。納得がいったよ。」
この体の変化に納得がいき、頷いているとカミルはおずおずとした様子で問いかけてきた。
「い、嫌ではないのかの?」
「ん?どうしてそう思うんだ?」
「だって、今のお主は人間というよりかは魔族に近い存在になってしまったのじゃぞ!?」
「別に……嫌とは思わないな。それよりもカミルが自分の命を分け与えてくれたんだろ?嫌がるどころかむしろ感謝してるよ。助けてくれてありがとう。」
「………!!」
私の言葉にカミルはきょとんとした表情を浮かべ固まってしまった。そして少し間を開けてからカミルは口を開いた。
「……お主というやつは、本当に不思議な奴じゃ。半分人間を辞めた存在にしてしまったというに感謝される羽目になるとはな。」
「命を救ってもらって感謝しないやつはいないだろ?」
「少なくとも魔族にさせられて喜ぶ人間はおらんぞ?」
苦笑いしながらもカミルは言う。
「何度も言うようだが私は異世界人だからな。この世界の常識は通用しないさ。」
「くっふふ……それもそうじゃな。」
「それで……なんだが、この体はどんなことができるんだ?力が強いっていうのはわかったが……。」
「生憎それは妾にもわからんのじゃ。妾も生き血を与えたのは初めてじゃからのぉ~。」
カミルでもわからないのなら仕方がないか。
「まぁその力の制御の方法ぐらいならば教えてやれるのじゃ。街に行く前にそれぐらいは教えてやらんとな。街の物を破壊されてはかなわんからな。」
「お願いするよ。」
そうして私はこの龍の力の制御をカミルに学ぶのだった。
それは体中を駆け巡り、私の体を満たしていくようだった。
その熱いものが全身に巡り私の全てを満たすと、暗い世界が弾け、今度は何かで温かく包まれているような……優しい感覚が私を包んだ。
そして……声が聞こえた。
「目を開けて……。」
誰の声かはわからない。聞いたことがない声だった……。だが不思議と、安心する声……。
私はその声に従うがまま、目を開けた。
「………カ……ミル?」
目を開けると……私の目の前にはカミルの顔があった。
「ミノル、目を覚ましたか!!体は大事ないか!?ん!?」
私が目を覚ますと、心配そうな表情を浮かべたカミルが私の体をペタペタと触ってくる。
「あ、あぁ……大丈夫だ。どこも痛いところはないしな。」
「ほっ……そうか。安心したのじゃ~。もうダメかと思ったのじゃ。」
ホッと胸を撫で下ろすカミルに私は問いかけた。
「どれぐらい時間が経った?」
「半時位じゃな。まだ日は跨いでおらん。」
部屋の窓から外を眺めてみると、気絶する前までは明るかったのに対し、今は真っ暗だ。
「まぁ今日はもう大事をとってそのまま寝た方がよかろう。」
「あぁ、そうさせてもらうよ。明日は朝早くに市場に行かないといけないしな。」
「うむ、ではの……。」
カミルは私を残して部屋を後にした。そして静まり返った部屋の中で私は一人深い眠りについた。この時私は自分の体に起こっていた変化に気付くことはできなかった。
◇
そして朝日が昇り……窓から入ってきた陽の光のまぶしさで私は目を覚ました。
「ん……もう朝か。」
なんだかすごいさっぱりとした朝だ。いつもの気怠い感じがない。体もなんか軽いし……何だろう?妙に調子がいい体に違和感を覚えながらもベッドから体を起こす。
そして少し体を動かしてみるが……やはり体が軽い。体に溜まっていた疲れとかが全部吹っ飛んだみたいだ。
「カミルは……まだ起きてないのか?」
ひとまず彼女の部屋を訪ねてみるか。確か隣の部屋だったよな……。部屋から出ようとドアノブに手をかけたその時だった。
バキッ!!
「ん!?」
信じられないことにドアノブに手をかけたとき、乾いた音とともにドアが外れてしまったのだ。
「ど、どうなってるんだ?」
け、経年劣化のせいか?いや、ドアの留め金も錆びてはいないようだし緩んでいるような感じもなかった。
あり得ない出来事に驚き戸惑っていると……。
「くぁぁ~……。何の音じゃ~?」
「あ、か、カミル。す、すまないドアを壊してしまった。」
「あぁ、何じゃそんなことか。慣れていないうちは仕方がないのじゃ。気にするでない。それにまだ部屋はごまんとあるからのぉ~。」
カミルの言葉にある違和感を覚えた私はそれを問いかけることにした。
「慣れていないうちは?それはいったいどういうことだ?」
「あっ……。そ、そういえばすっかり言うのを忘れておった。街に行く前にそれについて話しておかねばならんな。」
そして私は彼女の部屋に案内され、私の体の起こった変化について聞かされることになった。
「驚かずに聞いてほしいのじゃが……ミノル、お主は昨日頭を打ち頭から大量に血を流したのじゃ。」
「そ、そうなのか?よくそれで助かったな。」
「普通であれば助からぬような致命傷じゃった。……そこで妾はお主を助けるために自らの生き血を飲ませたんじゃ。まぁそれでも一か八かじゃったがな。」
じゃああの時流れ込んできた熱い感覚はもしかして……カミルの血だったのか?それなら納得がいくんだが……。
「そ、それでその生き血と今のこの状態とは何か関係があるのか?」
「無論じゃ。龍種の生き血というのは、龍の命そのもの。要は妾の生命力をお主に分け与えたということじゃな。そして当然妾の命を吹き込まれたということは……妾の力の一部を手にしたということじゃ。」
「………そういうことだったのか。納得がいったよ。」
この体の変化に納得がいき、頷いているとカミルはおずおずとした様子で問いかけてきた。
「い、嫌ではないのかの?」
「ん?どうしてそう思うんだ?」
「だって、今のお主は人間というよりかは魔族に近い存在になってしまったのじゃぞ!?」
「別に……嫌とは思わないな。それよりもカミルが自分の命を分け与えてくれたんだろ?嫌がるどころかむしろ感謝してるよ。助けてくれてありがとう。」
「………!!」
私の言葉にカミルはきょとんとした表情を浮かべ固まってしまった。そして少し間を開けてからカミルは口を開いた。
「……お主というやつは、本当に不思議な奴じゃ。半分人間を辞めた存在にしてしまったというに感謝される羽目になるとはな。」
「命を救ってもらって感謝しないやつはいないだろ?」
「少なくとも魔族にさせられて喜ぶ人間はおらんぞ?」
苦笑いしながらもカミルは言う。
「何度も言うようだが私は異世界人だからな。この世界の常識は通用しないさ。」
「くっふふ……それもそうじゃな。」
「それで……なんだが、この体はどんなことができるんだ?力が強いっていうのはわかったが……。」
「生憎それは妾にもわからんのじゃ。妾も生き血を与えたのは初めてじゃからのぉ~。」
カミルでもわからないのなら仕方がないか。
「まぁその力の制御の方法ぐらいならば教えてやれるのじゃ。街に行く前にそれぐらいは教えてやらんとな。街の物を破壊されてはかなわんからな。」
「お願いするよ。」
そうして私はこの龍の力の制御をカミルに学ぶのだった。
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