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第三章 終焉を呼ぶ七大天使

第210話 嫉妬の力

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「ん……んん…………。」

 いつもよりかなり遅くルアは眠りから覚めた。昨日は一日中ルシファーにつれ回され、色々なリラクゼーションを受けたこともありかなり質のよい睡眠がとれたらしい。

「おはようなのじゃルア。」

「ふぁ……お、お母さん?」

 起きたルアの隣にいたのは、東雲でもルシファーでもなく、少し悲しそうな表情を浮かべた由良だった。

「ど、どうしたの?そんな暗い顔して……。」

「わしはの悲しいのじゃ。」

「悲しいって……何があったの?」

「最近、ルシファーや東雲さまがお主のことを独占しておるじゃろ?わしがルアとふれあう時間と言えば食事の時のみじゃ……。」

 ポツポツと由良は語り始める。

「で、でもこの前一緒にお風呂に入ったよね?」

「それは一時いっときのことなのじゃ!!普通の親子と言えば、どんなときでも一緒なものなのじゃ!!」

「わぁっ!?」

 すると、由良はベッドにいたルアに飛び付き、顔を擦り付けた。

「こんな風に……こんな風に~っ!!わしはもっと、もっとルアと触れあいたいのじゃ~っ!!」

「ちょ、ちょっとお母さん?」

 普段とは明らかに由良の様子がおかしい。もちろん普段ルアが知っている由良とも、発情期の由良ともまた違う……。

 その違いにルアが疑問を抱いていると、由良の綺麗な金色の尻尾がいつの間にか九本に増え、黒く染まり始めた。

「ルアが他の者に独占されるのは許せん……。ルアはわしのものなのじゃ!!」

 由良がそう叫ぶと、由良の体を深い青色のオーラが包み込んでいく。そのオーラはまるで陽炎のように由良の体の周りを漂う。
 そしてそれと共にただならぬ雰囲気が由良から放たれ、部屋の中を埋め尽くしていく。

「お、お母さん?」

 そのただならぬ雰囲気を感じ取ったルシファーが急いでルアのもとへと駆けつけた。

「ルア様ご無事ですか!?」

「ルシファーさん!!」

 入ってきたルシファーに、由良はゆらりと虚ろな目を向けた。

「ルシファー、わしのルアを奪いに来たのか?」

「まさかこの気配は、嫉妬……しかも完全に飲み込まれている。」

 ルシファーの顔から一つ冷や汗が流れる。

「ルアを奪おうとするものは……わしが……消し去ってやる!!」

 由良が闘志を剥き出しにすると、青いオーラが黒く染まった尻尾へと集まった。
 そして東雲とは違い、瞳に青色の炎を宿した由良はルシファーへと飛びかかっていく。

「くっ!!」

 飛びかかってきた由良を受け止めると、壁を貫通して外へと飛び出していってしまった。

「お母さん!!ルシファーさん!!」

 飛び出していったルシファー達を追いかけようとしたが、とても足で追いかけられるようなスピードではない。

「ルア何があった!!」

 騒ぎを聞き付けたロレット達が集まってくる。

「お、お母さんとルシファーさんが……。」

 ルアが何が起こったのかを説明していると、城からかなり離れたところでドン……と大きな衝撃音が聞こえてきた。











「由良さん正気に戻ってください。そのままではいけません!!」

「うるさいうるさいっ!!」

 由良の攻撃には嫉妬が含まれているため、ルシファーの天使の結界を易々と突破してくる。
 それにルシファーは苦しんでいた。

(さて、どうしましょうか……。由良さんはルア様のお母様傷つけるわけにはいきませんし……。かといって攻撃しなければ私の方が危ない。)

「ふ~っ、ふ~っ……ルシファー……ルアは渡さんぞォォォォォォッ!!」

「くっ……。」

 そして嫉妬を纏った由良とルシファーの戦いが幕を開けた。
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